四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(3)2024.06.06


【三日目】この日は日帰り団体ツアーに参加した。下に旅行社のチラシを載せたが、自分が参加したのは「D線 岳陽楼、洞庭湖、屈子文化園一日游」、費用は200元に割引してくれた。元々は一人旅で汨羅を観光後に岳陽で一泊し、翌日長沙に戻る予定で、ホテルも予約し鉄道切符も購入済みであった。ただチラシを見ているうちに、この日に日帰りできれば翌日は「A線 韶山(記念館)花明楼一日游」にも参加できて効率が良いと感じたのだ。結果としてはより多くの場所が観光できて良い記念にはなった。ただやはり団体ツアーでは観光や食事の時間も限られているので慌ただしかった。

朝はホテル横のアポロ広場で集合、大型バスに乗り汨羅へ向かう。長沙市内を流れる瀏陽河の橋を渡って進んでいくと、やがて緑あふれる田園地帯に入る。1.5時間ほどで汨羅の市街地に至り、汨羅江に架かる橋を渡る。橋の手前で人気アニメキャラクターの名を冠した「喜羊羊超市」というスーパーがあったので撮影した。後でネット地図で調べると関係性は不明だが同名のスーパーが中国全土に多数存在していることが分かった。今住んでいる哈爾濱市内にも数店ある。喜羊羊、万人に愛される名称なのであろう。
まもなく最初の観光地「屈子文化園」に到着。ちょうど端午節(旧暦5月5日、2024年は6月10日)の二日前で、園内は端午節の装飾がなされ、祠前の湖ではドラゴンボートの練習をしている様子も見えた。正門に入るとすぐ近くに屈原が入水した汨羅江を間近に見える場所がある。そこでしばらく川の流れを静かに眺める。
その後は観光車に乗り「屈子祠」(屈原を祀った廟、記念館)があるエリアに向かう。そこでは屈子祠、再現された屈原の旧居、屈子書院などを見て回る。周辺は樹木が生い茂り、川や湖もあって自然は大変豊かだが、それ以外は特になにもなく物寂しい。おそらく夜になると辺りは真っ暗になり、虫や鳥獣の鳴き声が聞こえてくるのであろう。屈原が当時暮らしていた場所の雰囲気を少しでも感じることができたと思う。

瀏陽河
汨羅江

園内観光はまもなく終了。バスに乗る前、もう一度だけ汨羅江を眺める。この地を訪れることは今後はもうないだろう。最後にあいさつする。
屈原さん、さようなら・・・。


岳陽で昼食  午後1時前、バスは岳陽楼風景区に到着。観光を始める前に風景区に隣接する料理店「和天下漁館」で食事する。メニューを見るとおいしそうな地元料理が色々あるようだ。ただ自分はお一人様で、そのうえ食後の集合時刻まで時間が短かった。そこで看板メニューの「豊鍋回頭魚」(回頭魚のスープ)だけ注文することにした。
百度百科によると「回頭魚」は鯰科の淡水魚で、長江や洞庭湖などに生息する。近年は環境汚染の影響で野生種の数が減少し、養殖が行われているという。
さて店内の水槽で自分の食べる魚を選ぶ。食べきれないともったいないので極力小ぶりの個体にした。魚はすぐ調理場に回され、自身は席に戻りペットボトルに入れ替えて持参した焼酎をグラスで飲む。するとまもなく料理が運ばれてきた。その大きい鍋を見て、やはり小さめの魚を選んで正解だったと感じる。味はオススメだけあって非常においしい。白身はプリプリ弾力があり旨味を感じる。黄色いスープは味の説明が難しいが、ほどよい濃さで味付けも良く何杯でも飲めそうだ。するとガイドさんがテーブルまで来て、食事はゆっくりすればよく、食後は一人で風景区に入るようにと言われた。おそらく風景区での観光時間に余裕があるのだろう。団体ツアーでも状況によっては臨機応変に対応してくれて大変ありがたい。そして安心し落ち着いて酒を飲みながら魚スープを味わった。


岳陽楼風景区  ここには有名な楼閣「岳陽楼」、そしてその正面には洞庭湖が広がっている。入場後は先ず湖をしばらく眺める。実に広く立派な湖だ。見えている範囲も湖の一部分でしかない。その後は案内図を参考に、「鉄枷」、「点将台」、「呂仙祠」、「小喬墓」、そして「岳陽楼」の順番で見学する。この風景区に三国時代・呉の将軍・周瑜の夫人「小喬」の墓所があったのは意外だった。この地域と当時の歴史との関連性を全く意識していなかったからだ。まぁこのような発見が旅の面白さでもあるのだ。

***********************************

小喬之墓  好きな中国歴史TVドラマに「新三国」があり、今まで何度も繰り返し視聴してきた。当時の様子がきれいな映像で再現されているので、参考に小喬と周瑜が登場する場面を複写・掲載する。

***********************************

岳陽楼では長い行列ができていた。集合時間まで余裕がなかったのでので残念だが楼に登るのは諦め、基壇から湖を眺めた。まぁ回頭魚スープもおいしかったので今後機会があればまた岳陽を訪れ楼上に登ることにしよう。さて岳陽楼と言えば杜甫「登岳陽樓」が有名だ。悲壮感ただよう内容で気分も暗くなる。杜甫の流浪の旅はかなり過酷だったのだ。S狂人のほろ酔いお気楽旅行とは根本的に異なるのである。

集合後、バスに乗り約2.5時間かけて長沙へ戻る。長沙市内に至ると朝と同様に瀏陽河に架かる橋を渡る。車窓から某施設の前に設置された巨大ピカチュウが見えたので撮影した。まもなく解散場所の「アポロ広場」に到着する。


夕食に出る  長沙到着後はホテルで少し休息してから夕食に出かける。駅前から地下鉄に乗り五一広場で下車、いつもの火宮殿へ向かう。時刻は夜9時過ぎ、街は多くの人々でかなりにぎわっていた。


火宮殿  三回目の来店。先ず白沙ビールを注文。そして料理は湖南名物の「牛腩饊子」(牛筋麺)と「桂花糖油粑粑」(甘い餅菓子)、「青椒煎茄子」(ピーマンとナスの炒め)。饊子という麺は少し硬い印象で、粑粑は酒飲みの自分ににとって甘すぎだ。青椒煎茄子は自分好みの甘辛い味付けで、これまたおいしく炊けてある米飯と一緒にパクパク頬張った。
う~ん、ウマウマ・ウシマケタ😊!!


お腹も満たされた。店を出て地下鉄でホテルへ帰る。午後11時半頃、長沙駅で下車すると、夜はいつも黄色くピカピカの駅舎が暗い。ライトアップの時間が終了したということか。さてさて翌日は韶山ツアーに参加する。連日の観光で少し疲れを感じる。早めに寝ることにしよう・・・。

四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(2)2024.06.06


【二日目】主要イベントは「岳麓書院」の見学。起床後は部屋でのんびりお茶を飲み、10時過ぎに駅前にある食堂「老長沙」で遅めの朝食をとる。メニューには色々書かれているが、朝食ということもあり定番の「牛肉粉」(粉は米粉麺のこと)、そして「番茄炒蛋」(トマト卵炒め)を注文。麺は平麺でツルツル・モチモチしておいしい。トマト卵炒めと言うと普通はトマトの塊がゴロンとしている場合が多いが、この店ではトマトを比較的細かく切ってあるので食べやすい。
さて食後店の外に出ると、路上では現地の環境局の車両なのか移動しながら巨大な霧吹き装置から大量の霧をまき散らしていた。少し気になったので写真を撮っておいたが、この作業が街の環境に具体的にどのような効果があるのかは不明である。暇な時にでも中国人の知合いに聞いてみようと思っている・・・。


岳麓山の湖南大学  地下鉄で長沙駅から「岳麓書院」の最寄り駅「湖南大学」まで移動。現在、書院は湖南大学が管理している。駅周辺には大学の多くの建物ときれいなグラウンドが広がっている。緑が多く空気もきれいなので理想的な学習環境と言えよう。そしてちょうど卒業の時期だったのだろう、多くの卒業生が毛沢東像や校舎の前で記念写真を撮っている。
歩を進めると最初は派手な看板の飲食店が目立っていたが、岳麓山の南大門を抜けると周辺は樹木が多く茂り、まさに山道を歩いているという印象だ。やがて書院の入口に到着、入場料を払ってから中に入る。そして気が付いたのは、私が入ったのは山側にある「西門」だということ。正門は駅に近い別の場所にある。正門の存在に気付かずにグルッと奥まで回ってしまったのだ。


岳麓書院  北宋の創建。著名学者の張拭や朱熹、王陽明などとも由縁があり、歴代王朝の皇帝からも保護されていた由緒ある書院だ。画像を見れば理解できるので説明は省略する。


歴史陳列館・毛沢東の寓居  陳列館にはひと昔前のものか、毛沢東揮毫の扁額「湖南大学」が飾られている。かなり大きくて迫力がある。1935年の卒業証書も面白い。陳列館前には通路を挟んで毛沢東の旧寓居(元湖南大学設立準備事務所)がある。彼の故郷は長沙から近い韶山で、長沙にも長年暮らしていたという。机や椅子、ベッドは本人が実際に使用したものかどうかは不明だが、長年使用された独特の趣きを感じる。


文廟  書院敷地の北側にある。大成殿の建物など本場曲阜のものとは違って小規模ではあるが、何か味わいのある趣きと清々しさを感じる。やはり岳麓山のふもとで風水的にも優れた環境に位置しているのだと感じる。


文廟を出ると書院の見学も終了。文廟の外には蓮池があり「吹香亭」で数人の観光客が休憩している。その横を通り地下鉄駅に向かうと、最初に見た毛沢東の巨大像に至る。ふと像の背後に回わると題記の「湖南大学」とうい刻字の上部に、何か文章が削り取られた痕跡を発見した。1967年で文化大革命初期の刻字なので、おそらく後の時代に政治的に都合が悪くなったので削り取ったのであろう。次に清代の史跡「自卑亭」を少し眺めてから駅へ向かった。


火宮殿で早めの夕食  岳麓山から市街地の火宮殿に移動、2回目の来店だ。前回は店内で注文した酒が地酒ではなかったので、この日は事前に平和堂で地酒の焼酎「湘泉」を購入・持参した。平和堂内には回転寿司の「はま寿司」があり少し懐かしく感じたが、もちろん長沙では日本食は敬遠、やはり地元料理を食べる。
今回は「紅焼猪脚」(豚足醤油煮)、「三角豆腐」(油揚げ煮)、「龍脂猪血」(豚の血液の固形物が入ったスープ)、「刮涼粉」(冷麺)の四品を注文。いずれもこの店で初めて食べる品だが、味は写真を見て簡単に想像できる普通の味付けである。「猪血」は名称や外観からすると少し異様だが、実際に食べてみると嫌な臭いやクセもなく、プリンのように柔らかくツルッとして喉越も良い。
やれやれ、まぁはるばる飛行機に乗りやって来た長沙で、おいしい料理をつまみながら地元の旨い烈性酒をグビグビ飲んでいると、やがて酔いも回ってきて気分は至極爽快・・・。う~ん、やはり旅はいいものだ・・・。


食後の散策・散髪  ほろ酔いで火宮殿を出て、特に予定もなく街をのんびり歩く。やはり派手な看板や装飾が目に入る。時に古い建築物もあったりして、説明文を読んで楽しむ。するとあるエリアには複数の理髪店がかたまって営業していたので、その中の一店舗「潮牌」に入りカットしてもらった。自分は旅先の理髪店で散髪することが比較的多い。洗髪もしてもらいサッパリしたら一度ホテルに戻る。
途中、飲食店の前で店員が大きなタライで何かを洗っているので覗いてみる。するとそれは中国人に人気の龍蝦(ザリガニ)であった。自分も20年ほど前に食べたことがあるが、小さい肉片を食べるのに一つ一つ殻をむくのが面倒だったので以来一度も食べていない。
そしてバスに乗り長沙駅まで移動する。前の晩はキラキラ電飾された長沙駅を見たが、昼間の姿もなかなか立派である。駅からホテルまでは徒歩約5分の距離、部屋でしばし休憩する。


駅前食堂「老長沙」で夜食  ホテルの部屋で酒を飲んでいると、火宮殿での夕食が少し早かったためか空腹を感じた。そこで夜10時頃、駅前の食堂に行って夜食を食べることにした。途中、長沙駅の前を通るが、この夜もキラキラきれいにライトアップされている。食堂は今朝と同じ店で、味が良かったので再来店した。この夜は湖南の代表料理「辣椒炒肉」、そして「麻婆豆腐」を注文。この時点で既に酔っ払っていたので、青唐辛子の辛さはそれほど感じなかった。そして満腹、歩いてホテルへ戻る。
さて翌日は汨羅・岳陽の団体ツアーに参加。集合時間も若干早い。夜更かしせずに早めに寝ることにしよう😴・・・