【抗疫特集】七日間のハルビン隔離生活(2022.10.24)

松花江
隔離先のホテル

早朝から色々慌ただしかったが、ようやく何とか機内の座席に座れた。ホッとする。飛行機は離陸後しばらく日本海を進み、やがて朝鮮半島を横切り黄海へ抜ける。すると中国大陸が見えてくる。最初は山東半島、次に遼東半島が確認できる。以前訪れたことのある場所が目視できた。当時のことも少し思い出す。山東半島の「威海」では食堂でアサリ酒蒸しを食べて中毒になり大変だったこと、遼東半島の「旅順」では203高地など日露激戦地で持参した鎮魂の酒を飲んだことなど・・・。飛行機は遼東半島の東海岸から陸に入り、哈爾浜まで北上する。成田から4.5時間ほどかかったか、無事ハルビン太平国際空港(HRB)に着陸、またホッとする。
ところで前回の大陸訪問は2019年10月(参照:「五泊六日の渭南・華山・咸陽1」)、ちょうど3年ぶりだ。それまでの間、中国での就職をコロナ禍の影響で何度も断念したということもあり、この3年間は特に長く感じた。ただまだ感慨にふけるのは早い。乗ったリムジンバスは前後計4台の警察車両に挟まれてホテルまで移動、10日間の隔離生活(7日間の施設隔離+3日間の自宅隔離)が始まるのだ。隔離が解除されるまでは外部との接触は一切許されない。でもまぁここでジタバタしても仕方がない。これも珍しい貴重な経験と考えて落ち着いてのんびり過ごすとしよう。

山東半島
山東半島(高徳地図より転載)
1997年 威海・劉公島の砲台跡 このあとアサリを食べて食中毒になる
遼東半島
遼東半島(高徳地図より転載)
2017年 旅順203高地の爾霊山記念碑
哈爾浜市内の建物群が見える
ハルビン太平国際空港

ホテルに到着。今回七日間隔離でお世話になるのは「如家酒店.neo(哈尔滨火车站果戈里医大一院店)」。如家酒店は中国全土に展開するホテルチェーンで、私も別の土地で何度か利用したことがある。各自チェックイン手続きをし体温計等を受け取って部屋に入る。7日分の宿泊費+食費が発生するが、私の場合は勤務先が負担する。私に割り当てられた部屋は2階の大通りに面した狭く暗い部屋で、「コンフォートイン六本木」の壁の風景よりましだが、小さい窓からの眺めも殺風景で評価するに値しない。これから七日間を過ごす隔離部屋としては理想に反する環境である。あぁ、困ったものだ・・・

Trip.comで紹介する「如家酒店・哈尔滨火车站果戈里医大一院店」

7日間は何をして過ごしたかということだが、私はパソコンを使って毎日40分×2コマの遠隔授業及びその予習もあったので退屈することはなかった。他には当ブログの記事作成にいつもより多くの時間を使うことができた。もちろん定期的なPCR検査も行われた。以下に主な項目の時間表を紹介する。
【PCR検査】4:00—6:00、医療担当者が各部屋の入り口で検査を行なう。
【体温測定】8:00-8:30、15:00-15:30、結果写真をメールで送る。
【配  膳】朝7:30-8:00、昼11:30-12:00、晩17:30-18:00
【ゴミ出し】18:30-19:00、ドアの前の床に置かれたトレーに置く。
 ※7日間の食事については別の記事で紹介する。

部屋から見えるホテル前の「果戈里(ゴーゴリ)大街」

7日間の隔離からようやく解放される。昼前それぞれの目的地別に移動用の車両が到着、荷物を持って建物の外に出る。一週間ぶりの屋外、曇りだったが光が少しまぶしく、空気も新鮮で気持ちよかった。それもつかの間、車に乗るよう促される。これから3日間の自宅隔離、少し我慢すると自由になれる・はずだった。実は午前中関係者から連絡が入り、別の施設で更に7日間の隔離が必要だと聞いたのだ。急な変更、あぁ~どうなっているのこの地域の防疫政策は・・・。同じ車に乗っていた日本国籍のキムさんも突然7日間に変更されたと言っていた。まぁ慌てず騒がずお茶でも飲みながらのんびり過ごしましょ・・・

荷物を積み、次の隔離施設へ出発する。如家酒店さん、お世話になりました。
再見~~

【出国直前】三泊四日の東京&成田(2022.10.21)

21日朝6時半頃、東京駅近くのバスターミナルに到着。24日には成田空港から哈爾浜行きの便に搭乗するが、その前に中国駐日大使館・領事館の指定検査機関、或いは厚生労働省の登録検査機関で前後2回のPCR検査が必要だ。その都合で二日間は東京、出発前日は成田で宿泊することにした。前回の上京は記憶では2004年なので18年ぶりである。ただパッと見た感じでは街の様子はそれほど変化していない。先ずは六本木のホテルへ重い荷物を預けに行った。この後は何も予定が無いので、のんびり散策でもしようと上野公園へ行くことにした。

なおこの文章は哈爾浜市内の隔離宿泊施設で記している。お陰様で無事に哈爾浜に到着、入境後は7日間の施設隔離+3日間の自宅隔離が求められ、本日29日は隔離6日目、31日の午後には地元政府の車で自宅へ移動するとのことだ。隔離中の様子は今後記事にする予定である。

清水観音堂の前にある階段を下り、不忍池の橋を渡って弁天堂を見学し、さらに池の周囲の道を進んでいると、「園林飲み」にふさわしいエリアにたどり着いた。さっそく近くのコンビニで缶酎ハイ「STRONG ZERO 9% ダブルレモン」を購入、座る場所を探していると、ちょうどいいベンチを見つけた。その地点からは不忍池と上野の森、そしてスカイツリーを同時に眺めることができる。酎ハイを飲みながらボート遊びをする人たちをしばらくボ~ッと眺めていた。天候にも恵まれ、気分も爽快、ストレスフリーの癒しタイムである。今回は上野公園を選んで正解だった。  

上野公園で癒された後はホテルに向かう。今回の宿は「コンフォートイン東京六本木」。二か所のクリニックにもアクセスが良く、また朝食にはタイ料理が出ると聞き興味があったのでこのホテルに泊まることにした。結果から言うと朝食はアタリで、予想以上にタイ料理の味がよかった。一方、部屋はハズレ。狭く、窓も開かず、窓の外は一面の壁、手を伸ばせば届くほど接近している。圧迫感、窮屈感が甚大で、次回この部屋は遠慮したい。

地下鉄駅から地上に出るとこの交差点がある
この坂を下って行くとすぐにホテルが見える
コンフォートイン六本木
タイ料理の店 ホテル入口はこの反対側にある
一日目の朝食
グリーンカレースープ おいしくてもう一杯飲んだ
トムヤンクンラーメン 酸味スーブもたまにはいい
二日目の朝食
タイ風のお粥、旨味が凝縮していて大変おいしい
六本木ヒルズから見た風景

23日午前10時頃、千代田区麴町のクリニックで2回のPCR検査を終えた。ホテル近くに移動、少し時間があったので六本木ヒルズまで散歩した。久々に見る東京タワーの姿が印象的であった。ホテルに戻り預けた荷物を受け取って東京駅へ、東京駅からは成田エクスプレスに乗って約1時間、空港第2ターミナルで下車する。シャトルバスで「日航ホテル成田」へ向かう。「コンフォート六本木」の部屋が残念だったので、ここは大丈夫だろうかと不安であったが、部屋に入ったとたんその不安は吹き飛んだ。窓からの眺望がすばらしく、ちょうど飛行機が着陸している様子も見ることができた。窓は開閉可能で新鮮な空気を存分に取り入れることができる。さらに部屋代が千葉県の旅キャンペーンで割引きされ、そのうえ3,000円分のクーポンまでもらえた。六本木とは天と地の差だ。さっそくホテル内のローソンで酒を買い込み、この後の一大イベントに備える。

昨日の1回目PCR検査の結果は「陰性」、もうすぐ2回目PCR検査の結果が出る時間だ。するとクリニックからメールでPDF版「陰性証明」が届いた。先ずは安心する。次はいよいよ最終段階、18時までに健康コードの申請を完了させ、その後は緊張しながら結果を待つ。この結果が悪ければ明日は搭乗できない。申請直後はコードは赤色、問題なければ緑色に変わるのだ。ドキドキする。緊張を抑えるため缶酎ハイ「STRONG ZERO 9% ダブルレモン」、次にビール「キリン一番搾り」を飲む。どのくらい時間が経ったのだろうか、やがて結果判明のメールが届き、恐る恐るスマホの画面を確認すると、コードは幸せの「グリーン」色に変化しているではないか!フ~、ホッとした。今回は就労(Z)ビザの取得を含め、多くの煩雑な手続きで大変苦労したが、それを思い返すと本当に感無量だ。さっそく祝い酒として冷蔵庫で冷やしておいた日本酒「沢の鶴・純米酒《山田錦》」をグビグビ飲む。プハッー!うまい!


明日は寝坊しないで空港に行くだけだ。ただ第3ターミナルへは行ったことがないので不安が残る。まだ就寝時刻まで余裕があるので下見と食事を兼ねて空港へ行くことにした。チェックインカウンターの位置を確認してから、フードコートへ向かう。ここではラーメンを食べることにした。普段は外でラーメンを食べることは稀だが、まぁたまにはいいだろう。

和風とんこつラーメン(全部のせ)

ソバで腹を満たした後はシャトルバスでホテルに戻る。部屋では窓から暗闇に浮かんで見える夜の空港を眺めながら、ウイスキー「WHITE HORSE」をロックでグビグビ飲む。するとやがて気分は大いに昂揚し気炎が上がる。出国の時がきた、ちぇすと行けー!