





冬休みを利用して海南島を観光した。旅の主な目的は、海岸風景と海水浴、海鮮を含めたご当地グルメを楽しむこと。哈爾濱や滋賀県とは異なる南国特有の風物により多く触れることができればと期待する。旅程は以下の通り。
関空➔(Air)➔海口《3泊》➔(Train)➔文昌《2泊》➔(Train)➔
東方《3泊》➔(Train)➔三亜《3泊》➔(Air)➔関空
【1日目】1月30日。関空10時発。しばらくして機内食が出る。中国国内線の機内食とは違い、そのハイ・クオリティーに満足する。上海で乗り換え、海口美蘭国際空港に着いたのは午後8時前。そこからバスで市街地へ移動、さらに別のバスに乗り換え、ようやく9時にホテル到着。長時間の移動で疲れたが、まぁ無事に来れてホッとする・・・。





部屋に荷をおろしたら、近くの商店へ酒を買いに出かける。地酒はないかと店主聞くと、出されたのは「三威牛大力酒」(生産地:海口市)。甘い薬膳酒だ。ちょと違うな~と思ったが、まぁたまにはいいかな・・・。別の酒も二つ一緒に購入した。
実はその後、薬膳酒を飲む機会が増えた。海南島ではこの種の酒が人気らしく、自分もそれに適応したかたちだ。旅行中ということもあり、疲労回復の効果も多少は期待できるだろう。



【2日目】1月31日。海口観光のスタートだ。この日の主な訪問地は、「白沙門ビーチ」「白沙門公園」、瓊州府城跡にある古建築、騎楼老街とその周辺。もちろんご当地グルメも楽しみだ。
朝はホテルの朝食をしっかり食べる。味は普通。食堂の窓からは濃い霧に包まれた街並が見える。おいおい、峨眉登山の時のように悪天候が続くのか!? 多少不安になる・・・。


白沙門公園 市バスに乗り、11時頃到着。南口から入り、園内を北上し、海岸に出るというルート設定だ。敷地はかなり広大で、緑地や池塘の他、遊園地や飲食店もあるので一日ゆっくり過ごすことができる。ヤシの並木や群生しているのを見ると、南国に来たなぁ~実感する。




白沙門ビーチ 公園北口を出ると、すぐに海岸が見える。曇りでスッキリしない天候だ。しかしそれでも、砂浜で波の音をききながら潮風に吹かれていると、日常のストレスがスーッと消えていくようで、いやされる・・・。ところで、海南島では海水浴する予定だが、このビーチでは海の中で泳いでいる人は誰もいない。この時期は気温が十分に高くないからなのか、理由は良く分からない。海南島も大きいので、北と南とは状況が違うのかもしれない。




しばらく海を眺めたら、次の観光ポイント・瓊州府城跡エリアへ向かう。
ところで公園北口付近には兵士の石像がある。説明では1950年4月、この辺りで解放軍と国民党軍との激しい戦闘が行われ、解放軍側は百余名の犠牲者が出たという。きれいな砂浜に多くの人々が憩う現在の様子からは想像しがたいことだ・・・。
その後、園内を南下し、南口から出て、近くのバス停からバスに乗る。



瓊州府城跡と周辺エリア 明清時代にあった瓊州府城とその周辺跡地には、今でも古い建物が多少残っている。この日はその中のいくつかを見て回る。

丘浚故居 丘浚(丘濬、1421-1495)は明代の著名な学者・政治家。瓊山(現在の海口)の出身。現地の説明によると、この建物は明初に建てられ、海南省内で建築年が判明している建物の中では最も古く、当時の木造建築の構造を知る上で貴重な文物という。敷地は広くなく、ゆっくり見ても30分あれば十分だろう。
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呉氏民居 丘浚故居の近くにある。宣統2年(1910)に建てられた中国と西洋の建築様式が融合した建物。建物正面を見ると、多少すす汚れてはいるが荘厳さがあり、きちんと管理されている様子。ところが門をくぐり中に入ってみて驚く。建物がひどく朽ち果てているではないか・・・。しかもニワトリまで飼育されている。そしてこの時、高齢者の男女2名が部屋の中にいるのも見た。もしかしたら管理人で、ここで家族が生活しているのかもしれない。何れにせよここが政府の保護対象歴史的建築物とは信じがたい状況。財政難で修繕費用が捻出できないのだろうか・・・。





府城鼓楼へ移動 呉氏民居を出て住宅内を通り鼓楼へ向かう。途中、大きな井戸で女性が野菜を洗っているのを見た。今でも井戸が大活躍とは意外だ。



府城鼓楼 30分ほどで鼓楼に到着。鼓楼といえば、楼閣がそびえ立ち、周囲には適度な空間があり、そこから東西南北に道路が延びているというイメージがある(参考:銀川の鼓楼)。しかしここは違う。狭い路地の中に他の建物に囲まれて存在感が薄い。まぁ、よく言えば「住宅地に融合した飾らない庶民派鼓楼」なのであろう・・・。



下図:銀川の鼓楼(2024年5月撮影)

関帝廟 鼓楼を離れ、路地の中を5分ほど歩くと小規模でかわいらしい関帝廟がある。安置されている関帝像も勇猛でいかめしいものではなく、漫画チックで愛嬌がある。きっと地元住民からたいへん親しまれていることであろう。



海口騎楼老街 瓊州府城跡エリアを離れ、バスに乗り人民公園まで移動。そこから博愛路に入り騎楼老街エリアへ向かって北上する。なお「騎楼」というのは、道路に面した建物1階部分を数メートル歩道として開放する西洋風建築様式のこと。雨や日射しを避け安全に通行できる利点がある。さて、文明路との交差点を過ぎた所からカラフルな騎楼風の建物を多く見かけるが、比較的新しい建物のようで重厚感がない。さらに北上すると新民西路の辺りから本格的な騎楼が多く出現する。少し歩いただけだが、想像していた以上に騎楼老街エリアは広く見ごたえがあると感じた。






早めの夕食 騎楼街を少し見て歩いた後、レストラン「浅水湾」で早めの夕食をとる。時刻は午後3時半。混雑する時間帯を避けた。店内は数組のお客がいるだけ。静かに落ち着いて食事ができて良い。




さて、酒は海南の薬膳酒「海馬貢露酒」。キリッと冷え、疲れているので甘味もおいしく感じる。なお「海馬」とはタツノオトシゴのことで、漢方薬にも使われる。ただこの酒の成分表を見ると海馬は一切入っていない。料理は店オススメの「蜜汁叉焼・蜜汁排骨の2種盛り」と「炒小海蟹」「蒜蓉蒸生蠔(4個)」の計3品。甘ダレ肉炙りはパリッ、トロッとしていて美味。小ガニ炒めは殻までバリバリ食べる。カキは旅行開始直後で少し不安もあったが、結果はオーライ。すべて大満足、ごちそうさまでした😊~






海口鐘楼 海口のランドマークタワー。騎楼老街の北に隣接した場所にある。現地の説明によると、民国期の1929年に5層の塔が初めて建てられた。その後の老朽化により1987年に再建、6層にグレードアップされたニュータワーが誕生。周囲に高い建物がないので遠くからも良く見える。





さてさて、海南島の旅行が本格始動した。初日としてはなかなかの出来栄え。翌日は海南省博物館に行く予定。大きな収穫があることを願う・・・。
