五泊六日の黒河(5)最終回


この日は黒河駅から列車で哈爾浜へ戻る。来た時と同様に寝台車を利用、到着は翌日となる。出発時刻は18:46、時間的に余裕がある。朝食はホテルでとり、その後はチェックアウト時間の昼12時まで部屋でゆっくりする。チェックアウト後はいつもの河岸公園の道を通って昼食をとる店へ向かう。
途中のケーキ屋さんで求人広告があり、具体的な給与額が表示されていた。それを見ると現在の黒河市における給与レベルが分かるので面白い。
例えば、レジ担当=3,300元(約67,000日本円)+有給休暇1日+業績給
    女性工場作業員=2,500元(約50,000日本円)
    


西洋料理「徳洛克」で昼食  ここは黒河到着日に夕食をとった店だ。飲み物は先ず「俄羅斯鮮醸黒啤(ロシア黒ビール)」。うん、まあ普通にうまい。料理を二品ほど食べてから前回高評価であった「俄羅斯鮮醸黄啤(ロシア黄ビール)」を注文。う~ん、やっぱりこれだ。スッキリ、サッパリ、フルーティー、それでいてコクもある優れたおいしさ。今後黒河に来る予定はないので、もうこのビールを飲めなくなると思うと非常に残念である。ただ哈爾浜にも西洋料理店がいくつもあるので、理想のビールを探しに店巡りをするのも楽しいだろう。さて料理は「俄羅斯宋湯(ボルシチ)」、「俄式烤香菇(ロシア式焼きシイタケ)」、「俄式罐燜羊肉(ロシア式羊肉壺煮込み)」を注文。どれも満足のおいしさだ。

 

再び河岸公園へ  食後は河岸公園へ向かう。店でビール大ジョッキを二杯飲んだのでほろ酔い気分、通過中の公園には木陰に適当なベンチがあったので少し休憩する。風もそよそよと吹き、うとうとする。思い出せば、到着初日こそ朝から忙しく観光したが、翌日以降は何も予定がなく実にのんびりとストレスフリータイムを過ごしてきた。これ自体は悪いことではないが、ただこのような安逸な生活ばかりを続けていると逆に頭がボケそうで心配だ。やはり適度な緊張感も健康的な生活には必要不可欠であると実感した。
その後ベンチを離れ、黒竜江を左手にみながら遊歩道を歩き進む。そして橋を通って大黒河へ渡る。前日にもここへ来たが、この日はちょうど逆の方向で歩いている。対岸のロシアの街を眺めると、前日は音楽も響きにぎやかな様子であったが、この日は何か静かだ。日曜日なのでロシアの皆さんは朝は教会へ行き、午後は自宅でゆっくり休んでいるのだろうか。


駅に到着、これから寝台車で哈爾浜へ帰る。黒河駅発18:46のK7034、乗車約11時間、哈爾浜には朝6時頃到着する。しばらくは車窓から外の景色を眺めていた。夜9時頃に三段ベッドの真ん中(中鋪)に上がり睡眠をとる。

就寝、そして到着  行きと違い今回は不快な異音もなく比較的快適に睡眠できた。そして気が付けば外は明るくなっていた。やがて列車は松花江の橋を渡り、哈爾浜駅に到着。住み慣れた街に戻りホッとする。

駅から自宅マンションまで徒歩約30分、途中人気の観光スポット「ソフィア大聖堂」を通り過ぎる。ここまで来ると自宅はすぐ目の前、上の画像では右手に二つの同形状のビルが見えるが、右側のビル内に自分の部屋がある。今回はのんびり旅だったのでそれほど疲れはない。翌日からはいつもの通りの生活が再開するのだ・・・

五泊六日の黒河(4)2023.06.21


【四日目】黒龍江で水浴び  この日も特別な予定はないが、天気が良ければ川で水浴びをしようと考えていた。先日多くの人たちが泳いだり遊んだりしているのを見て自分もしようと思い付いたのだ。ホテルで朝食をとってから川岸の公園へ向かう。少し歩くと水泳をしているおじさん集団がいたので、その辺りならば安全だと考え、荷を下ろして服を脱ぎ、簡単にストレッチをしてからゆっくり川に入る。水はそれほど冷たくない。思ったよりも流れの圧力を感じる。慣れない場所で無理をすると危険なので浅いところにとどまる。水は少し褐色に濁っていて潜ると水中での視界はあまりよくない。また近くに止まっている観光船から流れ出ているのか、時々機械油か燃料のような異臭がするのは不快である。まぁそれでも夏の黒龍江で楽しいひと時を過ごすことができた。


大黒河島で散策  水浴びの後は、何も用事はないが駅まで歩いて行き辺りをぶらぶらする。駅前の横断歩道では白線の塗り直し作業をしていたので少し眺めていた。動作はゆっくりだがまっすぐきれいに塗り重ねていく技は見事である。その後も街中を歩き続け、途中で市バスに乗って大黒河島へ行った。この場所は到着初日にガイドの李さんに最初に案内された場所だ。対岸に見える大きなロシア国旗が印象的な場所だ。この日は土曜日、ロシア側の人々も休日を楽しいんでいるのか、陽気な音楽と歌声が風に乗ってこちらまで聞こえてくる。ウクライナと戦争中ではあるが、遠く離れた地では日常生活への影響は大きくないのかもしれない。


愛輝歴史陳列館・黒河商会歴史陳列分館  川岸から近い場所にレンガ造りの立派な建物があるので行ってみると、「黒河商会歴史陳列分館」であった。本館はというと、先日璦琿で外国人ということで入館を断られた「璦琿歴史陳列館」だ。ただここは問題なく入館できた。聞くと建物自体は最近建てられたものだという。内部は当時使われていた品々が多く展示されている。印象に残ったのは初めて見る長く大きなソロバンや「大阪・木寺製作所」の看板など。「黒河省・島田支店」の筆筒も少し気になった。「島田」とは何の「島田」??


「列娜餐庁」で夕食   黒河商会陳列館の見学後はホテルに戻り二時間半ほど休憩。そして前日と同じ西洋料理店「レナ」に行って夕食をとる。行く途中の河岸公園ではダンス集団に遭遇、お揃いのピンクのユニホームを着て意気揚々とステップを踏んでいる。別の服を着て後ろから付いて踊っている人たちは新入生か、それとも飛び入り参加者だろうか・・・。
レナ到着、飲み物はウクライナ産ウォッカ「MERNAYA」の小瓶、料理は「假日沙拉(ホリデイ・サラダ)」、「生蠔(生ガキ)」、「俄式香煎鰈魚(ロシア式カレイのムニエル)」を注文。生ガキは今回中国に来て初めて食べる。甘いタレをかけてツルッと食べると、磯の風味が口いっぱいに広がり美味だ。合間にキリッと冷えたウォッカを飲んで口の中を整える。カレイのムニエルも非常においした。外はパリッ、中はしっとり、絞ったレモン汁のほどよい酸味も加わり魚の旨味を十分に味わうことができた。今まで哈爾浜では本格的な西洋料理店へ行ったことはないし関心もなかった。しかし今回おいしい料理を食べ、哈爾浜でもたまには西洋料理店で食事するのも悪くはないなぁと意識が変わった。


食事も終わり外に出る。レストラン前の道を渡った地点から「中央商業步行街」(歩行者天国)がはじまる。そこで夜は食べ物をはじめ服や雑貨など色々な商品が露店販売される。適当に眺めながら通り過ぎ、河岸の公園へ入る。その夜見る対岸の電波塔は前夜と違い、赤・青・虹色ときらびやかに変化していた。土曜の夜だからか町全体が明るく光り、にぎやかな様子がうかがえた。

ホテルに戻り廊下の窓から外を見ると、対岸のロシアの街では花火が打ち上げられている。音も大きくはないがこちらまで伝わってくる。ロシアの皆さんは土曜の夜を楽しんでいる。こちらも酒を飲みテレビドラマを楽しんでから寝ることにしよう・・・。