最終日、哈爾濱に戻る日だ。飛行機は16:20発なので、朝から昼過までの時間を利用して「黄沙古渡・原生態旅游区」を観光する。
起床後、窓から外の天気を確認するとスッキリ晴れているので安心する。蓮花型の人民劇場もきれいに見える。朝食はホテルでしっかり食べ、その後は予約していたタクシーに乗り黄河へ向かう。
ホテルからは1時間程の距離、その間は回族の運転手さんから彼の仕事やイスラム教の戒律、中国におけるイスラム教の現状等について色々と話を聞いた。同じイスラム教徒として新疆での状況にも同情しているという。彼から聞いた面白い話を一つ紹介する。彼の故郷である「同心県(寧夏回族自治区呉忠市)」は回族の人口に占める割合が100%という話で、少し驚いた。漢族が来て新たな店舗を開いても住民は誰も利用しないので、やがて閉店に追い込まれるらしい。後にネットで調べると、百度の説明では「100%」ではなく「89%」と記されていたが、何れにしても非常に高い割合であるということには違いない。機会があれば同心県を訪れ、どのような雰囲気かを感じてみたいとも思った。
黄沙古渡・原生態旅游区 9時到着。午後1時まで4時間の観光予定だ。この旅游区は広大で、自身が歩き回ったのは「黄河古渡文化区」というエリア。入口の東門から黄河の河岸までは徒歩で約40分、日射しも強く時間も節約したいので電動カートに乗って河岸近くまで移動する。かなり荒涼とした乾燥地帯で、人工的に植樹・潅水しないと植物はほとんど育たないという厳しい環境だ。カート降り場から自由な散策が始まる。白楊樹の林の奥に黄河の流れが見えると気分も高揚する。
過去に黄河の河岸まで行って水を手で触れたのは、済南(1992)が最初、その次は蘭州(2012)であった。参考に当時の画像も掲載する。
流水飲み@黄河 流水飲みは過去に何度も行っているが、母なる河・黄河での流水飲みは格別である。ボーっと河の流れを眺めながら、地元の白酒を飲む。ただこの地域でこの季節、日射しが強く暑い。しばらく飲んだら移動して場所を変え、そして適当な場所でまた流水飲みを再開する。
ところで今までの経験として、黄河の水際には軟らかい泥が堆積していて、歩くときに注意しないと足が泥中にズボッとはまり大変危険だ。一度水中に転落すると岸に上がるのは困難だと思われる。済南の画像で、ズボンの右膝辺りが汚れているのは、水際で足を取られて泥に膝をついたからである。
砂丘エリア 阿拉善では計画的にテンゲル砂漠を訪れ砂丘に登ったが、銀川の黄河でも砂丘に登ることになるとは思わなかった。砂丘スライダーやラクダ乗り体験など子供たちが喜びそうな施設が整っている。ただ暑さでへばっているような姿のラクダを見て少し気の毒になった・・・。自身、連日の観光で疲れは残っているが、何とか砂丘の上まで登る。上から見下ろす黄河の流れも水際での景色とは違ってまた美しい。酒がまだ残っていたので再び流水飲みを行う。
白楊樹について 銀川では白楊樹が道路沿いに植えられているのをよく目にする。この地域は放置しておくと砂漠に戻り自然に植物が育たないため、人工的に植樹・潅水する。その際、乾燥に強い「白陽樹」を多く利用するのだという。その幹は名の通り白く、それに触れると白っぽい粉が少し手に着く。白楊樹並木の白と緑が空の青さに映えて美しく、この地域ならではの独特な雰囲気を感じさせる。
空港での食事 チェックインを済ませ、搭乗までの時間を利用して食事する。ちょうど老舗料理店「老毛手抓」の分店があったので入る。ここでは銀川到着初日に「老毛手抓・本店」で食べた名物「手抓羊肉」と御当地麺料理「羊肉臊子麺」、そして勿論「西夏ビール」を注文。麺は具沢山で栄養バランスが良く元気が出そうだ。
そろそろ銀川ともお別れ。最後の銀川の味を楽しむ・・・。
哈爾濱行きの飛行機に搭乗後、離陸。しばらくすると機内食が配給される。チキンライスを食べる。味はOK。やれやれ、様々な思い出を心に詰め込んで哈爾濱に戻る。
実はこの文章、8月9日、雲南・麗江の民宿「麗江梵雲若水客桟」で書き上げている。この宿では夜中でも音楽を比較的大音量で流しているので、自分も負けずに部屋で地元の白酒を飲みながら、ジョン・レノン「Woman Is the Nigger of the World」、ジョン・デンバー「Country Road Take Me Home」、イーグルス「Doolin-Dalton」等を大音量で聞く。なかなかイイ気分だ・・・。
そして哈爾濱空港に到着。しばらく自宅で休息し、次の旅の計画を立てよう・・・