1ヵ月間の中国西部(16)拉薩 ❶


【14日目】ラサの2日目。いよいよ市内観光が始まる。この日の主要訪問地は、「デプン寺(哲蚌寺)」と「セラ寺(色拉寺)」。

デプン寺(哲蚌寺) この寺はセラ寺、ガンデン寺(今回見学予定なし)とあわせたゲルク派(黄教)のラサ三大寺院の一つ。毎年チベット暦の6月に行われる祭で巨大タンカが開帳されることで有名。青海省・西寧でもチベット仏教の「タール寺」を見学したが〔参照:1ヵ月間の中国西部(12)西寧 ❸ 〕、ここでも独特な雰囲気を強く感じる。水路の水力で回るマニ車が面白い。岩に描かれた色鮮やかな大小様々なタンカ(宗教画)が目を引く。概要はWikipediaから引用する。

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ガンデン・ポタン(甘丹頗旦)
ダライラマ3世、4世、5世の宮殿。最上階がダライラマの居住空間。ダライラマ5世は後にポタラ宮へ転居した。

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ツォク・チェン(措欽大殿)
大集会殿。寺の中心にある最も古く重要な建築物で、ダライラマ2世、3世、4世の霊塔が安置されている。建物前の広場からは市街地や山並みなどのきれいな景色が眺められる。仏殿には金色にピカピカ輝く巨大な弥勒(強巴)仏像が置かれ、上階からは頭部のみが見える。入口上部に扁額「穆隆元善」が掲げれている。百度百科には「这块匾额是时任驻藏大臣的琦善在他任满调离西藏的清道光二十六年(公元1846年)7月刻制奉献的」〔日訳:清・道光26年(1846)に駐蔵(チベット)大臣・琦善が任期満了で離任する際に奉納〕とある。

【参考】駐蔵大臣衙門遺跡

琦善(1786-1854)はアヘン戦争での対応で道光帝を激怒させ官位剝奪・追放されたが、後に赦免されてラサに赴任したという。なお駐蔵大臣の役所跡(駐蔵大臣衙門遺跡)は、ジョカンの北、八廓北街に面している(参考:上画像)。

最後に僧房の建物を見たらデプン寺観光はほぼ終了。境内の食堂で昼食をとり、少し休憩する。そして次の見学地であるセラ寺(色拉寺)に向かう。


セラ寺(色拉寺) ラサの北郊に位置する。ここは僧侶たちによる問答修行を見学できることで有名。概要はWikipediaから引用する。

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僧侶の問答修行
午後3時から「辨経場」と呼ばれる場所の中庭で僧侶たちによる問答修行が行われる。時間になると先に観光客が入場し中庭を囲んで座る。次に僧侶たちが集まり修行を始める。見た様子では二人一組で行う。先ず立っている一人が質問し、座ったままの相手が応答する。彼らの言葉が理解できないのがとても残念だ。さてこの日の見学はこれで終了、ホテルに戻る。


買い物ついでの散策
この日の団体観光は午後4時に終了、ホテルで少し休息してから街へ買い物に出かける。ちなみにホテル名は「鋼堅拉薩飯店」。全体的に老朽化しているが街中にあり、有名な「ジョカン(大昭寺)」とその周辺の「八廓街」へも徒歩10分と観光にたいへん便利だ。
今回の購買対象は地元の酒。現地の民芸品などは買わず見て楽しむだけ。それというのも自身は人生の終焉を見据え、すでに断捨離活動も始めている。なるべく物を増やさず身軽でシンプルな生活を心がけているのだ。
さてホテル前の「北京東路」を西に向かって歩いていると比較的大きなスーパーがあったので入る。店員さんに酒売り場を尋ねると、酒は販売していないという。そこで酒を置いている別のスーパー「百益特産批発超市」を紹介してもらった。ホテルからは徒歩15分ほど。北京東路をさらに西へ進むと「朶森格路」との交差点があり、その北西角に当スーパーがある。交差点には歩道橋があり、四方の街並がきれに眺められる。特に南側、市街地の奥に突如ギザギザした山が行く手をはばむかのように聳え立っていてるのが大変印象的だ。


スーパーで買い物
百益特産批発超市の酒売り場に到着。店内は明るく清潔で気分がいい。酒類の品揃えが豊富なのがうれしい。ここで買ったのは青稞酒(ハダカムギ焼酎)を2種、拉薩ビール、青稞ビール。購入後はホテルに戻り、さっそく青稞酒を飲む。海抜3,650mの高地で、52度の烈性酒。チビチビ飲んではいるがすぐにホロ酔い状態、緊張がほぐれ気分も落ち着く。そして「自分は今、ラサにいるのだ」という旅情感がわいてくる・・・。ただこの後、外食の予定がある。空のペットボトルに酒を入れて外出の準備をする。


チベット料理の夕食
ホテルからは徒歩数分、ツアー会社が手配したレストラン「卓瑪拉宮晩餐庁」に到着。路地の中にあるチベット族の伝統的家屋をホテル兼レストランとして営業している。確かに建物や装飾が独特で面白い。この地区は家屋が密集しているためか、採光・通気・防犯性・快適性などの目的で、狭いながらも中庭を設けているのであろう。
その中庭でビュッフェ形式の夕食。ここで人生で初めてヤク(犛牛・りぎゅう)の肉を食べた。煮込んであるのか硬さもクセもなく普通に食べられる。ただ非常においしいという印象はなかった。もちろん部位や調理法によって味わいも変化するだろうが、今後自ら店で注文して食べるということはしないだろう。


夕食後はホテルに戻り少し休息し、再度外出して夜の街を散策する。下の画像二枚は夜10時頃のホテル近くの様子。ラサは日照時間が長く日没時間も遅いので、比較的遅い時間でも営業している商店や屋台が見られる。
翌日も市内観光は続く。夜のラサの街、その余韻を感じながら青稞酒をグビッと飲む。そして酔いが回ったらガバッと寝よう~😴・・・

1ヵ月間の中国西部(15)青蔵鉄道🚞


【12日目】西寧の5日目。7月31日、西寧駅21:50発の青蔵鉄道で22時間かけてラサへ向かう。青蔵鉄道と言えば、世界一の標高を走る鉄道として有名。その存在は昔から知っていたが、ようやく乗る機会がやってきた。飛行機で行く方法もあるが、急にラサの高地に降り立つと高山病になる恐れがあるので、ゆっくり登っていく鉄道が適当だと考えた。以下では便宜上いくつかの時間帯に分け、それぞれの見所を紹介する。

西寧駅発21:50
座席は以下のチケット画像のとおり「軟卧・上鋪」(ソフト寝台・上段)、ラサまで快適に移動できる。洗面台もきれいだ。無料配布のオシャレな青い縁取りスリッパもイイ感じ。ただそれよりも重要なのは車内の客室内や通路に多く設置されている「酸素供給装置」。高地で気分が悪化した時に無料の専用チューブを接続して酸素吸入できる設備だ。乗務員が使い方を丁寧に教えてくれる。実際に今回、体調不良者が酸素吸入をしているのを見た。
さて出発時はすでに夜、ベッドに上がり白酒をチビチビ飲んでくつろぐ。酒の独特な香が室内に広がり、隣の人がチラりとこちらを見る。しばらくしてから就寝する😴・・・


8月1日07:10 ~ 唐古拉駅13:40
朝目覚めて外を見ると、景色が尋常ではないので驚く。雪をかぶった山が近くに見えるではないか。正確な地点は不明だが、時刻や画像から判断して「望昆站」(青海省)辺りだと思われる。8:30頃、広大な草原にはチル―(チベットカモシカ、藏羚羊)の群れを確認。オスの長い角が特徴的だ。その辺りにはチル―の保護区や観察スポットがある。ちなみにヤクの放牧は沿線の多くの場所で確認できる。11:30頃、「沱沱河駅」(青海省)、そして沱沱河(トト河)に架かる「長江源頭第一橋」を通過。沱沱河は長江の源流と言われている。12:50頃から名は不明だが雪を載せたきれいな山並みを車窓から色々な角度で眺めることができる。


唐古拉駅13:40 ~ 那曲駅16:30
唐古拉駅(青海省)は海抜5,068m、世界一標高の高い駅。富士山の標高が3,776m、それよりも更に高い場所をこの鉄道は走っているのだ。う~ん、何か異次元な環境で不思議な雰囲気を感じる。那曲駅(チベット自治区)までは神秘的な青い湖、広大な緑の高原を眺めることができる。ヤクの群れも見ていて楽しい。


那曲駅16:30 ~ ラサ駅19:55
この区間も上記とほぼ同様の風景が続く。列車が山に近い場所を通ると、迫力のある山風景が楽しめる。おなじみのヤクの群れの他、この地域ならではの青稞(ハダカムギ)や菜の花の耕作地も確認できる。菜の花畑がひときわ黄色く輝いているのが印象的だ。やがてラサ河が現れ、まもなくラサ駅に到着。


ラサ駅着19:55
ラサの標高は3,650m、ただ自身の体調に異常は感じられない。やはり西寧(標高2,275m)からの乗車で高所順応ができたのだと思う。車内でも白酒をチビチビ飲んでいたので、チベット滞在中に烈性酒(スピリッツ)を飲んでも問題ないことを確信した。


さてさて青蔵鉄道、当初から予想していた通り、非日常的な景色や雰囲気を楽しむことができた。私は年寄りなので、今回が人生最初で最後の乗車となるであろう。まぁ存分に楽しむことができたので、それでいいと思う。
さいごに、西蔵鉄道に乾杯~!😊