1ヵ月間の中国西部(3)烏魯木斉 ❸


【3日目】ウルムチ3日目。この日のメインは「天池」観光。天山天池景区游客センターまでは市内から車で約1時間。今回はガイドさん付の安心な団体ツアーに参加。現地到着後は自由行動なので自分のペースで観光できるのがよい。朝は南航明珠国際酒店の入口付近に集合。そこには二つの小型スーパーがあったので入ってみた。酒好きなので酒のコーナーをしばらく眺める。焼酎はやはり地元の「伊力」ブランドが目立つ。またおいしそうなナンがあったので購入(6元)、観光中お腹が空いた時に丁度よい。そうしているうちに観光バスが到着、天池風景区に向かう。


カザフ民族風情園  天山天池景区游客センターに到着。その後は風景区内の専用バスに乗って先ずカザフ民族風情園を訪れる。カザフ族の文化を体験できてるテーマパークだ。自分は簡単に園内をぐるっと一周見て歩いた。途中、馬の頭蓋骨がズラリと飾られているのを見て少し驚いた。これがどういう意味を示しているのかは不明だが、遊牧騎馬民族のカザフ人は生活で馬と深い関係にあることを象徴しているのだろう。その後また専用バスに乗り天池へ向かう。


バスから見る風景  天池までの道中、車窓からはきれいな山や川の景色が楽しめる。そしてバスは山をぐんぐん上がっていき、最終地点の天池に近い駐車場に到着。そこからは徒歩で湖岸まで移動する。


天池一周スタート!!  駐車場から湖岸まで歩き、そしてついにその姿が目に飛び込んできた。きれにな湖だとは聞いていたが、実際に見ると確かに息をのむ美しさだ。特に鮮やかな青い湖水は普通よく目にする湖のものとは全く異なり、何か神秘的な雰囲気を感じる。
さて天池到着時刻が13:10、游客センターでの集合時間が17:00。つまり移動も含め約4時間を自由に使える。そこで湖岸を徒歩でぐるっと一周することにした。事前にネットで調べると、天池の周囲は約12㎞、たぶん3時間もあれば一周できると想定したのだ。そして反時計回りルートでスタート!
しばらくすると歩道のアップダウンが激しくなり、想定していた速度で進めないことが分かった。そこで歩く速度を上げた。そして14:20にようやく湖の南端に到着。うんまぁ3時半にはスタート地点に戻れるかとその時は考えた。

天池の南端

激疲れで天池一周失敗  ところが予想は裏切られた。湖の東側の歩道は西側に比べて高低差が更に激しくなり、一つの山を乗り越えると、また次の山が現れるという繰り返し。その時は本当に「やっちまったな~」と計画の杜撰さを反省した。
それでも前進を続けていると両脚の痛みが激しくなり、10段登っては休み、また10段登っては休むという状態。そして西王母祖廟に着いたのが16:45。スタート地点まではまだ2㎞ある。これでは集合時間に当然間に合わない。他のツアー参加者に迷惑をかけたくないのでガイドさんに電話して「私はもう歩けないので皆さんは先に出発してください。私は市内まで自力で帰ります」と伝えた。するとガイドさんは「祖廟付近から出ているフェリーに乗り、降りたらすぐ専用バスで游客センターまで下りてきて来てください」と言う。それならまぁ取りあえず最善を尽くし、ダメだったら諦めることにした。
脚を引きずりながら何とかフェリーに乗り、船を下りてから駐車場まで歩いて遊客センター行きのバスに乗った。この時点で完全に17時を過ぎていたのだが、隣に座っている人と話していると、何とその人は私と同じツアーの参加者であることが判明した。つまりガイドさんは私に17時集合と言っていたが、それは安全対策として時間に余裕を持たせたのだろう。おそらく私のように天池一周を試みて失敗するケースがよく発生しているのかもしれない。後でツアー案内を見ると市内到着は19:30前後と書かれているので、18時過ぎに游客センターを出発すれば充分間に合う時間である。実際、私が集合場所に行ってみると参加者の半数以上が未到着であった。まぁまぁ今回は激疲れで大変だったが、冷静に対処してくれたガイドさんには大変感謝している。

西王母祖廟付近から乗ったフェリー内部

バスは無事ウルムチ市内に到着、ホッとする。ホテルまでは歩いて帰る。途中、おいしそうなパン屋さんの前を通ったので写真を撮る。そう言えば朝買ったナンは一口も食べずカバンの中に入ったままだ。ホテル近くのレストランの前では羊肉串を焼いていたので数本注文しテイクアウトした。またその店では「精醸・原漿ビール」もジョッキで販売していたので肉が焼き上がるまでの時間を利用して飲んでみた。まぁ味は自分の好みではなかった。その後、近くのスーパーで地元「尼雅(NIYA)」ブランドの赤ワインを購入してからホテルの部屋に戻る。

夕食はナンと焼き羊肉、それに赤ワイン。ワインの味はとても良い。この日は天池で大変苦しい経験をした分、部屋でゆっくり酒を飲んでいると心身ともに癒される。そしてあの鮮やかな青色の湖水が目に浮かぶ。充実したウルムチの三日間、旅のよいスタートを切ることができて大満足だ。翌日はトルファンへ向かう・・・。

1ヵ月間の中国西部(2)烏魯木斉 ❷

獅虎形金箔飾(約2500年前造。吐魯番市托克遜県阿拉溝墓地出土。新疆ウイグル自治区博物館所蔵)


【2日目】ウルムチ2日目。この日の主な訪問先は、新疆ウイグル自治区博物館、紅山公園、新疆国際大バザール。朝7時過ぎ起床。外を見ると天気が良さそうなのでホッとする。朝食はホテルでしっかり食べる。特に旅行中は不足になりがちな野菜を多めにとる。その後は部屋に戻りコーヒーを飲んでくつろぐ。11時前に外出、市バスに乗って博物館へ向かう。


新疆ウイグル自治区博物館  大規模な博物館で展示物も多く、多くの来館者でにぎわっていた。特に「古代ミイラ陳列室」が大人気で、入口には行列ができていた。今回は自身が特に印象に残った文物画像を紹介する。それは、「戦国時代の金箔ベルト」、「漢晋代の埋葬服」、「楼蘭の女ミイラ」、「漢代〈裴岑紀功碑〉残碑」、「北涼墓誌」、「唐代〈論語〉妙本残紙」。なお説明文画像も掲載するので私の説明は省略する。 

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☘古代ミイラ陳列室

☘1980年に楼蘭鉄板河遺跡で発掘された女性のミイラ。約3800年前に埋葬されたとされる。

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昼食@十三花  博物館の見学後、近くの新疆料理店で昼食をとる。お一人様なのでラグマン(拌麺、汁なし混ぜ麺)と羊肉串焼き2本だけを注文。麺の具材は肉と野菜がたっぷりで健康に良さそうだ。羊肉串焼きは哈爾濱でも時々食べるが、ウルムチの串焼きもおいしい~。新疆料理、う~ん、イイ感じだ・・・。


紅山公園  この公園は市中心部にありながら眺望がすばらしく、また各種遊具や食事も楽しめる市民憩いの良き場所である。特に「紅山塔」付近からの景色は一見の価値がある。白鳩と戯れる親子の笑顔を見ると、普通の日常、平凡な生活、そして平和の大切さが心の底から感じられる・・・。現在も世界各地で紛争は絶えない。あぁ、人々は何で戦い、そして傷つけ続けるのか・・・。


新疆国際大バザール  夕刻、清川さんに案内されてバザールを訪れる。元々は宗教的な場所であったが、現在は当局によって宗教活動が禁止され、商業施設として観光客でにぎわっている。まぁそれでも立派な塔などを見るとイスラム教文化の雰囲気を十分感じ取ることができる。

☘阿凡提(Afanti)について  バザール内に赤く派手にライトアップされた大きな建物がある。その前に某男性の立体像やイラスト看板がいくつか飾られている。よく見ると建物の屋根部分にも彼の大きな顔が見える。清川さんによると彼はウイグル族の庶民の英雄とのこと。少し気になったが、その時はそれ以上聞かなかった。後に清川さんからのメールで彼の名は「阿凡提」ということを知った。小学館『中日辞典』には次のように説明されている。
  <人名>エペンディ.ウイグルやカザフなどの少数民族の伝承の中の,
  機知にたけた人物.とんち話が人形劇や喜劇に仕立てられ,中国人の間
  で非常に人気がある.
なお人名を「アファンティ」と日本語表記する場合もある。早速ネットでTV人形劇『エペンディ物語』第1集「木陰を売る」を見てみた。登場人物の衣装や建築物、背景音楽などもウイグル族の伝統様式で、私にとってはとても新鮮であった。
さて話の概要は、近隣住民が集まって木陰で涼しんでいると、木の所有者である金に貪欲な夫婦が「木陰使用料」と称して皆から金品を奪い取った。そこにエペンディがロバに乗って颯爽と登場する。そして事情を知った彼は夫婦に大金を払って「木陰の権利」を購入する。その時は夫婦も大喜びしていたのだが、エペンディが木陰の権利を上手に利用して徐々にケチ夫婦を懲らしめるというものだ。う~ん、勧善懲悪の面白いストーリーである。参考にタイトルと場面の画像2つを転載する。

☘バザール内のお土産店  清川さんに案内されて一つのお土産屋さんに入り、商品について説明をしてもらった。写真を撮ってもいいと言うので遠慮なく店内をパチパチ撮影した。店員さんもウイグル人の清川さんが一緒にいるので不満はなさそうだった。印象に残ったのはピカピカ光るウイグル族のナイフ。清川さんの説明によると、現在は当局に禁止されているが、当時は成人になった男子はナイフを携帯したという。

大バザール見学後は清川さんとホテルへ戻る。この日はなかなか充実した一日であった。さてさて、翌日は現地団体ツアーに参加して「天池」を観光する予定だ。ホテルの部屋に戻ったら地元焼酎「伊力特曲」をグビッと飲んで早めに寝ることにしよう・・・。

清川さんと信州狂人@新疆国際大バザール