【回顧録】16日間の甘粛(上)嘉峪関(2012.07.29)


今の部屋に住み始めて2カ月が過ぎ、この街での生活にもだいぶ慣れてきた。今は2月下旬まで続く冬休み期間に入り時間的、精神的にも余裕が出てきた。休暇中はどこかへ旅行したいと考えているが、哈爾浜を含め感染状況はまだ厳しいと聞いている。しっかり計画を立てて安心安全を心掛けなければならない。春節(1月22日)前後の休暇期間は避けて2月になってから旅行したいと考えているので、余裕のあるこの機会に過去の未発表ネタを編集・投稿することにした。

今まで様々な場所を旅行したが、2012年の夏休みに行った甘粛は今でも比較的強い印象として残っている。中国も広いので地域によって気候や景色が大きく変化するが、甘粛にはまさに唐詩「涼州詞」の荒涼とした世界が広がっていて、日本の温暖湿潤な土地で暮らしてきた私にとっては非常に新鮮であった。かつてモロッコで広大なサハラ砂漠に接した時と同じような驚きと感動があった。なお旅程を簡単に示すと以下の通りである。
  【寧波】バス➔【上海】列車2泊➔【嘉峪関・3泊】バス➔
  【敦煌・4泊】列車➔【武威・2泊】列車➔【蘭州・3泊】列車1泊➔
  【杭州】バス➔【寧波】

上海駅(7月28日20:32発)➔嘉峪関(7月30日6:00着)
嘉峪関までは列車で約34時間かかるので「ソフト寝台車」(軟臥)を利用した。今まで中国で食堂車を利用した経験がなかったので記念に利用してみた。結果として値段は高いが料理はまずく失望した。それ以降食堂車での食事は一度もない。康師傅の方便面(インスタント麺)の方がマシだということだ。

長城第一墩景区
討頼河に深く浸食された渓谷と、崖の際に築かれた明代長城の最西端「第一墩」を見ることができる。王翰「涼州詞」をイメージした彫像群もあり、当時辺境に送られた兵士の悲哀を感じることができる。

葡萄の美酒夜光の杯、飲まんと欲して琵琶馬上に催す。酔いて沙場に臥す君笑う莫れ、古来征戦幾人か回る。

  葡萄美酒夜光杯、欲飮琵琶馬上催。
  醉臥沙場君莫笑、古來征戰幾人回。
           王翰「涼州詞」


                

右上の崖の上に見える凸部分が「第一墩」

第一墩➔嘉峪関城
今はどうか分からないが、当時は第一墩から嘉峪関城までの約6.5kmを明の長城に沿って歩いて行くことができた。ただ途中で鉄道や道路を横切らなければならないので注意が必要だ。この時の様子は当ブログ「甘粛の長城をみて 」で既に紹介している。

嘉峪関城
この関所は明代長城に築かれたものの中では比較的保存状態が良いとのこと、当時の雰囲気を体感できる。特に面白いのはレンガが一つだけポツンと置かれている場所があることだ。画像でも紹介している「一個のレンガ」の話、ぜひそれを読んでもらいたい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です