1ヵ月間の中国西部(17)拉薩 ❷


【15日目】ラサの3日目。早いもので一か月旅行も残り半分。この日もラサ市内の観光。主要訪問地は、「ジョカン寺(大昭寺)」「ポタラ宮」。その他、ジョカン寺周囲の「八廓街」の散策、団体観光終了後は個人でホテル周辺の散策、鉄道「ラサ駅」を見学した。

朝9時過ぎホテルを出発、徒歩10分でジョカン西門に到着。その間、家屋が密集する路地や八廓街を通る。八廓街では五体投地しながら少しずつ前へ進むで巡礼者の姿が見られた。テレビで見たことはあるが、実際に見るとインパクトがある。そして彼らの信心の強さを認識する。通りには様々な店舗が軒を連ね、黄色い外壁が目立つ有名なチベット料理店「瑪吉阿米(Makye Ame Restaurant)」の前も通る。

瑪吉阿米(Makye Ame Restaurant)


ジョカン寺(大昭寺) 門前では多くの人たちが五体投地で礼拝を行っている。大変熱心だ。それほどこの寺が重要な存在だということなのであろう。中に入ると中庭から四方の屋根が金色でピカピカ輝いているのが見える。
7世紀、吐蕃ソンツェン・ガンポ王により創建。以後歴代王朝で拡張が続き現在の規模になった。本尊は釈迦牟尼像。王に嫁いだ唐の文成公主が持参したと伝わる。


寺周囲の見学  ジョカン寺を出たあと八廓街を歩く。多くの商店が軒を連ね、巡礼者と観光客で大変にぎわっている。ガイドさんに連れられ土産センター内を見学。ピカピカ輝く仏具や装飾品、数珠等が所狭しと陳列されている。ただ私は断捨離中なので何も買わない。そして外に出るとジョカン寺に入るための長い行列に遭遇。チベット族の人々のジョカン寺に対する絶大な信仰心を再認識する。


路地見学  八廓街からホテルへの帰り道である路地に入る。路地には集合住宅や宿泊施設、土産店、食品店、飲食店、雑貨店などがひしめき合い、地元民と観光客が雑居して生活臭漂うエリアだ。

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住宅見学  ガイドさんに案内されて地元民の住宅を見学。中庭をコの字型で囲む三階建て集合住宅で、全16部屋ほど。建物の構造は前日利用したレストラン「卓瑪拉宮晩餐庁」と似るが、長期間改築や壁面塗装をしていないのか老朽化がかなり目立つ。電気メーターの写真を見ると分かるが、各部屋ごとに電気使用量が管理されている。ガイドさんによると一部屋に一家族が住んでいる状況だという。つまりこの地区の人口密度はかなり高い。そういえば、去年私が香港で利用したホテルの部屋が狭くとても窮屈だったことを思い出した〔参照:五泊六日の香港・澳門・珠海(1)〕。

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茶館体験  ガイドさんに案内されて現地の茶館「純浄魯固」を訪問、「甜茶」を飲む。店の建物は歴史的建造物に指定されていて、確かに室内外は独特な雰囲気が漂っている。また人気店なのかお客さんも多い。大きめのテーブルとクッション付きの長イス、とても落ち着ける。お茶の味はキリン「午後の紅茶・ミルクティー」と似て、甘くておいしい。チベット族の人たちに交じりゆっくりお茶を飲んでいると、現地生活に溶け込んでいるような気がしてくる。短い時間だったが、よい体験ができた。


ポタラ宮  昼過ぎ、ついに世界的に有名なポタラ宮を見学。あまりにも有名なので説明は不要であろう・・・。

到着後、先ずはいくつかの異なる地点から外観を眺める。背後は青い空、そしてムクムクした白い雲で覆われているが、宮殿の赤い縁取りで輪郭が際立って見える。う~ん、まことに美しい。順路としては、先ず南側の壁に沿った外階段をゆっくりのぼる。その後、上層階の建物から中に入り内部を見学、最後は北側の外階段をおりていくと出口になる。
上から見える山や街の景色はすばらしい。南側はジョカン寺の金色の屋根が、南側は山のふもとにセラ寺が目視できる。建物内の歴史的文物も貴重で珍しいものが多く見る価値は高い。ポタラ宮、人生で一度は訪れることをお勧めする。

★上:南東側の眺め。中央左の市街地に金色に輝く屋根がジョカン寺。

★上:北側の眺め。中央右の山腹に一筋の水平線が見えるが、それはチベット仏教寺院「熱卡扎日追」。その下にタール寺がある。


夕方の散策
午後4時過ぎホテル到着、この日の団体観光も終了。その後は特に予定もないが、部屋にいても退屈なので外出する。まずホテル近くの「小昭寺路」を北上、「林廓北路」まで歩く。そして付近のバス停「熱木其」から1路バスに乗って終点の鉄道「ラサ駅」へ向かう。ラサ初日は鉄道で駅に到着したが、すぐに迎えの車に乗って移動したので、もう一度駅をゆっくりと見ておきたかったのだ。途中、広いラサ河を渡る。
駅舎はチベットの伝統的なデザインと色彩を取り入れているようだ。駅前広場はかなり広いが人の姿が見えないのが不気味だ。切符売り場にも入ってみた。室内は広く天井も高いが、人も少なく寂しさを感じる。次にチベット舞踊の彫像がある北広場とその周辺を散策する。北側には遊園地の白い観覧車が見える。ただラサ駅周辺地区は鉄道客以外は人の往来が少ないのか活気がなくサビれた様子である。やはり人々はジョカン寺のある華やかな市内中心部に吸い寄せられてしまうのであろう・・・。気持ちは理解できる。それでは、駅前バス停からまた同じ1路バスに乗って街に戻ろう・・・。

バスに乗車中、窓からこの日見学したポタラ宮が見えた。空は暗く曇っているが、宮殿の存在感は圧倒的である。バスを降り来た道を戻っていると、チベット料理店があったので気になりメニュー写真を撮影した。昼過ぎに茶館で飲んだ「甜茶」もある。「臧面(チベット麺)」も茶館メニューにあったが気になる存在だ。その他は別の地域にもよくある一般的な料理のようだ。

この日の活動は終了。あとは部屋だ青稞酒を飲むだけ・・・。
翌日はラサを離れギャンツェ(江孜)経由でシガツェ(日喀則)へ向かう。朝8時前にホテルを出発し、途中いくつかの観光地に寄るのでシガツェのホテル到着は夕方になる。移動時間は長いが、まぁ仕事ではないので気は楽だ。さてさて、翌日どのような新しい出会いが待っているのか楽しみである・・・。

1ヵ月間の中国西部(15)青蔵鉄道🚞


【12日目】西寧の5日目。7月31日、西寧駅21:50発の青蔵鉄道で22時間かけてラサへ向かう。青蔵鉄道と言えば、世界一の標高を走る鉄道として有名。その存在は昔から知っていたが、ようやく乗る機会がやってきた。飛行機で行く方法もあるが、急にラサの高地に降り立つと高山病になる恐れがあるので、ゆっくり登っていく鉄道が適当だと考えた。以下では便宜上いくつかの時間帯に分け、それぞれの見所を紹介する。

西寧駅発21:50
座席は以下のチケット画像のとおり「軟卧・上鋪」(ソフト寝台・上段)、ラサまで快適に移動できる。洗面台もきれいだ。無料配布のオシャレな青い縁取りスリッパもイイ感じ。ただそれよりも重要なのは車内の客室内や通路に多く設置されている「酸素供給装置」。高地で気分が悪化した時に無料の専用チューブを接続して酸素吸入できる設備だ。乗務員が使い方を丁寧に教えてくれる。実際に今回、体調不良者が酸素吸入をしているのを見た。
さて出発時はすでに夜、ベッドに上がり白酒をチビチビ飲んでくつろぐ。酒の独特な香が室内に広がり、隣の人がチラりとこちらを見る。しばらくしてから就寝する😴・・・


8月1日07:10 ~ 唐古拉駅13:40
朝目覚めて外を見ると、景色が尋常ではないので驚く。雪をかぶった山が近くに見えるではないか。正確な地点は不明だが、時刻や画像から判断して「望昆站」(青海省)辺りだと思われる。8:30頃、広大な草原にはチル―(チベットカモシカ、藏羚羊)の群れを確認。オスの長い角が特徴的だ。その辺りにはチル―の保護区や観察スポットがある。ちなみにヤクの放牧は沿線の多くの場所で確認できる。11:30頃、「沱沱河駅」(青海省)、そして沱沱河(トト河)に架かる「長江源頭第一橋」を通過。沱沱河は長江の源流と言われている。12:50頃から名は不明だが雪を載せたきれいな山並みを車窓から色々な角度で眺めることができる。


唐古拉駅13:40 ~ 那曲駅16:30
唐古拉駅(青海省)は海抜5,068m、世界一標高の高い駅。富士山の標高が3,776m、それよりも更に高い場所をこの鉄道は走っているのだ。う~ん、何か異次元な環境で不思議な雰囲気を感じる。那曲駅(チベット自治区)までは神秘的な青い湖、広大な緑の高原を眺めることができる。ヤクの群れも見ていて楽しい。


那曲駅16:30 ~ ラサ駅19:55
この区間も上記とほぼ同様の風景が続く。列車が山に近い場所を通ると、迫力のある山風景が楽しめる。おなじみのヤクの群れの他、この地域ならではの青稞(ハダカムギ)や菜の花の耕作地も確認できる。菜の花畑がひときわ黄色く輝いているのが印象的だ。やがてラサ河が現れ、まもなくラサ駅に到着。


ラサ駅着19:55
ラサの標高は3,650m、ただ自身の体調に異常は感じられない。やはり西寧(標高2,275m)からの乗車で高所順応ができたのだと思う。車内でも白酒をチビチビ飲んでいたので、チベット滞在中に烈性酒(スピリッツ)を飲んでも問題ないことを確信した。


さてさて青蔵鉄道、当初から予想していた通り、非日常的な景色や雰囲気を楽しむことができた。私は年寄りなので、今回が人生最初で最後の乗車となるであろう。まぁ存分に楽しむことができたので、それでいいと思う。
さいごに、西蔵鉄道に乾杯~!😊