【三日目】朝、ホテルの部屋でインスタントの今麦郎「山西刀削麺」を食べてから出発する。バスで石家荘北駅へ行き、列車(二等寝台三段目・硬卧上铺)で太原まで行き,別の列車(硬座)に乗り換えて平遥に向かう。今回は大型連休なので直通列車の切符が買えなかったのだ。
さて山西省にある平遥は明代の城壁がほぼ完全に残っていることで有名な観光地だ。世界遺産にも指定されている。自分もかなり以前から行きたいと思っていたが、今回ようやくその機会を得た。
平遥駅に到着 古城の最寄りの城門「鳳儀門」までは徒歩約10分。城の周囲は市街地が広がり、駅から直接城壁は見えない。しばらく歩いていると突如道の奥に城壁が見えた。あれが平遥古城か! 確かに存在感は抜群である。先にスーパーで買い物してから城門前で入城料を払い、やっと中に足を踏み入れた。先ずは予約してある旅館「源隆客桟」へ向かう。
旅館に到着、手続き後に部屋へ案内される。主人は土産店も経営していて、部屋の出入りには土産店の中を通ることになる(その後、外に出る別の通用口を発見)。土産店は明代の建築物だが、宿泊用の建物は70年代に古代様式を真似て建てたものだという。
部屋に荷を下ろし、中庭で少し休憩する。慣れない土地を朝から次々と移動してきたので少々疲れた。旅館で買った地元ビールと、来る途中のスーパーで買った白酒を飲む。すると元気が徐々に回復、そこで城内の散策に出かけることにした。
城壁の上を歩く 宿を出たのが午後5時半、日が暮れはじめて辺りは次第に薄暗くなってきた。宿から近い「鳳儀門(下西門)」から城壁を上る。上から見る景色は格別、城内は高いビルなどの視界を遮るものがないので、かなり遠くまで見通せる。途中写真をパチパチ撮りながら全城壁の約1/3の距離を反時計回りに45分くらい歩くと「迎薫門(南門)」に到着した。すると係員さんが城壁の上はまもなく見学終了時間になると言うので、地上に下りて城内の散策を始めた。
城内の散策 日が暮れた城内のメインストリートは旅館や商店の電飾で明るく輝き、予想はしていたがかなり多くの観光客でにぎわっていた。ただ問題も起きた。城の中心にある「市楼」の南約150mの地点で、人々が道の両方向から殺到、異常に混雑し危険な状況が発生していた。自身もその近くにいて、2022年10月に起きた韓国ソウルの雑踏事故を思い出し緊張した。実は今回の滞在中に同じ場所で2度雑踏に巻き込まれ、1度目は来た道を戻り人の少ない脇道へ回避した。2度目は雑踏の中で前後左右から人の圧力を感じ、将棋倒しにならないかとヒヤヒヤしながらもゆっくり進み、何とか混雑地点を通り過ぎた。ただ後で冷静になると、危険を感じたら引き返す勇気が必要だったと大いに反省した。何か起きてからでは手遅れなのである。それ以外の場所は人は多いが危険を感じるほどではなく、普通に夜の町の景色を楽しむことができた。
平遥古城には数多くの飲食店が存在するが、観光客向けの郷土料理メニューは下の画像で示したようにどの店も大体同じ内容だ。もちろん食事も旅の楽しみの一つ、せっかくの機会なので翌日からは自分もご当地グルメに少しずつ挑戦してみよう。
メイン道路から外れて暗い路地に入ると、店も無く人通りも少なくてうら寂しい。ただそこでは古城の夜の別の姿を見ることができる。崩れかけたレンガの壁、古い建物のアーチ型の門、それらが灯りに照らされて暗闇に浮かびあがり、まるで大きな彫刻作品のようである。
平遥の一日目はこのようにして終了した・・・。