1ヵ月間の中国西部(15)青蔵鉄道🚞


【12日目】西寧の5日目。7月31日、西寧駅21:50発の青蔵鉄道で22時間かけてラサへ向かう。青蔵鉄道と言えば、世界一の標高を走る鉄道として有名。その存在は昔から知っていたが、ようやく乗る機会がやってきた。飛行機で行く方法もあるが、急にラサの高地に降り立つと高山病になる恐れがあるので、ゆっくり登っていく鉄道が適当だと考えた。以下では便宜上いくつかの時間帯に分け、それぞれの見所を紹介する。

西寧駅発21:50
座席は以下のチケット画像のとおり「軟卧・上鋪」(ソフト寝台・上段)、ラサまで快適に移動できる。洗面台もきれいだ。無料配布のオシャレな青い縁取りスリッパもイイ感じ。ただそれよりも重要なのは車内の客室内や通路に多く設置されている「酸素供給装置」。高地で気分が悪化した時に無料の専用チューブを接続して酸素吸入できる設備だ。乗務員が使い方を丁寧に教えてくれる。実際に今回、体調不良者が酸素吸入をしているのを見た。
さて出発時はすでに夜、ベッドに上がり白酒をチビチビ飲んでくつろぐ。酒の独特な香が室内に広がり、隣の人がチラりとこちらを見る。しばらくしてから就寝する😴・・・


8月1日07:10 ~ 唐古拉駅13:40
朝目覚めて外を見ると、景色が尋常ではないので驚く。雪をかぶった山が近くに見えるではないか。正確な地点は不明だが、時刻や画像から判断して「望昆站」(青海省)辺りだと思われる。8:30頃、広大な草原にはチル―(チベットカモシカ、藏羚羊)の群れを確認。オスの長い角が特徴的だ。その辺りにはチル―の保護区や観察スポットがある。ちなみにヤクの放牧は沿線の多くの場所で確認できる。11:30頃、「沱沱河駅」(青海省)、そして沱沱河(トト河)に架かる「長江源頭第一橋」を通過。沱沱河は長江の源流と言われている。12:50頃から名は不明だが雪を載せたきれいな山並みを車窓から色々な角度で眺めることができる。


唐古拉駅13:40 ~ 那曲駅16:30
唐古拉駅(青海省)は海抜5,068m、世界一標高の高い駅。富士山の標高が3,776m、それよりも更に高い場所をこの鉄道は走っているのだ。う~ん、何か異次元な環境で不思議な雰囲気を感じる。那曲駅(チベット自治区)までは神秘的な青い湖、広大な緑の高原を眺めることができる。ヤクの群れも見ていて楽しい。


那曲駅16:30 ~ ラサ駅19:55
この区間も上記とほぼ同様の風景が続く。列車が山に近い場所を通ると、迫力のある山風景が楽しめる。おなじみのヤクの群れの他、この地域ならではの青稞(ハダカムギ)や菜の花の耕作地も確認できる。菜の花畑がひときわ黄色く輝いているのが印象的だ。やがてラサ河が現れ、まもなくラサ駅に到着。


ラサ駅着19:55
ラサの標高は3,650m、ただ自身の体調に異常は感じられない。やはり西寧(標高2,275m)からの乗車で高所順応ができたのだと思う。車内でも白酒をチビチビ飲んでいたので、チベット滞在中に烈性酒(スピリッツ)を飲んでも問題ないことを確信した。


さてさて青蔵鉄道、当初から予想していた通り、非日常的な景色や雰囲気を楽しむことができた。私は年寄りなので、今回が人生最初で最後の乗車となるであろう。まぁ存分に楽しむことができたので、それでいいと思う。
さいごに、西蔵鉄道に乾杯~!😊

1ヵ月間の中国西部(14)西寧 ❺


【12日目】西寧の5日目。この日は西寧駅21時50分発の青蔵鉄道で22時間かけて拉薩へ向かう。ただそれまで時間があるので、「東関清真大寺」「土楼観」「南禅寺」等を見学した。

東関清真大寺  現地の説明によると「1921年落成、1946年と1999年に拡張工事」とあるので、比較的新しい寺院と思ったが、百度百科の説明では「东关清真大寺,俗称骆驼寺 ,位于青海省西宁市城东区东关大街31号,占地面积21951平方米,始建于明洪武二十年(1380年),是中国伊斯兰教五大主麻清真寺之一」とあるので、600年以上の歴史があることが分かった。入口には見学者向けの注意事項が掲示され、礼拝時間や服装等に配慮が必要だ。

寺院周辺は回族の人たちが営む商店が軒を連ねている。食肉店では大きな塊が吊り下げられているのが印象的だ。最近は鮮度や衛生に関する意識が向上したのかガラスケースを利用している店もある。


土楼観  市街地の北側にそびえる北山に位置する。遠くからでは分からなかったが、近づくと崖の中腹に築かれた楼閣が確認できる。山西省の懸空寺に似ている〔参照:五泊六日の大同(上)2017.03〕。現地の説明によると「創建は西暦106年、佛・道・儒の三教合一的な場所」とある。ただ残念なことに現在は落石等の危険性により山腹エリアの見学は禁止されている。仕方がないので、下の楼閣から中腹の建物をマジマジと眺めた。


昼食の炮仗麺  ご当地麺の「炮仗」。前回は他の店で肉量が多い「老炒炮仗」を食べたが、今回は普通の炮仗(大)を注文。うん、普通においしい。なおスープはセルフサービス。食後に付近を散策、市内を流れる湟水を眺める。北には先ほど見学した土楼観が見える。


南禅寺・法幢寺  二つの寺院は市内の鳳凰山山麓に隣接している。百度百科によると南禅寺は「南禅寺,位于青海省西宁市凤凰山麓。追溯历史,北宋时(公元997~1065)年在凤凰山已建有寺院,明永乐八年(1410年)形成一定规模」とあり、千年の歴史がある。法幢寺は「法幢寺位于青海省西宁市南山公园南禅寺旁边,是青海省最大的汉传佛教比丘尼寺。法幢寺始建于1943年,原来位于西宁市城西区园树庄。2003年为给西塔(西宁-塔尔寺)高速公路建设让路,该寺从园树庄搬迁到这里,这里原是“南山文苑”旧址」とあり、創建は比較的新しい寺院だ。境内からは西寧の市街地が比較的きれいに眺められる。


阿爺烤大餅  この日の観光もほぼ終わり、ホテルに預けた荷物を取りに行く。途中、観光案内板に伝統食「阿爺烤大餅」の説明を読み気になった。そこで近くの支店に行き烤大餅(焼きパン)を注文した。表面にタレを付けて炭火で焼く。店内で少し食べると、カリカリ・フカフカでおいしかった。しかし実は食欲があまりなかったので残りはテイクアウト。
店を出ると路上では夜市の準備が始まり、多くの屋台がゴロゴロ移動している光景を目にする。自分は今晩、列車で西寧を離れるので夜市に来ることはできない。少し寂しさを感じる・・・。

夜、西寧駅へ移動。いよいよ青蔵鉄道に乗って拉薩へ向かう。西寧での滞在は短かったが充分に現地の歴史・文化・料理を楽しむことができた。できればまた西寧に来たいと思う・・・