1ヵ月間の中国西部(18)雅魯藏布江・羊卓雍措


【16日目】この日はラサを離れギャンツェ(江孜)経由でシガツェ(日喀則)へ向かう。途中の主な見学地は、「ヤルンツァンポ川(雅魯蔵布江)」「 雅江河谷展望台」「ヤムドク湖(羊卓雍措)」「カローラ氷河(卡若拉冰川)」「マンラ貯水池(満拉水庫)」。それぞれの場所で数多くの写真を撮ったので、2回に分けて投稿する。

朝8時頃、ラサのホテルを出発。マイクロバスはラサ川の橋を渡り、しばらく川に沿って進む。前日見学したポタラ宮が川の向こうに見える。


ヤルンツァンポ川(雅魯蔵布江) 9時頃、トイレ休憩を兼ねて、曲水県バスターミナル(曲水县客运站)近くで停車、ヤルンツァンポ川を眺める。川の概要は百度百科から引用する。それによると、ヒマラヤ山脈の氷河から始まりチベット内を流れ、墨脱県で国境を出て流れる。中国内での長さは2,057km。その後、インドとバングラデシュを通りベンガル湾に注ぐ。ラサ川も支流の一つ。

その後もヤルンツァンポ川に沿って進む。途中、道路脇の岩の表面に白い塗料で多くのはしごが描かれているのを発見。これは宗教的な意味があるという。


ヤルンツァンポ川展望台  9時半頃、川の展望台に寄り少し休憩する。観光客の記念撮影用に白いヤク、チベット犬(チベタン・マスティフ、藏獒)、ヒツジが動員されている。どれもおとなしそうでかわいい。ところでチベットの動物は全般的に毛が長いという特徴があるのだろうか?


雅江河谷展望台  10時頃、雅江河谷という渓谷の展望台に到着。しばらく風景を楽しむ。画像にある通り海抜4,280mという。非常に高い場所であることは頭で理解できるが、正直あまり実感がわかない。この場所ではもヤク、チベット犬、ヒツジが動員されていた。


ヤムドク湖(羊卓雍措) 峠を移動中の車内から下方に青い湖面が見えてきた。絶景である。車は山を下りながら湖に近づいて行く。そして11時頃、ヤムドク湖の三号展望台に到着。ここでしばらく湖の風景を楽しむ。水際まで行ける歩道もある。湖水は遠くからは青く見えるが、近づくと無色透明。しばらく辺りを歩きながら風景を楽しむ。この湖の面積は約640㎢。琵琶湖が約670㎢なので近い数字だ。ただ海抜はまったく違う。


地元農家で昼食  三号展望台を離れ、車で湖畔沿いの道を西に約20分移動する。途中、一面黄色い菜の花畑が美しい。昼食のため白地村の農家を訪れる。敷地内を少し見学すると、燃料用のヤク糞が至る所に積み上げられている。大量の数だ。同じ大きさに丸めて丁寧に並べてあり感心する。ヤク糞の壁、これは今回の移動中に車内から何度も見た光景だ。それだけチベット人にとって貴重な資源なのであろう。その他、地面のブルーシートの上で、何か緑の草を乾燥させているのを見た。残念ながら植物の種類は不明のままだ。敷地の北側には「扎西帰桑曲林寺」という名の寺院があるが、その屋根部分だけが見えている。


部屋に案内される。窓から青い湖が見える。ソファーに座ってお茶とお菓子をいただく。白い方は「牦牛奶渣」、ヤク牛乳の絞り粕から作られる。少し口に入れると、硬く薄味だった。室内を見渡すと装飾が色鮮やかで、柱や梁にも模様が描かれている。食器や調理器具がきちんと並べらている。中には今まで見たことのない「酥油桶」という細長い筒状の道具もある。これは「酥油(バター)」を作るために使う。

やがて料理が運ばれ、自分で皿に適量を盛り付ける。スープはヤク肉とジャガイモのカレースープ。飲み物は度数の低い醸造「青稞酒」をいただいた。他のメンバーの皿を見ると、自分は大盛りであることに気が付く。ただ空腹だったのでペロッときれいに完食した。味は哈爾濱の東北料理に比べて全体的に薄い塩味。日本人なので受け入れられるおいしさ。健康にもよさそうだ。ごちそうさまでした~😊


食後、出発するまで湖畔でのんびりする。それにしても美しい湖だ。子牛がいたので近寄って撮影した。小さくてかわいい。精神的にとてもいやされるひと時である・・・。さて、次の目的地はカローラ氷河(卡若拉冰川)。高校生の時、乗鞍岳の雪渓を見て感動したという思い出があるが、今回の氷河はいかなるものであろう。その内容は次篇にゆずる。

1ヵ月間の中国西部(17)拉薩 ❷


【15日目】ラサの3日目。早いもので一か月旅行も残り半分。この日もラサ市内の観光。主要訪問地は、「ジョカン寺(大昭寺)」「ポタラ宮」。その他、ジョカン寺周囲の「八廓街」の散策、団体観光終了後は個人でホテル周辺の散策、鉄道「ラサ駅」を見学した。

朝9時過ぎホテルを出発、徒歩10分でジョカン西門に到着。その間、家屋が密集する路地や八廓街を通る。八廓街では五体投地しながら少しずつ前へ進むで巡礼者の姿が見られた。テレビで見たことはあるが、実際に見るとインパクトがある。そして彼らの信心の強さを認識する。通りには様々な店舗が軒を連ね、黄色い外壁が目立つ有名なチベット料理店「瑪吉阿米(Makye Ame Restaurant)」の前も通る。

瑪吉阿米(Makye Ame Restaurant)


ジョカン寺(大昭寺) 門前では多くの人たちが五体投地で礼拝を行っている。大変熱心だ。それほどこの寺が重要な存在だということなのであろう。中に入ると中庭から四方の屋根が金色でピカピカ輝いているのが見える。
7世紀、吐蕃ソンツェン・ガンポ王により創建。以後歴代王朝で拡張が続き現在の規模になった。本尊は釈迦牟尼像。王に嫁いだ唐の文成公主が持参したと伝わる。


寺周囲の見学  ジョカン寺を出たあと八廓街を歩く。多くの商店が軒を連ね、巡礼者と観光客で大変にぎわっている。ガイドさんに連れられ土産センター内を見学。ピカピカ輝く仏具や装飾品、数珠等が所狭しと陳列されている。ただ私は断捨離中なので何も買わない。そして外に出るとジョカン寺に入るための長い行列に遭遇。チベット族の人々のジョカン寺に対する絶大な信仰心を再認識する。


路地見学  八廓街からホテルへの帰り道である路地に入る。路地には集合住宅や宿泊施設、土産店、食品店、飲食店、雑貨店などがひしめき合い、地元民と観光客が雑居して生活臭漂うエリアだ。

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住宅見学  ガイドさんに案内されて地元民の住宅を見学。中庭をコの字型で囲む三階建て集合住宅で、全16部屋ほど。建物の構造は前日利用したレストラン「卓瑪拉宮晩餐庁」と似るが、長期間改築や壁面塗装をしていないのか老朽化がかなり目立つ。電気メーターの写真を見ると分かるが、各部屋ごとに電気使用量が管理されている。ガイドさんによると一部屋に一家族が住んでいる状況だという。つまりこの地区の人口密度はかなり高い。そういえば、去年私が香港で利用したホテルの部屋が狭くとても窮屈だったことを思い出した〔参照:五泊六日の香港・澳門・珠海(1)〕。

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茶館体験  ガイドさんに案内されて現地の茶館「純浄魯固」を訪問、「甜茶」を飲む。店の建物は歴史的建造物に指定されていて、確かに室内外は独特な雰囲気が漂っている。また人気店なのかお客さんも多い。大きめのテーブルとクッション付きの長イス、とても落ち着ける。お茶の味はキリン「午後の紅茶・ミルクティー」と似て、甘くておいしい。チベット族の人たちに交じりゆっくりお茶を飲んでいると、現地生活に溶け込んでいるような気がしてくる。短い時間だったが、よい体験ができた。


ポタラ宮  昼過ぎ、ついに世界的に有名なポタラ宮を見学。あまりにも有名なので説明は不要であろう・・・。

到着後、先ずはいくつかの異なる地点から外観を眺める。背後は青い空、そしてムクムクした白い雲で覆われているが、宮殿の赤い縁取りで輪郭が際立って見える。う~ん、まことに美しい。順路としては、先ず南側の壁に沿った外階段をゆっくりのぼる。その後、上層階の建物から中に入り内部を見学、最後は北側の外階段をおりていくと出口になる。
上から見える山や街の景色はすばらしい。南側はジョカン寺の金色の屋根が、南側は山のふもとにセラ寺が目視できる。建物内の歴史的文物も貴重で珍しいものが多く見る価値は高い。ポタラ宮、人生で一度は訪れることをお勧めする。

★上:南東側の眺め。中央左の市街地に金色に輝く屋根がジョカン寺。

★上:北側の眺め。中央右の山腹に一筋の水平線が見えるが、それはチベット仏教寺院「熱卡扎日追」。その下にタール寺がある。


夕方の散策
午後4時過ぎホテル到着、この日の団体観光も終了。その後は特に予定もないが、部屋にいても退屈なので外出する。まずホテル近くの「小昭寺路」を北上、「林廓北路」まで歩く。そして付近のバス停「熱木其」から1路バスに乗って終点の鉄道「ラサ駅」へ向かう。ラサ初日は鉄道で駅に到着したが、すぐに迎えの車に乗って移動したので、もう一度駅をゆっくりと見ておきたかったのだ。途中、広いラサ河を渡る。
駅舎はチベットの伝統的なデザインと色彩を取り入れているようだ。駅前広場はかなり広いが人の姿が見えないのが不気味だ。切符売り場にも入ってみた。室内は広く天井も高いが、人も少なく寂しさを感じる。次にチベット舞踊の彫像がある北広場とその周辺を散策する。北側には遊園地の白い観覧車が見える。ただラサ駅周辺地区は鉄道客以外は人の往来が少ないのか活気がなくサビれた様子である。やはり人々はジョカン寺のある華やかな市内中心部に吸い寄せられてしまうのであろう・・・。気持ちは理解できる。それでは、駅前バス停からまた同じ1路バスに乗って街に戻ろう・・・。

バスに乗車中、窓からこの日見学したポタラ宮が見えた。空は暗く曇っているが、宮殿の存在感は圧倒的である。バスを降り来た道を戻っていると、チベット料理店があったので気になりメニュー写真を撮影した。昼過ぎに茶館で飲んだ「甜茶」もある。「臧面(チベット麺)」も茶館メニューにあったが気になる存在だ。その他は別の地域にもよくある一般的な料理のようだ。

この日の活動は終了。あとは部屋だ青稞酒を飲むだけ・・・。
翌日はラサを離れギャンツェ(江孜)経由でシガツェ(日喀則)へ向かう。朝8時前にホテルを出発し、途中いくつかの観光地に寄るのでシガツェのホテル到着は夕方になる。移動時間は長いが、まぁ仕事ではないので気は楽だ。さてさて、翌日どのような新しい出会いが待っているのか楽しみである・・・。