五泊六日の楡林・米脂・延安(5)最終回


5月4日、旅の5日目。この日は午前中から延安市内を観光し、午後5時半の列車で楡林へ戻る。楡林では特に予定もなく、酒を飲んで寝るだけだ。これで旅も終了、翌日は飛行機に乗って哈爾濱へ帰る。

朝8時前に起床。さっそく窓から宝塔山を眺める。前夜のきらきらライトアップされた夜景とはかなり印象が異なるが、山の上ですっくっと立つ姿はいつ見ても格好良い。
9時にホテルの朝食をとり、部屋で少し休んでから外出する。チェックアウトの際、ホテルスタッフから中国の伝統民間工芸品「剪紙(切り絵)」をプレゼントされた。赤紙に福の字と各種模様が精巧に刻まれ、なかなかきれいだ。小型額なのでどこにでも飾れるのが良い。こころ温まる贈り物、ありがとうございました。その後はホテル前から市バスに乗り「棗園」へ向かう。


棗園  市街地にあるホテル前から北西方向に市バスで約30分で棗園に到着。入場は無料。広い敷地内には緑が広がり、一見普通の公園のようにも見える。色々な建物があるが、人気は当時の中国共産党最高指導者たちの旧居。多くの参観者たちが建物前で記念撮影をしている。概説は百度百科から引用する。

(左から)任弼時、周恩来、毛沢東、劉少奇、朱徳


宝塔山  棗園から市バスで宝塔山付近まで移動、歩いて観光センターに向かう。入場料60元を払い風景区内に入る。区内は広く見所が散在しているが、私の場合は時間の制約もあり「宝塔(嶺山寺塔)」だけを観光して帰る予定。塔に向かって歩を進めると、途中「日本工農学校跡」「陝甘寧辺区医院跡」がある。この地で「日本」という文字が目に入ると少しドキッとする。どちらもサラッと見学し宝塔に向かう。 


宝塔  観光センターから20分ほどで宝塔の下に至る。宝塔は革命聖地・延安のシンボル。間近で見てもなかなか立派な塔だ。有名な歌曲「延安頌」(1938)の最初の部分にもこの塔が登場する。
    夕阳照耀着山头的塔影、月色映照着河边的流萤
    春风吹遍了坦平的原野、群山结成了坚固的围屏
塔の概要については以下に現地案内板の画像を掲載した。
さて、到着当時は何かのトラブルで塔内見学が中止されていたが、周囲を散策しているうちに見学可能になった。さっそく入塔料10元を払い、最上階に向かって登り始める。多少息は切れるが、ここ数日はよく歩いて鍛えているので間もなく最上階に到着。上からの眺めは良い。自分が利用したホテルも見える。少し景色を眺めたら早々と下りる。それは階段がかなり狭く、観光客が殺到したら危険だと感じたからだ。かなり前のことだが、開封の鉄塔でも雑踏事故を恐れて塔に登るのを諦めた経験がある。やはり安全第一・・・。


延安駅前で食事  宝塔見学も終了。山を下り市バスで駅へ向かう。この頃、風が強く黄砂が巻きあがり、空も黄色くなる。運悪く哈爾濱から持参した透明サングラスが壊れゴミ箱に捨てたので、砂が目に入りイガイガする。まぁこういう地方なので仕方ないか・・・。時刻は午後3時半。列車出発まで2時間ある。少しお腹も空いたので駅前の食堂で軽く食事。ここでは中国バーガー「肥痩肉夾饃」とスープ麺「粉条羊雑」を注文。ツルッとした透明な「粉条」(はるさめ)、お店に人によると原料は緑豆とのこと。この二品でお腹もふくれる。


延安駅出発  列車は午後5時33分発、約3時間かけて楡林に向かう。普通席でもよかったが予約時点で完売、仕方なく寝台を利用。まぁ横になると体もかなり休まる。料金は少し高いが、疲れている時はそれもいいかと思う。


楡林到着、先日も利用したホテルへ向かう。今回の部屋はバスタブ付きなのでうれしい。お湯にゆっくりつかり旅の疲れをいやそう・・・。ただその前に、晩酌用の酒と食べ物を買いに出かける。


酒は地元焼酎「老楡林」の小瓶、「小郎酒」と一緒に買う。食べ物も近くの店で「回鍋肉蓋澆飯」(ホイコーロ・ライス)をテイクアウト。部屋に戻り、風呂に入ってスッキリしたら晩酌タイムのスタート。
まずは郎酒をグビッと一杯飲む。フ~、いやされる。やれやれ、今回の旅もたしかに疲れたが、内容はかなり充実した。
楡林・米脂・延安にカンパイ~!ありがとう~!感了謝了~!
【注意】「感了謝了」は信州狂人が2025年春に創作した和製中国語。確認した限り、現在この表現を使用しているのは地球で私一人だけ。つまり、使わない方がいいということだ・・・。

やがてほろ酔い気分。旅のいろいろな出来事を回想しながら、グラスを傾けつづける・・・。

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