





【3日目】10月3日。いよいよ峨眉山に登る。登山1日目は、列車で成都東駅から峨眉山駅まで、タクシーで峨眉山駅から山麓まで行き、登山スタート。ひたすら歩き続け、万年寺経由で九岭崗まで行き、山小屋で一泊。登山2日目は、頂上まで行き、ホテルで一泊。登山3日目は、ゴンドラリフトとバスを利用して報国寺まで下り、その後は徒歩で峨眉山駅まで行き、列車で成都東駅に戻る。
成都東駅6:34発の列車C6273で峨眉山駅へ行く。乗車時間は約1時間。駅到着後は、元々バスで麓の報国寺まで向かう予定だった。しかしいくら待ってもバスが来ないので、仕方なくタクシーを利用して伏虎寺の手前まで行く。




ショック!、まさかの入山チケット売切れ!!
さて、タクシーの女性運転手さんが、「入山チケットは持っていますか? 今はもう売切れで購入できませんよ。」と言うので寝耳に水、衝撃を受けた。なに~!入山できなければ計画が狂い登山も強制終了だ。確かにスマホで事前購入できることは知っていたが、旅行前に購入しようとしても上手く購入できなかった。原因はID番号入力の際にパスポート番号が使えなかったことだったと記憶している。その時は、まぁ現地ゲートで買えばいいくらいに考えてたのだ。ああ、なんてことだ、面倒なことになったな・・・。

※入山チケット販売のスマホ画面。10月3日の門票(160元)➔售罄(売切れ)
「何とかなりませんかね? 私は外国人で、スマホ購入が上手くできなかったんですよ・・・。」神にすがるような思いで運転手さんに聞く。すると「外国人なら特別枠で購入できるかもしれません。ただ車を降りたらそのまま五顯崗の登山口まで行き、そこで入山チケットを買わなければなりません。そこまで徒歩で約3時間かかります。」
元々の計画では「中峰寺」を過ぎたら直接「清音閣」へ行き、その後は「万年寺」を経由して「九岭崗」へ行くルートであった。「中峰時」から「五顯崗」に行くと遠回りとなり、約1、2時間のタイムロスとなってしまう。だが仕方ない。その方法に最後の望みをかけよう。タクシーを降りると、意を決して颯爽と歩きだす・・・。



【峨眉山マップ】上:全体図、 下:登山1日目のルートとポイント拡大図





五顯崗に到着 タクシーを降りてから焦りもあったので、早いペースで精力的に歩いた。結果、3時間かかると言われていたが、2時間で五顯崗の登山口に到着。そして入山チケット売り場で事情を話すと、すんなり購入することができた。はぁ~、ホッとする。これで峨眉登山が継続可能となった。
ところで、チケットには「外賓票」と印刷されている。やはりこれがポイントか。実は過去にも同じようなことがあった。ウルムチ博物館に到着後、スマホでチケット取得画面を見ると、残数は0枚。その時も精神的ショックを受けた。わざわざ遠方からきたのに・・・。そして窓口の人に相談すると、身分証確認後すんなり発券してくれたのだ。おそらく中国では不慣れな外国人旅行者には多少の配慮があるだろう。
やれやれ。心に余裕が生まれ、景色を楽しみながら登り続ける。しばらくすると澄んだきれいな水の池や水路が見えた。なかなか風光明媚ですばらしい・・・。







心臓破りの石階段 階段の連続でかなり体力を消耗する。やっと上がり切ったと思ったら、また次の階段が現れ、心的ダメージも深刻だ。ふ~、しんどい。かなり疲れる。確かタクシーの運転手さんも峨眉山は他の有名な山に比べて数倍過酷だと言っていた・・・。





この日は曇時々雨という天候。途中から霧も出て周囲は真っ白、景色が見えないという状況も発生した。山の天気は変わりやすい。これは仕方ないことだ。


九岭崗に到着 タクシーを降りてから歩き続けること7.5時間、ようやく九岭崗に着いた。ここにある山小屋「峨嵋山維鳳旅飯店」で一泊する。到着時は明るかったが、やがて日が暮れてきた。荷物を部屋に下ろすと少しだけ周囲を散策。山と霧の景色は水墨画のようで美しい。





山小屋に戻ると多くの照明がまぶしく光り、休憩している登山客の数も増えている。皆疲れているのだろう。椅子に座りぐったりしている人も多い。それは私も当然理解できる。普段あまり運動もしない50代半ばのオッサンが山を7.5時間も歩き続けると、使い古した濡れ雑巾のようにヘトヘト・ドロドロになるのだ・・・。



部屋に戻るとシャツを洗って干す。そして山小屋で買った焼酎「郎」を飲んでくつろぐ。プハ~、ク~。五臓六腑に染みわたるとは正にこのこと。心身の緊張感・疲労感が緩和され、気力が回復してきた。やはり酒は百薬の長だ・・・。
ここで部屋について少し紹介す。この部屋は屋根裏で、屋根の傾斜で狭苦しい。建物自体もかなり古く汚く、室内も不潔感があり、毛布類も洗っていないので臭いを発しドロドロしている。正直この山小屋はお勧めできない。C-tripの設備説明では「シャワー、給湯(24時間)」とあるが、ウソ。お湯は出ない。そこで男性主人に苦情を言って、夕食を値引きしてもらった。その夕食は四川名物「回鍋肉」を注文。部屋は最悪だが、料理の味は良い。まぁ、長年多くの登山客に食事を提供していると調理の腕もあがるのだろう。




夜中も部屋の外から人の歩く音が聞こえてくる。窓から外を見ると、多くの登山者が次から次へと来ては建物前を通り過ぎ、頂上方面へ向かって歩いて行く。夜間も登り続ける人達だ。夜間登山は危険で、また景色も楽しめないので私はしない。それは個人の自由だ。皆さんの無事を願う・・・。
さて、翌日は頂上まで行く。どれほど過酷なのかは不明だ。しかしもう引き返すことはできない。最後の気力を振り絞って前へ進もう~。そのようなことを考えながら、やがて眠りにつく・・・。

