善良な富士登山🗻(2016.08)

富士山はその高さと姿の美しさから、世界に誇る日本の象徴である。いつ眺めても、その存在感には圧倒される。そしてずいぶん前から「いつかは富士山に登ろう」と考えていたが、なかなかその機会もなく、また普段体を鍛えているわけではないので、多少の不安もあり、結局この年齢になるまで登らずにきた。ある日、ネットで何気なく富士登山について色々調べてみると、毎年小さい子供の登山者も多く、半袖半ズボンでスイスイ登る外人観光客も結構いるとのことだ。つまり富士登山は自分が想像していたほど深刻なものでもなく、誰でもウェルカムで、気軽に楽しく登れるということなのであろう。そこで早速サンシャインツアーの「夜発3日間吉田ルート登山フリー登山プラン」(旅行代金は約2万円)に申し込んだのである。

ところが実際に登ってみると、ただ「苦しい」の一言だった。呼吸も苦しく、頭もグルグル・フラフラし、足はまさに棒そのものだ。特に強く冷たい非情な雨と風を全身に受けながら、大きくゴツゴツとした岩場を這いつくばりながら長時間登るのは、人生史上かつてないほどの苦行であった。もっとも途中で眺める風景は非常にすばらしく、やっと頂上に着いた時は、大いなる達成感は感じた。

あれから10か月、現在は登山の苦しかった感覚は、少しずつ消えてきてはいる。だが しかし、それでも「もう一回登ろう」とは思わない。つまり僕は「一度も登らぬバカ」でも、また「二度登るアホ」でもなかった。普段は 「信州狂人」と名乗っているが、 実は正常な意識を持つ善良な一市民だということが今回判明されたのである。

【特別企画】マーボー合戦:「麻婆豆腐の素」食べ比べ(2017.02)

私は麻婆豆腐が好きで、週に一度は自分で調理して食べている。中国にいたときもそうであった。材料や調理法は一般的なレシピ本の方法と同じだが、私の場合は、ピーマンと椎茸を入れることが多い。

さて最近、市販の「麻婆豆腐の素」(レトルトパウチ食品)の種類がかなり多いことに気が付いた。国内産だけでなく、本場四川産もある。そして、どの製品が一番自分の好みに合うのかという好奇心が生まれたのである。そこでネット通販で、同じ商品でもなるべく低価格のものを探して買い集め、13製品を食べ比べてみた。評価は、味や価格、安心感等を総合的に考えて、★の数で表した。尤も評価はあくまでも現在感じた結果であり、今後、年齢や身体状況、社会環境が変わると、評価も変化するだろうと考えられる。

【2017年春季・ベスト3】

  • 1位:丸美屋「七味芳香 麻婆豆腐の素」・・・★★★★★★★
  • 2位:味の素「CookDo 四川式麻婆豆腐用」・★★★★★★
  • 3位:ユウキ「四川大辛 麻婆豆腐の素」・・・★★★★★

【製品別評価】

  •  1.丸美屋「贅を味わう麻婆豆腐の素(辛口)」 評価:★★
  • 基本情報:180g、2~3人前、¥246、花椒別添
  • 説明:濃厚な味で大変深みがある。しかし食べ進めるうちに濃さが多少嫌味となる。片栗粉不要は便利だ。
  • 2.丸美屋「七味芳香 麻婆豆腐の素(中辛)」 評価:★★★★★★★
  • 基本情報:120g、2人前×2袋、¥192、花椒別添
  • 説明:「七味」とある通り、各種調味料が配合され、深みを感じ、飽きもこない。花椒の袋付きもうれしい。片栗粉不要も便利だ。2袋入りでありながら価格も手頃で、総合的に非常に優れた商品である。
  • 3.味の素「クックドゥ四川式麻婆豆腐用(中辛)」 評価:★★★★★★
  • 基本情報:106.5g、3~4人前、¥169
  • 説明:辛さとコクが適度に感じられ、食べ進めても飽きがこない。価格も他社製品と比べて安くて良い。片栗粉不要なのも便利だ。
  • 4.味の素「クックドゥ黒麻婆豆腐用(中辛)」 評価:★★★
  • 基本情報:120g、3~4人前、¥196
  • 説明:丸美屋「贅を味わう」に近い味で濃厚であるが、辛さが足りない。価格は丸美屋より安くて良い。片栗粉不要なのも便利だ。
  • 5.味の素「クックドゥ赤麻婆豆腐用(中辛)」 評価:★★
  • 基本情報:120g、3~4人前、¥196
  • 説明:コクの深さが感じられるが、少し辛さが弱い。おなじクックドゥなら「四川式麻婆豆腐用(中辛)」の方を選びたい。片栗粉不要なのは便利だ。
  • 6.味の素「クックドゥ広東式麻婆豆腐用(中辛)」 評価:★★
  • 基本情報:135g、3~4人前、¥196
  • 説明:広東式で他の味とは根本的に違うが、おいしく感じた。ただ私は辛さを求めているので評価を下げた。片栗粉不要なのは便利だ。
  • 7.中村屋「辛さ、ほとばしる麻婆豆腐(辛口)」 評価:★★
  • 基本情報:150g、2~3人前、¥193、花椒別添
  • 説明:普通においしいが、他社製品と比べあまり印象に残らない味だ。四川山椒の袋付きは評価できる。片栗粉不要なのも便利だ。
  • 8.成城石井「四川風麻婆豆腐の素」 評価:★★★
  • 基本情報:120g、3~4人前、¥432 説明:コクと辛さも十分だが、甘さが強すぎる。また他製品と比べて独特の個性はそれほど感じられない。値段が高めなのも困る。片栗粉不要は便利だ。
  • 9.横浜大飯店「中華街の四川式麻婆豆腐がつくれるソース」(2016年モンドセレクション金賞受賞) 評価:★★★★
  • 基本情報:120g、3~4人前、¥432
  • 説明:コクも辛さも十分で、食べ進めても飽きがこない点も良い。9年連続でモンドセレクション金賞受賞という評価も納得できる味だ。片栗粉不要も便利だ。ただ価格が高めなのが残念である。
  • 10.李錦記「四川式麻婆豆腐の素(辛口)」 評価:★★★
  • 基本情報:70g、2~3人前、¥216、 原産国:中国(輸入者:エスビー食品)説明:辛さやコクが鮮明で、洗練された味である。食べ進めても飽きがこない点が良い。値段は普通だ。片栗粉不要なのも便利だ。ただソースの量が幾分少ない気がする。中国産で食の安全性に関して多少の不安はあるが、エスビー食品を信用しよう。
  • 11.成都陳麻婆川菜調味品有限公司「陳麻婆豆腐(大辛)」 評価:★★
  • 基本情報:50g×4、3~4人前×4袋、¥565、 花椒別添、原産国:中国(輸入者:ヤマムロ)
  • 説明:四川からの輸入品で、本場の辛い味を楽しめる。価格は高めだが50g×4袋なので寧ろお得感もある。しかし油分が多すぎで、コクも足りない感じがする。また中国産で食の安全性に関し多少の不安が残る。片栗粉が別途必要なのも不便だ。
  • 12.蜀香「四川マーボーソース」 評価:★★★
  • 基本情報:50g×2、2人前×2袋、¥518、花椒別添、原産国:中国(輸入者:ユウキトレーディング)
  • 説明:四川からの輸入品で辛さは十分だ。また「陳麻婆豆腐」と違い、油分も適切で、深いコクもある。50g×2袋で、花胡椒粉付きなのも良い。ただ中国産で食の安全性に関し多少の不安が残る。片栗粉が別途必要なのも不便だ。
  • 13.ユウキ「四川大辛 麻婆豆腐の素」 評価:★★★★★
  • 基本情報:110g(ビン詰)、4人前、¥616
  • 説明:今回食べ比べた中で一番の辛さだ。味にも深みがある。「辛い麻婆豆腐が食べたい!」という願望を叶えてくれる逸品である。ただ表示に「辛みが強いため、苦手な方や小さなお子様は召しあがらないでください」とある通り、ピリピリ刺激が強く、頻繁に摂取すると健康への悪影響が心配となる。片栗粉が別途必要なのも不便だ。

【総 括】 今回は途中くじけそうになったが、皆さんのご声援のおかげで何とか13製品を全て食べきり、評価付けも完了できた。ここに心より謝意を表す。ありがとう。さて、どの製品にも多少の不満が存在し、完璧な物はない。それを補うため、別の食材や調味料を加える必要があるだろう。例えば私の場合は深みのある辛さが好みなので、唐辛子や花山椒と共に、生姜やニンニク等を別途たっぷり加えればよりおいしくなるだろう。最後に、安易にレトルト食品に頼ることの危うさに対して警鐘を鳴らしたい。確かに忙しい日常生活で、少しでも時間が節約できれば非常に助かる。しかし利便性ばかりを追い求めていると、次第に人間の温かみから疎遠になり、やがて寂寥感さえも感じるのである。手間はかかるが、やはり全ての食材を一つ一つ自分で準備し、自分の好みの方法で調理しなければ、「大満足のいく麻婆豆腐を食べたい」などと言っても、所詮それは夢物語なのである。今回の食べ比べ企画を通じて、そのことを大いに痛感した。