五泊六日の香港・澳門・珠海(5)

【五日目】この日は澳門から香港に戻る。香港では特に何もする予定はなかった。ホテルに着いてからは夜外食に出るまで室内でゆっくりしていた。夕食は地元の海鮮料理など何か特別な料理を食べたいと考え、ネットで適当な店を調べてみたが、結局は歩き回っていて偶然に見つけた店で食事することになった。

澳門での朝食  香港行きフェリーに乗る港に向かう前、宿の近くにある「栄記」という地元では有名な豆腐と麺の店で食事した。古くからある集合住宅や商店でゴチャゴチャした雰囲気の場所にこの店はある。先ずは看板メニューの「冰凍豆腐花」を注文、麺は何にしようかと迷っていると主人が「牛腩麺」(牛バラ麺)がいいと言うのでそれにした。どちらもおいしくて大満足。特にひんやり冷たい豆腐花は甘い生姜汁がかけられ爽やかでツルッとのど越しもよく美味だ。


澳門➔香港  澳門に来た時と同じ港からジェットフェリーで香港へ戻る。乗る前にコンビニで初めて見る青島ビール社製造のレモン・チューハイがあったので購入、フェリーに乗り込み座席に座ると早速飲んでみた。そしてその瞬間この飲み物は「ノンアルコール」だということに気が付いたのである。はぁ、残念な気持ちになった。まさか青島ビール社が酒以外の清涼飲料水を製造しているとは・・・。世の中、油断できないものだ。


香港のホテルに到着  前回の宿泊先は大陸につながる九龍の尖沙咀(チムサアチョイ)だったが、今回は香港島・銅鑼灣(Causeway Bay, コーズウェイベイ)にあるホテル「香港嘉富海景酒店(Crafa Harbour Hotel)」を予約した。せっかく夜景のきれいな香港に来たので、窓からビクトリア湾が見える部屋だ。もちろん前回の狭くて窓もない部屋よりは高額だが、まぁ旅行なので散財するのも許してもらいたい。眺望の良い部屋に入ると、早速リベンジ。フェリーで飲めなかった「アルコール飲料」をグビグビと豪快にのどに流し込んだ・・・。


広東料理店「鍾菜館」で夕食  夕食をとる店を探して銅鑼灣の街を歩き、タイムズ・スクエア (時代廣場)の商業ビル内にあるレストラン「鍾菜館」に行きついた。一人でも注文できる広東料理コースがあるのでここに決めた。店内は清潔で落ち着いた雰囲気もイイ感じだ。先ず酒は紹興酒「女児紅」を注文、温めて飲む。コース内容は画像で示した通りなので説明は省略する。普段は食べないフカヒレやアワビ等の料理をおいしく頂いた。香港で最後の晩餐、とても良い記念になった。


夕食後、ホテルの部屋に戻る。翌日は日本へ帰国だ。窓からは多くの電飾が消えた重く静かなビクトリア湾が見える。将来、また香港に来ることはあるだろうか。そのようなことを考えながら眠りについた。

五泊六日の香港・澳門・珠海(4)


【四日目】澳門の二日目、この日は朝から精力的に世界歴史遺産巡りに出かける。数は多いが比較的狭いエリア内に集中しているので、大半は徒歩での移動となった。最後の目的地「ギア砲台跡」の見学後、夜まで時間があったので広東省・珠海に行ってみた。珠海滞在は3時間、駅前の釜飯屋さんで食事し周辺を散策してから澳門へ戻った。短時間内に入境し出境するという珍しい体験をしたが、現地の越境労働している多くの人達にとっては出入境も地下鉄のようにスルッと通過するだけの認識なのだろう。
ところで最近は仕事が忙しくなり、また清明節・労働節・端午節・夏季休暇と次々に旅行の計画・準備をしているので記事編集がなかなか進まない。そのうえ今後掲載予定の記事もかなり蓄積してきてた。そこで今回、各観光スポットの概要は現地案内板の画像に任せ、自身の簡単な感想だけを記すことにした。

朝食の焼きそば  宿を出て先ずは徒歩で半島南の「媽閣廟」に向かう。途中、コンビニ「セブンイレブン」で澳門の交通カード「Macau Pass」を購入、いくらかチャージした。その近くに食堂があったので朝食をとった。壁面のメニューを見ると種類が多い。ここはまぁ無難に「肉絲炒麺」(豚肉焼きそば)+「追加野菜」を注文。味は良い。野菜もおいしく追加して正解だった。量は年を取り胃袋も小さくなっているので充分。支払い時、このような小さい食堂でもマカオ・パスが使えるのがうれしい。その後近くの港をチラッと見学、対岸は珠海だ。


【世界遺産】媽閣廟  大きな岩がゴロゴロいくつも存在し、何かパワーを感じる神秘的な場所だ。熱心な参拝者も多く訪れ焼香していた。ここからも対岸・珠海の山並みや高層ビル群がよく見える。自身にとってはこの日の観光スタート地点、この先多くの訪問地が予定されているのでササッと見て終わった。


【世界遺産】鄭家屋敷  媽閣廟の後は半島を北に向かって進む。先ずは近くの「港務局大楼(世界遺産)」に寄り、建物外観をサラッと見学、そして鄭家屋敷に移動する。ここは部屋数も多い大きな建物で、現地の伝統的な建築様式を興味深く拝見した。


【世界遺産】リラウ広場  鄭家屋敷の道を挟んで向かいにある公園。ボダイジュモドキ(假菩提樹)の大木が枝を広げている。訪れた時は人は少なかったが、夏の蒸し暑い季節には大木の存在意義が大いに発揮され、人々の憩いの場所となるのであろう。


【世界遺産】聖ローレンス教会  鄭家屋敷から徒歩5分ほど。自身はキリスト教徒ではないので、普段は教会の中に入ることは滅多にない。今回は建物外観や内部をじっくり眺めて何か新鮮な感じがした。そう言えば今住んでいる哈爾濵には観光客に大人気の聖ソフィア大聖堂があるが、いつも通りすがりに外から眺めるだけで、まだ一回も中に入っていないことを思い出した・・・。


【世界遺産】聖アントニオ教会  ここに来る前に、それぞれ世界遺産の「ドン・ペドロ5世劇場」、「聖オーガスティン教会」、「聖オーガスティン広場」、「民政総署」等を見学したのだが、それらの記事は省略する。民政総署を出て付近からバスに乗り聖アントニオ教会に移動。今まで見てきた教会と同様、敷地内はゴミ一つなく清潔に管理されていて心が落ち着き安らかになる。


【世界遺産】ギア要塞  聖アントニオ教会付近からバスに乗りギア要塞近くで降りる。この砲台は澳門半島で最も高い位置にある。そのためバス停から要塞まで長い登り坂が続き息が切れる。やはり冬に訪れたのは正解だった。もしこれが蒸し暑い季節だったら寿命が短くなるところであった。そう言えば去年は連日猛暑の金沢市をフーフー言いながら歩いたことを思い出した。年齢を考えると無理は禁物だ・・・。さて要塞とあるが、敷地内には教会や中国沿岸では歴史上初という灯台もある。この日は曇で眼下の街はくすんでみえたが、天気の良い日は最高の景色が楽しめることだろう。


3時間の珠海  ギア要塞を見終えたのが2時過ぎ、その後は予定もなかったので珠海に行くことにした。バス停で出入境施設まで移動、人の流れについて行く。外国人用の出境手続きの列にしばらく並び、ようやく係員にパスポートを提示、訪問理由などを述べてから珠海側へ出る。越境労働をしている多くの人達は地下鉄駅のように次々と自動機に身分証をスキャンさせて簡単にゲートを通り抜けている。その時見ただけでもかなり多数の人が移動していた。
珠海では駅周辺を少し散策し、お腹も空いたので適当に見つけた釜飯屋さんに入る。

釜飯屋さんでは「黄鱔腊肉双拼煲仔飯」(タウナギと燻製肉の釜飯)を注文、ビールはなかったので近くのコンビニで買ってきた。香港で初めて食べた時、他の具材の釜飯も食べてみたいと思っていたので丁度よかった。また値段も香港よりずっと安い。時間の関係か店内は空いていたので、「海珠ビール」(注:「珠海」ではなく「海珠」)を飲みながら落ち着いてゆっくり食事できた。

食事後は辺りを少し散策し、暗くなる前に澳門へ戻ることにした。途中駅前広場を通ると、鄧小平が珠海を訪れた時に揮毫した「珠海経済特区好」(1984年1月29日)が金色に大きく拡大されて示されているのが見えた。何と自分が珠海を訪れたこの日も1月29日、ちょっとした偶然に少し驚く。小平さんの訪問から40年が過ぎたということだ。もし小平さんが現在の中国の状況を見たらどう思うのであろうか・・・。

珠海から澳門に戻り、宿に着く頃には完全に暗くなっていた。「セナド広場(世界遺産)」を通り抜け北奥にある「聖ドミニコ教会(世界遺産)」まで来ると、その黄色い外壁がライトアップで暗闇にピカッと浮かび上がって見えて、なかなかきれいだ。
さてさて、この日は半島の南から北へ慌ただしく移動して少々疲れた。翌日は香港へ戻る。部屋では残りのポルトガル・ワインを飲みながらゆっくりしよう。