四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(4)最終回

瀏陽河


【四日目】この日も前日と同じ旅行社を利用して団体ツアーに参加。コースは下のチラシ画像に赤丸で囲んだ「A線:韶山(記念館)・花明楼一日游」。韶山は毛沢東の故郷、花明楼は劉少奇の故郷である。両人ともに誰もが知る今は亡き中国共産党の最高指導者だ。長沙に来た機会を利用して彼らの故郷を訪れてみた。

朝は前日のツアー同様にホテルの横にあるアポロ広場のKFCで集合、その後バスに乗り込み出発。途中、湖南人の大好物・小龍蝦(ザリガニ)の派手な外観の店があったので撮影した。大きなザリガニ像が目を引く。また初日に徒歩で渡った湘江に架かる湘江大橋を通る。バスは早いスピードで進み続け周囲は田園風景へと変わる。農地には稲作地が多いようである。約1時間で最初の目的地「花明楼」に到着。

湘江

花明楼  風景区自体は広いが、今回のツアーでは「劉少奇旧居」と「劉少奇記念館」の二か所を訪れた。周りは緑あふれる環境で心が落ち着く。旧居に到着。正面には広い池が広がる。ここでは湖南地域の伝統家屋が見学できて大変勉強になった。当然、今住んでいる東北地方の伝統家屋にある「オンドル」は無い。そして感じたことは、すべての機能が同じ屋根の下で完結されていること。脱穀する部屋も同じ屋根の下。豚や牛などの家畜部屋も別棟ではなく住人部屋からほど近い位置にある。臭いや鳴き声は気にならないのであろうか。それとも「天井(吹き抜け)」によって緩和されるのだろうか。その他、ベッドには布が覆い被されており、それは蚊の侵入防止や温度変化の緩和、プライベート保護などの対策意識が感じられる。


劉少奇同志記念館  ここでは劉少奇の足跡や関連文物を紹介している。蝋人形も上手に作られていて臨場感がある。一連の説明は、文化大革命で批判・失脚・弾圧・幽閉され、1969年に悲惨に獄死した彼が、1980年に名誉回復(中国語「平反」)されたことで終了。もし名誉回復されていなかったら、当然この記念館も存在していなかったということだ・・・。


韶山  花明楼から韶山へ移動。所要時間は45分ほど。周辺の環境は花明楼同様に水田風景が広がっている。そしてバスは巨大な施設「全域旅游咨詢集散センター」に到着。ここから身分証確認を経て旅游区に入る。そして別のバスに乗り、先ずはお土産購入と昼食をする施設に行く。自身は職場の上司・同僚に韶山産の緑茶を購入した。その後は土産店の地下にある食堂で昼食。メニューには様々な料理があったが、毛沢東の故郷なので当然「紅焼肉」(豚肉の醤油煮)と自身の好物「西紅柿炒蛋」(トマトと卵炒め)、そして米飯を注文。酒はミネラルウォーターのペットボトルに入れ替えてある湖南焼酎をチビチビ飲む。どちらの料理も味は良く量も充分、まんぷくまんぷく・・・😊


毛沢東銅像広場  昼食後は銅像広場に移動。そこでは各地から集まった団体や個人が整列し順々に大きな毛沢東像に献花する。私の参加したツアー客も献花式を行ったが、私は外国人で立場が違うので献花の列には加わらなかった。ただ個人的にお辞儀した。その後は近くにある「韶山毛沢東同志記念館」を見学。様々な文物が展示されていたが、朝鮮戦争で中国人民義勇軍が実際に使用したという自動小銃が特に印象に残っている。


毛沢東故居  毛沢東が生まれ幼少期を過ごしたという家屋。その入口までは参観者の長い行列があり、自身は約1時間並んだ。建物内部の様子は劉少奇の旧居とほぼ同様。家の正面に広い池があることも共通している。見学後に近くの小高い丘があったので登る。そこには毛沢東のご両親の墓地があり、自分も花(無料)を供えてきた。そして登ってきた時とは別の道を通って集合場所の旧居前に戻る。途中は人の姿も少なくひっそりしていて、ちょっとした森林浴気分だ。さて、これでこの日のツアーも終了。バスに乗り長沙市内へ戻る。
長沙駅近くで解散。ホテルに帰る途中、土産屋で地元焼酎「韶陽」を買う。部屋で今回の旅を振り返りながらチビチビを飲む・・・。  


【五日目】哈爾濱に戻る日。飛行機は午後の便なので、午前は恒例の「流水飲み」をするべく「瀏陽河」へ向かう。これがこの旅で最後のイベントである。先ずは地下鉄「長沙駅」から「雅雀湖」まで行き、地上に出てから徒歩で瀏陽河の河岸公園へ向かう。着いた場所は河の周囲に高層マンションが目立ち、自然の雰囲気はかなり損なわれている。またこの時は雨でうっとうしさも感じた。しかしまぁ瀏陽河であることには間違いないので、おもむろに焼酎の入ったペットボトルを出し、河の流れを眺めながらチビチビ酒を飲む。そしてほろ酔い気分で湖南民謡『瀏陽河』を小声で歌う。これでこの旅も終わる。何か感慨深いものを感じた・・・。


朝食の肉絲麺  流水飲みの後、地下鉄駅近くの麺館で朝食をとる。長沙ではずっと米粉麺ばかり食べていたので、この時は小麦麺にした。この店の良いところは無料薬味の種類が豊富なことだ。その時の気分に応じて味を変えることができる。自身はおそらく最初で最後の利用となるので、すべての薬味を載せて食べてみた。思っていた以上に薬味はスープに溶け込み、麺・スープともにおいしく味わった。


哈爾濱到着  飛行機は定刻通りに離陸。雨がうっとうしかったが、上空で青空が見えた時はスッキリした気分になった。しばらくすると機内食タイム。豚肉炒めには湖南らしく付属の唐辛子ソースをかけて食べる。う~ん、なかなかおいしい。そして約3.5時間で哈爾濱に到着。窓から松花江と哈爾濱の街が見えた時は少しホッとした。
さてさてこの後7月中旬からの夏休み期間中、1ヵ月間(31泊)の旅行計画がある。今回の短い旅でも多少は疲労が蓄積したので、次の出発までは哈爾濱でゆっくり生活して体調を整えたいと思う。それでは、お疲れ様でした・・・😊

四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(3)2024.06.06


【三日目】この日は日帰り団体ツアーに参加した。下に旅行社のチラシを載せたが、自分が参加したのは「D線 岳陽楼、洞庭湖、屈子文化園一日游」、費用は200元に割引してくれた。元々は一人旅で汨羅を観光後に岳陽で一泊し、翌日長沙に戻る予定で、ホテルも予約し鉄道切符も購入済みであった。ただチラシを見ているうちに、この日に日帰りできれば翌日は「A線 韶山(記念館)花明楼一日游」にも参加できて効率が良いと感じたのだ。結果としてはより多くの場所が観光できて良い記念にはなった。ただやはり団体ツアーでは観光や食事の時間も限られているので慌ただしかった。

朝はホテル横のアポロ広場で集合、大型バスに乗り汨羅へ向かう。長沙市内を流れる瀏陽河の橋を渡って進んでいくと、やがて緑あふれる田園地帯に入る。1.5時間ほどで汨羅の市街地に至り、汨羅江に架かる橋を渡る。橋の手前で人気アニメキャラクターの名を冠した「喜羊羊超市」というスーパーがあったので撮影した。後でネット地図で調べると関係性は不明だが同名のスーパーが中国全土に多数存在していることが分かった。今住んでいる哈爾濱市内にも数店ある。喜羊羊、万人に愛される名称なのであろう。
まもなく最初の観光地「屈子文化園」に到着。ちょうど端午節(旧暦5月5日、2024年は6月10日)の二日前で、園内は端午節の装飾がなされ、祠前の湖ではドラゴンボートの練習をしている様子も見えた。正門に入るとすぐ近くに屈原が入水した汨羅江を間近に見える場所がある。そこでしばらく川の流れを静かに眺める。
その後は観光車に乗り「屈子祠」(屈原を祀った廟、記念館)があるエリアに向かう。そこでは屈子祠、再現された屈原の旧居、屈子書院などを見て回る。周辺は樹木が生い茂り、川や湖もあって自然は大変豊かだが、それ以外は特になにもなく物寂しい。おそらく夜になると辺りは真っ暗になり、虫や鳥獣の鳴き声が聞こえてくるのであろう。屈原が当時暮らしていた場所の雰囲気を少しでも感じることができたと思う。

瀏陽河
汨羅江

園内観光はまもなく終了。バスに乗る前、もう一度だけ汨羅江を眺める。この地を訪れることは今後はもうないだろう。最後にあいさつする。
屈原さん、さようなら・・・。


岳陽で昼食  午後1時前、バスは岳陽楼風景区に到着。観光を始める前に風景区に隣接する料理店「和天下漁館」で食事する。メニューを見るとおいしそうな地元料理が色々あるようだ。ただ自分はお一人様で、そのうえ食後の集合時刻まで時間が短かった。そこで看板メニューの「豊鍋回頭魚」(回頭魚のスープ)だけ注文することにした。
百度百科によると「回頭魚」は鯰科の淡水魚で、長江や洞庭湖などに生息する。近年は環境汚染の影響で野生種の数が減少し、養殖が行われているという。
さて店内の水槽で自分の食べる魚を選ぶ。食べきれないともったいないので極力小ぶりの個体にした。魚はすぐ調理場に回され、自身は席に戻りペットボトルに入れ替えて持参した焼酎をグラスで飲む。するとまもなく料理が運ばれてきた。その大きい鍋を見て、やはり小さめの魚を選んで正解だったと感じる。味はオススメだけあって非常においしい。白身はプリプリ弾力があり旨味を感じる。黄色いスープは味の説明が難しいが、ほどよい濃さで味付けも良く何杯でも飲めそうだ。するとガイドさんがテーブルまで来て、食事はゆっくりすればよく、食後は一人で風景区に入るようにと言われた。おそらく風景区での観光時間に余裕があるのだろう。団体ツアーでも状況によっては臨機応変に対応してくれて大変ありがたい。そして安心し落ち着いて酒を飲みながら魚スープを味わった。


岳陽楼風景区  ここには有名な楼閣「岳陽楼」、そしてその正面には洞庭湖が広がっている。入場後は先ず湖をしばらく眺める。実に広く立派な湖だ。見えている範囲も湖の一部分でしかない。その後は案内図を参考に、「鉄枷」、「点将台」、「呂仙祠」、「小喬墓」、そして「岳陽楼」の順番で見学する。この風景区に三国時代・呉の将軍・周瑜の夫人「小喬」の墓所があったのは意外だった。この地域と当時の歴史との関連性を全く意識していなかったからだ。まぁこのような発見が旅の面白さでもあるのだ。

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小喬之墓  好きな中国歴史TVドラマに「新三国」があり、今まで何度も繰り返し視聴してきた。当時の様子がきれいな映像で再現されているので、参考に小喬と周瑜が登場する場面を複写・掲載する。

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岳陽楼では長い行列ができていた。集合時間まで余裕がなかったのでので残念だが楼に登るのは諦め、基壇から湖を眺めた。まぁ回頭魚スープもおいしかったので今後機会があればまた岳陽を訪れ楼上に登ることにしよう。さて岳陽楼と言えば杜甫「登岳陽樓」が有名だ。悲壮感ただよう内容で気分も暗くなる。杜甫の流浪の旅はかなり過酷だったのだ。S狂人のほろ酔いお気楽旅行とは根本的に異なるのである。

集合後、バスに乗り約2.5時間かけて長沙へ戻る。長沙市内に至ると朝と同様に瀏陽河に架かる橋を渡る。車窓から某施設の前に設置された巨大ピカチュウが見えたので撮影した。まもなく解散場所の「アポロ広場」に到着する。


夕食に出る  長沙到着後はホテルで少し休息してから夕食に出かける。駅前から地下鉄に乗り五一広場で下車、いつもの火宮殿へ向かう。時刻は夜9時過ぎ、街は多くの人々でかなりにぎわっていた。


火宮殿  三回目の来店。先ず白沙ビールを注文。そして料理は湖南名物の「牛腩饊子」(牛筋麺)と「桂花糖油粑粑」(甘い餅菓子)、「青椒煎茄子」(ピーマンとナスの炒め)。饊子という麺は少し硬い印象で、粑粑は酒飲みの自分ににとって甘すぎだ。青椒煎茄子は自分好みの甘辛い味付けで、これまたおいしく炊けてある米飯と一緒にパクパク頬張った。
う~ん、ウマウマ・ウシマケタ😊!!


お腹も満たされた。店を出て地下鉄でホテルへ帰る。午後11時半頃、長沙駅で下車すると、夜はいつも黄色くピカピカの駅舎が暗い。ライトアップの時間が終了したということか。さてさて翌日は韶山ツアーに参加する。連日の観光で少し疲れを感じる。早めに寝ることにしよう・・・。