2月1日から約2ヶ月間、仕事都合でJR彦根駅前のホテルで生活している。時に高島市の自宅に帰る機会もあり、今回はJRで琵琶湖北回りの途中駅「余呉」で下車、余呉湖を徒歩で一周することにした。余呉湖は底で琵琶湖につながっていると聞いたことがあるが、この鏡面のように静かな湖、引き寄せられる魅力と、何か底知れぬ怖ろしさを感じる。かつてこの湖畔では血なまぐさい白兵戦が行われ、また菊石姫入水の話もあり、表面上はのんびり歩いたが、心中は完全に愉快で楽しいという気分にはなれなかった。
JR余呉駅に着いた。駅舎もホームもかなり簡素である。ホームからは遠くに余呉湖が見え、早く湖岸に近づきたいと心がワクワクする・・・
今回は駅を出発し、湖を反時計回りにめぐることにする。なぜ反時計回りなのか。それは自分でも正直分からない。なんとなく左回りが安心できる感じがするのだ。水田ではシラサギ君(性別不明)がそっぽを向いて僕を出迎えてくれた。
菊石姫の伝説 下の画像では石刻文字が読みづらいので、見たままに書き写した。さてさて、干ばつが深刻な時に、神への人身御供(生贄)として殺されるのは現代の日本では理解しがたいものがある。
菊石姫と蛇の目玉石 仁明天皇の頃、この地に住む領主桐畑太夫に菊石姫という娘があった。娘はある年、干ばつに苦しむ村民を救わんと、余呉湖に身を投じ蛇身となって雨を降らせた。もう人間に戻れぬ姫は、長年世話になった乳母へ、疫病の薬にと蛇の目玉を抜きとり、湖中から投げ与えた。目玉は石の上に落ち、その跡を残したので、以来この石を「蛇の目玉石」という。 また姫が枕にして、しばし休んだといわれる「蛇の枕石」は、南側にある椎の老木下の湖中にある。干ばつの年、この枕石を地上にあげ雨を乞うと、不思議に雨が降ると伝えられる。 昭和五十六年十月吉日 余呉町観光協会