二泊三日の蘇州(下)2017.05

午後、笠原さんと合流し、「上塘街」周辺をぶらついたり、運河の際に座ってビールを飲んでおしゃべりしたりした。その後、石路のイスラム教会(モスク)前の羊肉屋で串焼きを買ってもらい、石路広場で白酒を飲みながら食べた。 以前も串焼きについてブログで記したが(参照「おいしい羊肉串焼に挑戦!」)、 烈性酒を飲みながら食べる羊肉串焼きは非常にうまい。至福のひとときである。実は当時私は石路に住んでいて、この店の前を何度も通り、その存在は知っていたが、 実際に食べたのは今回が初めてである。

夕食は、当時よく利用していた石路美食街の「小蘇州酒楼」という店だ。 在住当時はここで10元上海蟹をよく食べていたが、残念ながら今の季節はない。それでも甘くておいしい魚料理「松鼠桂魚」、田ウナギ料理「響油鱔糊」、太湖三白(太湖産の三つの食材)の一つ「白蝦」を揚げた「油爆白蝦」等、 蘇州のメチャウマ名物料理を、以前と同様に江蘇省張家港の黄酒「沙洲優黄」を飲みながら頂いた。うーん、またもや至福のひとときである。

その後は近くのカラオケ屋さんに行き、久々に中国歌曲を歌った。僕が歌う曲はいつも決まっている。毛宁「涛声依旧」、周华健「风雨无阻」、黄安「新駌鸯蝴蝶梦」、孟庭苇「谁的眼泪在飞」、邓丽君「在水一方」等である。この時間帯に至ってストレスフリーの竜宮城にいる気分となり、日頃のストレスは完全に吹っ飛んだのだ・・・

二日目。午前は蘇州面で腹を満たし、その後バスに乗って蘇州博物館へ行き歴代書画を鑑賞。 面(麺)といえば、僕は日本では蕎麦が好きでいつでも食べているが、いわゆる「ラーメン」はあまり食べない。その理由は、こだわりすぎる、複雑すぎる、濃すぎるスープに嫌気を感じるからであろう。一方の蘇州面、さらに蘭州拉麺や山西刃削面などもそうであるが、その味は非常に素朴で、いつ食べても飽きることがなく、何か心が休まる気がするのである。蘇州面のトッピングはさまざまであるが、今回は「燜肉面」にした。 うーん、ちょっと甘めのつゆに少し固めの細面、そして口の中でとろける肉がたまらない。参考に百度百科の「燜肉面」の説明を引用する。

  焖肉面是江南地区最著名的传统面食小吃之一。20世纪30年代,由苏州同德兴、陆长兴等面店馆首创。它采用猪五花肉加调料经宽汤焖制而成,肉质酥烂如豆腐,味鲜汁浓,颇受食客的喜爱。

上記説明には、「燜肉面」は1930年代に蘇州の「同徳興」、 「陸長興」等の麺専門店がはじめたとある。ちなみに今回僕と笠原さんが行ったのは「偉記奥」という名前の店である。

さて、その後「滄浪亭」へ移動、やはりまた「園林飲み」をひとり楽しんだ。そして夕食は、新区で笠原さんと合流し、日本居酒屋で食べ放題料理をご馳走になった。

三日目、午後から授業があるので、朝9時過ぎの列車で蘇州を後にした。今回の旅行は、笠原さんのお陰で何度も「至福のひととき」を感じることができた。心より大いなる感謝を申しあげたい。 ありがとう。そして後会有期!

二泊三日の蘇州(上)2017.05

今年も上海へ出張することになった。そして出国前からストレス解消のための休日の小旅行はどこへ行こうかと考えていた。過去のブログにも書いたが、以前は南翔、朱家角、周荘を訪れた。さて出国も近づいた頃、蘇州在住の日本語教師の笠原さんから連絡があった。今までの出張時には毎回上海で笠原さんと会い一緒に酒を飲んだものだが、今回彼はビザ更新の関係で上海に来れないということらしい。それならば僕が蘇州に行くということになった。

蘇州は25年前の1992年3月、旅行者として初めて訪れた。今でもその時の鉄道や市内バスの切符、庭園の入場券が残っている。現在の鉄道の乗車券は名刺サイズの磁気カードだが、当時は典型的な25×57mmの厚紙の券で、裏には座席指定の紙片が貼ってあるのが面白い。

比較的最近の北寺塔と虎丘の入場券があったので比べてみた。昔はペラペラの紙に貧相な印刷の安っぽいチケットであったが、現在はしっかりした厚みのある紙でサイズも大きくなり、写真やデザインも洗練されている。そして当然、料金も変化した。当時の北寺塔の入場料は1.5元、登塔料は2元であった。現在の入場料は15元、登塔料は10元である。ところで、92年の時は一泊二日の 旅程だったが、残っている入場券の数を見ると、かなりなハードスケジュールで精力的に各観光スポットを回ったことが分かる。まぁ、ヤングパワー(若い力)ということだろうか。

時は流れ、2010年11月から1年間、日本語教師として暮らした。 その頃は100元で申請すると主要な庭園に無制限に入園できる という便利な「園林カード」を取得し、休日になると庭園へ行き、酒を飲みながらのんびり時間を過ごして楽しむ 「園林飲み」という習慣が確立した。

一日目。午前に蘇州駅に着くと、先ずは地下鉄で市の中心まで移動し、昔住んでいた小区を訪れ、ついでに近くにある「老妈米线」で昼食をとった。その後小振りな庭園である「藝圃」を訪れ、久々に蘇州で「園林飲み」を楽しんだ。その時は一組のカップルの結婚記念の写真撮影と学生の写生大会が同時に行われていて、少しざわついた雰囲気ではあった。

ところで、蘇州の古いエリアを散歩する面白さは、雑然とした通りをしばらく歩いてゆくと、運河のある場所に至り突然に大きく視野が広がることである。風景の変化が楽しめるのも蘇州の魅力の一つであると言えよう。(後編へ続く)