二泊三日の金沢市・福井市(上)2023.08.04


長野から高島の自宅へ戻る途中で金沢と福井に寄った。金沢で二泊、福井は半日観光して夕方に高島へ帰る。金沢も相変わらずの猛暑、体感温度は40℃を超えている。この街では外国人観光客をよく見かけるが、暑さで皆ヘトヘトの様子だ。金沢は見所が多いが、無理せずゆっくり観光しよう。

朝9時前、長野駅から北陸新幹線・かがやき号に乗り金沢へ直行する。所要時間は約1時間。元々のんびり各駅停車に乗り途中下車、観光しながら金沢へ向かうつもりだった。しかしこの暑さ、熱中症が心配なので止めた。やはり健康第一である。指定席に座ると、さっそく母が準備してくれた朝食おにぎりセットを食べる。飲み物は信州の純米酒「オバステ正宗」。プハ~、朝から飲む酒は効く~。残りの人生で、母の手作りおにぎりを食べることも多くはないだろう。感謝しながら味わう。やがて富山湾が見えてきた。海を隔て遠くにうっすら広がる陸地は能登半島。もうしばらくすれば金沢駅に到着する。


金沢駅到着  先ずは予約してある駅東口の「ガーデンホテル金沢」へ荷物を預けに行く。築年数がだいぶ経っているのか館内や部屋内は旧式感あふれている。ただ設備は一通り揃っていて不便はなく、部屋からの眺めも良い。さらに観光には駅前発のバス・電車を利用するので立地的には大変便利だ。では観光スタート、先ずは尾山神社・・・。


尾山神社  明治初期に金沢城の「金谷出丸」跡地に建立。和洋折衷式の神門が有名で、当時は海上の船のために灯台の役割もしていたというから少し驚いた。金谷出丸と「鼠多門」は大きな「鼠多門橋」でつながっている。橋の下に当時あった水堀は現在は道路が舗装されている。その他、境内に置かれている江戸時代の「石製の導水管」、力比べのための「さし石」などが面白い。更なる詳細は説明パネルの画像をご覧いただきたい。

新設の鼠多門と鼠多門橋 当時あった水堀は舗装されて道路になっている。


野村家屋敷跡  尾山神社を出て西に徒歩10分ほど所にある。この辺りは「長町武家屋敷跡界隈」と呼れ、当時加賀藩の中級武士の住居があった。そのうち野村家屋敷跡だけが一般公開されている。廃藩以降は敷地も分割、縮小したというが、確かに内部はそれほど広くないという印象だ。規模は小さいが樹木が多い庭園は緑が映えて美しかった。その他、展示されていた朝倉義景、明智光秀からの書状、 檜山義慎『本朝国郡建置沿革図説 』などを興味深く拝見した。古地図を見るといつも感じることだが、地名表記が現在と異なるのが面白い。例えば、信濃/科野、近江/淡海、山城/山背、播磨/針間、淡路/淡道、阿波/粟。字が変わればイメージも変わるものだ。一点、「サヌキ」が「讃吉」(注意:地図上の実際の文字は「つちよし」だが、Wordpressでは表示不可のようなので、便宜上「さむらいよし」で表記した)とあるが、なぜ「岐」ではなく「吉」とするのは疑問である。

明智光秀から野村伝兵衛への書状


武家屋敷の観光後はバスに乗り金沢の街をひと回りして金沢駅前まで行き、ホテルの部屋で少し休息する。気付けに地元のカップ酒を飲む。さて夕食までは時間があるので再度外出し周辺を散策する。するとある場所で「枯木橋」という橋を見つけた。説明によるとかなり古くから存在する橋で、掲載した画像にある溝は金沢城の最も外側に設置された堀であるということだ。やはり旅は徒歩でのんびり移動すると面白い発見があっていい。


漁師飯居酒屋 GOEN(ゴエン)  この日は朝から新幹線で移動、到着後も炎天下を一日中バスと徒歩で観光したので体力をかなり消耗し、食欲もあまりなかった。最近の日本の暑さは異常かつ危険、夜になっても気温が下がる気配はない。やはり真夏の観光は避けるべきだろう。結局店では地酒を2合、肴はカワハギの刺身、白エビの唐揚げ、ニギスの酒蒸しの三品だけ注文、それでも充分満腹になった。ただ一点、注文タブレットは便利だが電子機器を多用すると機械的で冷たい感じがする。やはり客と店員との直接的ふれあいを重視すべきであろう。
【参考】GOENのHP


店を出て金沢駅前まで歩いて来ると、闇の中にライトアップされた太鼓門が赤く鮮やかに輝いていた。なかなか見栄えがいい。さてさて明日も炎天下での観光が続く。部屋に戻ったら芋焼酎のロックをゴクッと何杯か飲んで早々に寝よう・・・。

【ふるさと信州 2023年7月】善光寺・かんだた・山故郷・浜名屋


一時帰国期間を利用して長野市に一週間ほど帰省した。父もだいぶ体が弱まりサポートが必要となったので今回は姉二人と共に必要な手続きや掃除、買い物などした。人生やはり何かしたいことがあれば体が動くうちに躊躇せずにすべきである。酒にしても以前の父はゴクゴクご機嫌に飲んでいたが、今は一切飲まない。飲みたい気分にもならないという。自分は幸いまだ酒が飲めるので、飲めなくなる日までは酒と楽しく付き合っていこうと思う。

京都駅  長野市へは京都駅八条口から高速バスを利用する。出発まで時間があったのでバス停近くの居酒屋「魚里ゐ夷 (とりいえびす)」で酒を飲む。日本酒を注文。この店の面白いところは酒が小さいヤカンに入れて出されることだ。酒の肴は、たこわさ、エビの唐揚げ、おばんざい三種を注文。どれもおいしい。ひとしきり飲んでからほろ酔い気分で店を出てバス停へ向かう。そしてバスに乗り、寝て起きると長野駅に着いているという具合だ。


善光寺  帰省すると必ず善光寺へ参拝する。善光寺に関しては以前に当ブログ「【保存版】信州狂人式「善光寺参り」①JR長野駅~善光寺交差点」で詳しく紹介した。今回そこで述べていない「親子の乳牛像」を紹介する。それは本堂の北西、忠霊殿の正面辺りに設置されている。親は善子(よしこ)さん、子は光子(みつこ)さん。ネットで調べると森永乳業からの寄付とのことだが、詳細は不明。その日は偶然その前を通り、何十年ぶりかで久々に親子の牛と対面した。その瞬間までは存在自体を完全に忘れていた。牛の近くには雰囲気のある茶屋が営業している。その日は猛暑で飲まなかったが、冬の寒い時期に飲む温かい甘酒は実にいいものだ。


手打ちそば屋・かんだた  帰省時は決まってそば屋さんに行く。この日は善光寺の帰りに前回食事してみて印象の良かった「藤木庵」(参照:【保存版】信州狂人式「善光寺参り」④そば屋さん他)へ行ってみた。すると多くの客で順番待ちができていた。夏のこの時期、寺周辺の飲食店はかなり繁盛しているようだ。まあ市内にはおそば屋さんが多いので別の店に行く。善光寺から「中央通り」をしばらく南下し左手に現れる「権堂アーケード通り」に入る。そして最初の交差点を右折し少し行くと右手に「手打ちそば」と書かれた白い提灯が見える。店は路地の奥にある。店内は狭いが雰囲気はある。一階のカウンター席に座り、先ずは純米吟醸酒「松尾・斑尾」の冷酒を注文。そばは「にぎわいセット」にした。最初に小鉢三種とサラダが出される。酒飲みには都合がいい。その後、特別純米酒「信濃光」の燗酒を注文。この酒は燗にすると香りが更にひきたつという。そうしているうちにそばが運ばれてきた。狭い店のカウンターで一人静かにおいしい酒とそばを楽しむ。こころ落ち着くひとときだ・・・。
【参考】かんだたHP


戸隠蕎麦・山故郷(やまざと)  「中央通り」と「昭和通り」の交差点北東、10階建てビル「TOiGO トイーゴ」の2階にある。店内は広くて明るく、気軽に入れる喫茶店のような雰囲気だ。2時過ぎに来たため客は自分一人だけ。ただ平日のランチタイムにはビジネスマンでにぎわうことであろう。ここでは「桂正宗」の冷酒と、「天ぷらざるそば」を注文。先ずは天ぷらを肴に酒を飲む。そして酒とそばを楽しむ。戸隠そばの特徴の一つは「ぼっち盛り」。ザルにそばを「ぼっち」という単位の束で盛り付けるのだ。これまた雰囲気があっていい感じだ。ほろ酔いで心落ち着くひととき・・・。おいしい酒と手打ちそばを気軽に楽しめるという環境は実に貴重である。
【参考】山故郷(食べログ)


炭火焼うなぎ・浜名屋  中央郵便局前から「昭和通り」と交差する一方通行の道を北に5分ほど歩くと右手にある。うなぎは高価な食べ物、普段はスーパーの安いうなぎを買って食べているが、たまには専門店で本格的な蒲焼を食べるのもいいものだ。うなぎが焼き上がるまでは肝焼きを肴に本生吟醸「亀の海」を飲む。しばらくすると重箱が運ばれてきた。そして中身を想像しながら蓋をパカッと開ける瞬間は少し緊張感もあって何ともいいものだ。結果は期待していた以上に立派な蒲焼が入っていてうれしくなる。早速ひと口食べるとプリプリ肉厚でジューシー、また炭火の香ばしさと秘伝のタレの旨味も加わり、「これがうなぎの蒲焼か!」と、想像以上のおいしさに少し驚く。うなぎの蒲焼を食べるなら絶対オススメのお店だ。
【参考】浜名屋HP


次の一時帰国は来年1月中旬を予定している。故郷のおいしい酒と食べ物、寒い季節はあたたかい燗酒がいいだろう。今から帰省するのが楽しみである・・・。