今年も上海へ出張することになった。そして出国前からストレス解消のための休日の小旅行はどこへ行こうかと考えていた。過去のブログにも書いたが、以前は南翔、朱家角、周荘を訪れた。さて出国も近づいた頃、蘇州在住の日本語教師の笠原さんから連絡があった。今までの出張時には毎回上海で笠原さんと会い一緒に酒を飲んだものだが、今回彼はビザ更新の関係で上海に来れないということらしい。それならば僕が蘇州に行くということになった。
蘇州は25年前の1992年3月、旅行者として初めて訪れた。今でもその時の鉄道や市内バスの切符、庭園の入場券が残っている。現在の鉄道の乗車券は名刺サイズの磁気カードだが、当時は典型的な25×57mmの厚紙の券で、裏には座席指定の紙片が貼ってあるのが面白い。
比較的最近の北寺塔と虎丘の入場券があったので比べてみた。昔はペラペラの紙に貧相な印刷の安っぽいチケットであったが、現在はしっかりした厚みのある紙でサイズも大きくなり、写真やデザインも洗練されている。そして当然、料金も変化した。当時の北寺塔の入場料は1.5元、登塔料は2元であった。現在の入場料は15元、登塔料は10元である。ところで、92年の時は一泊二日の 旅程だったが、残っている入場券の数を見ると、かなりなハードスケジュールで精力的に各観光スポットを回ったことが分かる。まぁ、ヤングパワー(若い力)ということだろうか。
時は流れ、2010年11月から1年間、日本語教師として暮らした。 その頃は100元で申請すると主要な庭園に無制限に入園できる という便利な「園林カード」を取得し、休日になると庭園へ行き、酒を飲みながらのんびり時間を過ごして楽しむ 「園林飲み」という習慣が確立した。
一日目。午前に蘇州駅に着くと、先ずは地下鉄で市の中心まで移動し、昔住んでいた小区を訪れ、ついでに近くにある「老妈米线」で昼食をとった。その後小振りな庭園である「藝圃」を訪れ、久々に蘇州で「園林飲み」を楽しんだ。その時は一組のカップルの結婚記念の写真撮影と学生の写生大会が同時に行われていて、少しざわついた雰囲気ではあった。
ところで、蘇州の古いエリアを散歩する面白さは、雑然とした通りをしばらく歩いてゆくと、運河のある場所に至り突然に大きく視野が広がることである。風景の変化が楽しめるのも蘇州の魅力の一つであると言えよう。(後編へ続く)