【軽生会企画】三泊四日の青森《恐怖体験つき》(下)2018.08

旅二日目、宿泊先は「大間温泉海峡保養センター」。その道中、風間浦村の「桑畑温泉ゆんゆん」に寄る。露天風呂につかりながら暮れつつある海の景色をのんびり眺めていた。津軽海峡の向こうには北海道がうっすら見える。ところが突如ここで想定外の「恐怖体験」が始まったのである。

ブーンと音がして、どこからともなく一匹のアブが飛来した。その動きはかなり機敏かつ不気味だ。まぁそれを無視して湯を楽しんでいると、次の瞬間なんとアブは体に密着し皮膚をチクッと咬んだのだ。痛い~!!!激痛が走る。これはたまらない、何とかしなければ… これより全裸のオッサン2名による露天風呂での滑稽なドタバタ劇が、数分間にわたって展開されるのである。ここでアブについて「ウィキペディア」から引用する。

  ウシアブ、およびイヨシロオビアブなどのメスは、血を吸う害虫として忌み嫌われている。刺された瞬間、チクッというような痛みがあり、アブに刺されたことがすぐにわかる。個人差があるが、一般的に強いかゆみがある。アレルギーがある場合、化膿し水ぶくれができることがある。

私にとってアブによる被害は人生初の体験で、一瞬動揺したが、その後冷静になり湯をジャブジャブかけて撃退した。しかしアブはすぐにまた飛来する。見ると湯船の横には蝿たたきと殺虫スプレーが準備されている。つまり「アブの襲来」には皆いつも困っているということだ。そして齋藤さんがスプレー缶を使って果敢に応戦していたのはいいが、湯船の中に向けて殺虫液を連射していたので私は注意した。これではアブのみか入浴中の人間までも劇薬まみれになってしまう。さて、一匹駆除しても別の新たな一匹が飛来し、まったくキリが無い。結局入浴中に3、4回ほどは咬まれてしまった。入浴後、この惨状を温泉のスタッフに伝えたところ、毎年この時期はアブが大量発生するということだ。そして大型のアブに咬まれた場合は危険で、病院に行く人もいるらしい。その後、屋外で海を眺めていても、また車に乗ろうとしても、アブの群れがしつこく襲撃してくるのである。この地域は風光明媚で湯も最高だが、危険なアブはもうコリゴリである。

夕食は大間漁港の「浜寿司」に行った。寿司は「おまかせ握り」(約4000円)を注文した。酒は地元の「関乃井」本醸造生貯蔵酒だ。うまい酒とうまい寿司、心も幸せになる。有限会社「関酒造店」(むつ市)についてはそのHPから引用する。

  本州のてっぺん 下北半島唯一の醸造場で醸される銘酒 明治24年創業 創業以来地元の人々に愛される、本当の地酒造りを目指してまいりました。それゆえに弊社製品は、下北半島以外にはほとんど出荷されていない、陸奥の隠れた逸品です。 

翌朝、保養センターの食事も大変おいしかった。 地元名産のイカ刺しも付き、朝から大満足であった。

◆大間崎  本州最北端の岬に立ち、すがすがしい風に吹かれながら、青く澄んだ海の景色をしばし眺めていた。当地は人気観光スポットであるらしく、観光客が絶え間なくやって来る。それを目当てに周辺には食堂やお土産屋が何軒か見られたが、我々は風間浦村まで移動し、「ばんやめし」という食堂で昼食をとった。そこではお刺身定食(1000円)を注文、とても新鮮で大満足であった。

さいごに  弘前へ戻る車窓からは夕暮れの岩木山が見えた。そのシルエットは何とも美しく、また大きな存在感があった。そして楽しい青森の旅もやがて終了する。一緒に旅した二人とも、お別れである。いつかまた会う日まで、ごきげんよう。

【軽生会企画】三泊四日の青森《恐怖体験つき》(上)2018.08

まず軽生会とは、私が平成16年(2004)4月に設立した親睦団体で、「ストレスの多い現代において、会員同士が互いに励ましあい、気軽に楽しい人生を送ること」を目的とする。現在会員は私と齋藤さん、白石さん、北村さんの4名。以前に山田さんという個性的で心のやさしい会員もいたが、医療ミスが原因で不幸短命にしてこの世を去ってしまった。会の活動内容は特に決まっているわけではないが、過去の例から言えばほとんど「飲み会」だ。今回は特別に私と齋藤さんが弘前市在住の白石さんを訪ね、そこを起点に青森各地を旅するという企画を立てた。なお白石さんは以前、当ブログ「白石さんのお便り(ウガンダ、2017/8/21)」に登場した人物だ。

さて「恐怖体験」は二つある。一つは自動車事故だ。今回は白石さんが借りたレンタカーで各所を巡ったのだが、確か六ケ所からむつ市へ向かう途中、彼は不覚にも居眠り運転をしてしまったのだ。車は対向車線を越え道路脇のポール4、5本をなぎ倒し、勢いを弱めずに元の車線に戻り、何事もなかったように移動をつづけた。車両前部は衝突により損傷、内部からはガリガリと異音が響いた。当時助手席でぐっすり睡眠中だった私は、ドンッという衝撃で目覚め、見ると辺りは草むら、白い柱が眼前に迫り、車はそれらをバリバリ倒していく。瞬時に自身の死を覚悟し、同時に無念の死を悔やんだ。さいわい3人とも怪我ひとつなく、損傷車両はむつ市のレンタカー店で別車両と交換し、旅を続行した。一瞬で大切な命が失われる危険性が大きい自動車運転、この出来事で「安全運転」の重要性を心底から痛感した。

◆弘前ねぷた祭  今回の旅行はちょうどねぷた祭の期間と重なり、実際に祭を見にでかけた。ここで注意しなければならないのは祭の呼び方で、弘前市では「ねぷ(PU)た」で、青森市では「ねぶ(BU)た」という点だ。これを言い間違えると、それを耳にした現地人に激しく罵倒されるという。弘前のねぷたは、想像していたものより素朴だ。祭りが終わると、町は静寂に戻る。そこに夏の終わりと秋の到来をしんみりと感じるのである。

◆小川原湖の天然うなぎ  下北半島の大間地区へ向かう途中、小川原湖近くで、白石さん紹介の店で昼食をとった。食したのは小川原湖産の天然うなぎ重(6000円)。肉厚でプリプリした食感にたいへん感動した。さて私は来年50歳、しかも元々虚弱体質なので、残された活動的余命時間もそれほど長くはない。そこでたまに外食する場合は値段が多少高くてもいいので、小川原湖うなぎのように極力おいしく高品質な料理を、高品質のうまい酒とともに味わいたいものだと考えている。(つづく)