今回は土日の休みを利用して旅行した。依蘭は地方にある小規模な町、観光スポットも少ないので一泊で充分だと考えたのだ。行政区画としては哈爾浜市に属し「依蘭県」と呼ぶ。百度百科によると、面積は約4,616㎢、人口(2020年)は約25.8万人。ただ実際訪れてみると事前には知らなかった興味深い場所やこの町を起点にして移動すると便利な史跡なども多いので、旅はやはり日数的に余裕があったほうが旅程的にも心身的にも都合がいい。
さて依蘭までは哈爾浜駅から高速鉄道を利用。車窓からの景色は平野に広がる農作地が多かったが、途中から丘陵地帯に入り、きれいな山並みも見ることができた。約1.5時間で依蘭駅に到着、高い位置にあるホームから周囲を見渡すと、高いビルはなく農地が延々と広がっていた。つまりこの駅は町から少し離れた場所に建設されたということだ。町の中心部まではバスで25分ほど。駅を出るとロータリーに町行きのバスが待機しているので便利だ。
鑫雅朶酒店 バスを降りてから徒歩で一泊お世話になるホテル「鑫雅朶酒店」に向かう。予約した当初は小さな町のホテルということであまり期待していなかったが、到着して部屋に入るとまぁまぁ広く清潔さも感じられたので安心した。ところでホテル名にある「鑫」という漢字、これは日本で普通は使用しないので、中国で初めて見た時は面白い字だなぁと思ったものだ。「金」が三つもあり縁起が良く金運も良くなりそうな印象を受ける。辞書で調べると確かにそのような意味があり人名や屋号に使われることが多いという。実際中国の街を歩いていると商店の看板にこの字が書かれているのをよく見かける。
町の様子 町の中心にある「依蘭商厦」は中央大街と通江路の交差点の北東部にある商業ビルだ。私が靴下を買いたい事をホテルのフロントのおばさんに聞いたところ、ここを勧められた。日本から持って行った靴下のすべてに穴が開き困っていたのだ。行ってみると最上階の催事場で安価で質も良さそうな靴下が売っていたので8足購入した。記憶では1足3元で合計24元、日本円は現在レート480円くらいだ。まぁ良い買い物ができて満足している。
依蘭商厦の入口には赤い三輪タクシーがいくつも止まっていた。バス本数と路線自体が少ないので住民にとっては大切な交通手段である。私は今回は使うことがなかったが、雨の日の買い物には便利だろう。
商業街の辺りは比較的高いビルも多く買い物客で賑わっているが、中心部から外に向かって歩いて行くとすぐに低層の建物が多くなり、空が広く見えるようになる。やはり依蘭はそれだけ小規模な町ということなのである。ただ私自身はこのような小ぶりな町が好きだ。初めて来た場所なので実際にはどうか分からないが、人や建物による圧迫感をあまり感じず、逆に長く住むほど愛着がわいてくるような気がする。
廃墟の古住宅 私はなぜか多少荒廃して薄汚くても時代を経た古い街や建物に魅力を感じる。以前に当ブログで、例えば「10日間の吉林市・長春市」でも廃墟となった古住宅を取り上げている。今回依蘭に来た目的は廃墟の古住宅を見に来たわけではなく、元々それがあること自体も知らなかったが、一旦自分の目でそれを見てしまうと気になって仕方がないのである。まぁこれも変な性格だなぁ~と自覚してはいるが・・・。その魅力を一言で言えば「味があること」であり、もっと言えば「懐かしさ、家族の温かさ、生活の喜怒哀楽の記憶が伝わってくるような気がすること」とも言えるだろう。現在古住宅は順々に解体され高層マンションに建て替え、住民もその部屋に移転しているのであろう。確かに最新設備の整ったマンションでの生活は安全で快適で便利だろう。しかし時には炭を焼くにおいがただよう路地、当時泣いたり笑ったりした古い家を懐かしむこともあるだろう。
一日目は今回の主要目的地である依蘭博物館とテーマパーク「五国頭城」にも行ってきたのだが、それらの画像がかなり多いので次回紹介することにする。
夜はホテルの部屋で、依蘭商厦の斜め向かいの地下にあるスーパーで買った黒竜江省伊春市産の白酒「農墾人」(38度)を飲み、また普段は健康を気づかいほぼ口にしないジャンキーなインスタント焼きそば今麦郎「香辣肉醤炒麺」を食べながら中国テレビドラマ「燦爛的季節」(2022年、全40話)を見る。よく知らない町の宿で酔っ払いながら好きなドラマを見るのもいいものだ。部屋の窓からは暗闇に「依蘭県人民医院」の文字が赤く光って見える。Ok, let’s drink chinese hard liquor and eat junk food tonight!! まぁ何かあればこの病院に行けばいいので安心だ。このようして夜は更けていくのである。对不起,都是我的错・・・