二泊三日の朱家角【一日目】2015.05

仕事のストレスから心身を癒すため、11時40分の授業終了後、ホテルの部屋で食事を済ませてから地下鉄に乗り、大世界で降り、上海博物館付近のバス停から朱家角行きのバスに乗った。運賃は12元、ちょうど1時間で目的地に着いた。早速ネットで探してあったホテルにチェックインする。トイレ、シャワー、エアコン(富士通製)、TV、Wifi付きの3階の部屋は一泊120元、室内は改装したばかりらしく綺麗で、観光地点にも近い。満足度は150%である。 (注意:満足度はその後90%に下降した。理由は、二日目の深夜、蚊の襲撃に悩まされたからだ。)

少し休息し、古い町並みへの散策に出かけた。すぐに「放生橋」に到着し、近くの店で名物の肉粽と笹巻豚角煮を買った。そしてのんびり辺りを歩き、古鎮の雰囲気を味わった。その後、スーパーに行って夕食に飲む酒を買い、ついでに葱油餅も二枚買った。大学のホテルではいつも紹興酒を飲んでいるが、今晩は甘い肉粽ということもあり、黄酒の中でも比較的糖度の低い「嘉善元紅」を買った。確かにこの酒と豚角煮は相性がいい。しかし肉粽を食べるに至って口の中が過度にギトギトになり、「嘉善元紅」では限界となった。ここで白酒「上海神仙」の登場となる。まさに神のご降臨である。喉の油分をスキッと流してくれるのである。

やがて日も暮れてきて、程よく酔いも回ったので、夕暮れの古鎮の散策に出かける。お腹は一杯なので、缶ビール一つと、二鍋頭の小瓶一つをカバンに入れる。酔いにまかせ古鎮の通りを歩き回る。辺りはだいぶ暗くなってきた。そして放生橋に至り、その脇にある長廊に座り、橋を往来する人を見ながら、缶ビールをゆっくりと飲む。運河の流れは極めて穏やかで、水が止まっているように見える。両岸の茶屋の明かりが水面にきらきらと反射し、ますます旅情感を高める。この時点でかなり日常のストレス感から解放されてきた。

次に町の方へ移動し、屋台で久々に串羊肉を食べる。一本3元の羊肉を数本食べた。脂身の甘みがとてもおいしい。そして白酒との相性も大変良い。見知らぬ街の夜の雰囲気を充分に満喫し、やがて宿の部屋に戻り、今日も終わった。

上海生活:雨のち晴れ(2015.05)

異国での仕事や生活は、意識、無意識を問わず、肉体的、精神的なストレスが生じるものである。到着後の四、五日はまだまだ元気であった。それが突然体調が悪化し、頭や腹、関節が痛み、食欲もなくなったのである。原因は不明であるが、おそらく最初は気を張っていたが、慣れた頃に気が弛み、潜んでいた疲労とストレスが襲来したのかもしれない。ただ白酒をグビグビ飲んだことにも多少の原因はあるかも知れない。結局今回も薬や力保健(リポビタン)のお世話になった。やがて体調も回復し、休みの日は外出する。休日の過ごし方は前回とほぼ同様である。上海博物館でお宝を拝見し、福州路の書店や南京路の朶雲軒で買い物し、豫園で小籠包を食べ、外灘辺りをぶらつく。

上海博物館へは昔から何回も行っているが、見飽きるということはない。ただ全館をくまなく回ると足が痛くなるので、最近は3階の絵画館、書法館、印章館だけ行く。多少の展示替えもしているようで、いつでも楽しく鑑賞できる。同じ作品であっても、見る時期によって感じ方が変化することもある。そこで、今回は気になった作品を紹介しよう。書では祝允明「草書牡丹賦」と黄道周「草書五律詩」。どちらも力強さがあり、「牡丹」は大胆さ、「五律詩」は気骨を感じる。画では倪瓚「渓山図」と南宋「歌楽図」。「渓山」は孤高の精神を、「歌楽」は宮中の華やかさを感じる。特に宮女の衣は鮮やかである。

実は先日に歴史ドラマ「尽忠岳飛」(全69回)を見終わったところで、官服や軍服の色も鮮やさが印象的であった。ただ、悲しい結末に何とも切ない気持ちになった。そして何度か杭州の岳廟を訪れたことも思い出した。