四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(1)2024.06.06


端午節の連休を利用して湖南省の長沙周辺を旅行した。端午といえば屈原の伝説が有名。私は二十歳の頃から彼が入水したとされる「汨羅江」を訪れたいと思い続けてきたが、35年後にようやくその願いが叶うことになった。そして訪問した日(6月8日)も端午節(旧暦5月5日、2024年は6月10日)に近い時期を選んだというわけだ。
今回の旅程は以下の通り。当初は全行程を自力で旅する予定であったが、ホテルで見た旅行会社のチラシ内容に魅力を感じ、安くて便利な団体ツアーを利用することに変更した。
  哈爾濱➔(飛行機)➔長沙《4泊》➔(飛行機)➔哈爾濱
  ※3日目:「汨羅・岳陽」団体旅行参加《日帰り》
  ※4日目:「花明楼・韶山」団体旅行参加《日帰り》

初日は早朝に自宅を出発、哈爾濱駅前まで歩き空港行きバスに乗る。空港到着後、搭乗手続きを済ませ、朝食の蘭州ラーメンを食べる。やがて搭乗、簡単な機内食が提供される。薄焼きビスケットを食べながら、最近は中国でもオシャレなパッケージ・デザインが増えたなぁと実感する。機内からは以前訪れた大連中心部や旅順港周辺が目視できた。長沙近くになると地帯は温暖湿潤で、眼下には一面の緑地が広がる。湘江と思われる川の流れも確認できた。いよいよ長沙に着陸する・・・。 


空港到着後は、地下鉄に乗り予約してあるホテルへ向かう。ホテルのフロント横にはコンビニがあったので、地元の焼酎「劉陽河」と「白沙ビール」を買う。部屋でビールを飲み少し休息してから街の散策に出かける。


長沙の街の印象として、他の都市と比べてデザインや色彩が派手で奇抜な看板や装飾が目立っていたということ。湖南料理(湘菜)は辛いことで有名だが、街の景観もピリッと刺激的だ。これも湖南人気質の表れか・・・。


火宮殿(坡子街本店)で夕食🌶🌶🌶  旅行前にネットで調べたところ、「火宮殿」という店が良さそうだったので長沙で最初の食事場所として選んだ。到着は午後3時、早めの夕食だ。この店の「臭豆腐」(国家級非物質文化遺産)は毛沢東も「火宮殿的臭豆腐、聞起来臭、吃起来香。」と言って評価したという。そこで自分も「臭豆腐」と、他に「毛氏紅焼肉」、「剁椒魚頭」を注文。黒い臭豆腐はタレと薬味を付けて食べるとサクサク・フワフワして美味だ。紅焼肉は味は良いが少し硬く感じた。魚料理は強い辛さを感じ、顔から汗が噴き出てきた。危険な辛さである・・・。その影響で体に異変を感じたので、今後はこの料理を注文しないことに決めた。それはさておき、この店の良い点は、メニュー(画像あり)に小皿料理が多く、お一人様でも色々注文して楽しめることだ。自身も大変気に入ったので、長沙滞在中に合計3回訪れて地元の伝統料理を存分に味わった。


食後の散策  先ずは「湘江」に架かる「橘子洲大橋」を渡って中洲「橘子洲」まで行く。大量の濁った水が次々と絶え間なく流れ続ける湘江。川幅も広く、なかなか立派な河川だ。橘子洲には有名な毛沢東の巨大頭部像がある。橋の上からも小さく見えていたが、少し遠くにあるので行くのを諦めた。哈爾濱から来たこともあり長沙はとても蒸し暑く感じ、また先ほど食べた激辛料理の影響で気力体力が減退していたのだ。一人旅なので仕方ないが、激辛料理を一人で完食してしまったのが悪かった。トホホ・・・。


平和堂  長沙には滋賀県民にお馴染みのスーパー「平和堂」がある。そこで今回記念にお店を訪れ、店舗責任者の手塚さん(董事、副総経理)とも面会した。予約もない突然の訪問にも快く応じてくださり心より感謝している。手塚さんからは現在の経営状況や日系他社スーパーの中国展開状況、2012年の反日暴動事件、毎日の自炊生活など色々なことをお聞きした。現在、長沙における平和堂の経営は厳しく、以前は複数存在していた支店も閉鎖され、今は「五一広場店」の一店舗だけとなった。他社スーパーとの競争に加え、現在の中国経済の低迷も影響しているということだ。ただ五一広場店は賃貸ではなく独自の建物と土地使用権を有し、立地も大変優れているので比較的経営しやすいという。これからも滋賀の代表「平和堂」が長沙で末永く活躍していくことを祈る・・・。


夜の長沙駅  宿泊先のホテルから駅までは数分の距離、夜の雰囲気を味わいに駅前広場に来てみた。駅舎は少し古い時代を感じさせるデザインだ。上半分がピカピカ黄色く電飾され、なかなか見応えがある。
9時半頃、ホテルに戻る。部屋の窓からは明るく照らされた商業施設前広場が見え、そこに買い物の帰りか夕涼みでもしているのか人の姿がちらほら見える。自身は激辛料理による体の不調がまだ続いている。翌日は「岳麓書院」辺りを中心に市内を観光する予定。薬を飲んで早めに就寝しよう😴・・・。

四泊五日の銀川・阿拉善左旗(3)2024.05.01🐪


【三日目】この日は銀川から阿拉善左旗へ移動。朝はホテルで朝食。あまり食欲がなかったのでミニ牛肉麺、プチトマト、キュウリだけを食べる。その後は阿拉善行きのバスに乗るため長距離バスターミナル「銀川汽車站」へ行く。ターミナル内では見た目がおいしそうなパンと煎餅果子(クレープ包み)が売っていたので購入した。朝食の牛肉麺は完全に消化され腹が空いていたのである。待合室で座り、その二つをマジマジ見ると、一つで充分だと感じレープだけを食べた。味はまあまあ。クレープに白い魚肉ソーセージが一本入っているのを見つけて「あぁ、お前か・・・」と感じた。そしてバスは定刻通りに出発した。


バスの車窓風景  見所は何と言っても賀蘭山。「銀川-阿拉善」間のバスは「賀蘭山脈(阿拉善山脈)」を越えていく。そのギザギザ切り立った山並みを様々な地点から間近で眺めることができて最高である。途中、明代に築かれた長城も見ることができる。ただこの日の天候は曇り、暑くなくていいが景色は若干ぼやけて見える。山岳地帯を越えると目的地までは荒涼とした平原が続く。時々、馬やラクダの姿が見える。この地域特有の雰囲気が味わえて面白い・・・🐪🐪🐪


市街地区に到着  この日宿泊するホテルまでは少し距離があったのでバスに乗ろうとしたが便が非常に少なく、また空車タクシーも無かったので50分歩いた。まぁ今となっては途中の街並や周囲の風景をゆっくり観察でき歩いてよかったと感じる。旅は歩くことで発見できるものも多いのだ。そしてホテル到着、チェックインをする。部屋は小ぎれいだが狭く、また一階の駐車場に面しいるので当然眺めは悪い。一泊だけなのでいいが、まぁ安宿を選ぶとこういう結果になるのだ・・・。


巴彦浩特城市生態公園  ホテルの部屋でしばらく休憩した後、「定遠営」へ観光に出かける。途中、水の広がる生態公園の中を通る。広々していて散歩するのにとても適した場所だ。


定遠営古城  百度百科によると、古くは漢の名将・班超が西域に出征する際、この土地に駐留し、後に班超が「定遠侯」に封ぜられたことからこの地も「定遠営」と呼ばれるようになったという。時代は移り変わり清朝・雍正年間、戦いで功績のあったモンゴル族の扎薩克和碩親王・阿宝を賞して築城が始まった。その後も親王の地位は世襲され、最後の第十代・达理札雅(1903~1968)まで続いた。後に見学した親王府は彼らの邸宅である。


阿拉善和碩特親王府  当時の建物は戦乱や文革でほとんど破壊されてしまったのか、邸内を見て回ると比較的新しい時代の倣古建築のようである。親王府にしては敷地も建物も小規模で重厚さがなく何か殺風景で残念。まぁここで印象に残ったのは最後の親王・達理札雅とその夫人が王位継承式典後に撮った写真くらいである。その時の年齢は18歳、実に若々しい。ただ12年後の揚得志将軍との写真では彼も正真正銘の‟オッサン”になっていように見える。阿拉善のような乾燥地帯では特に老けやすいのだろうか・・・。 


延福寺  創建は清朝・雍正9年(1731年)。後の時代に何度か修築されたとのことだが、先ほどの親王府に比べると時代の古さが感じられる。


寺を出てから近くの城門楼に上がってみた。眺めはよい。その後は定遠営を出て、隣接する「営盤山景観公園」に向かう。


営盤山景観公園  ホテルへ戻る途中、公園の高台まで登って市街地全体を眺めた。近くには来るときに通った生態公園や先ほど見学した定遠営、遠くには少しくすんでいるが賀蘭山脈も見える。
さて高台に至る階段の途中に「和睦四端」というモチーフの金色の彫像が建っている。現地の説明によると元々古代インドの仏教説話に由来するという。同じ森に暮らす象・サル・ウサギ・鳥の四つの動物が登場し、ある時に互いの年齢を確認した。そして年齢が低い動物が年長者を背負うことになり、一番年齢の若い象が一番下で、一番年齢の高い鳥が先端に位置した。まぁ体の大きさから考えても妥当な判断であろう。そして大樹に実った果実を採り、仲良く分け合って食べたという。う~ん、なかなかイイ話しである。
その後この説話をネットで調べると、「始まりは元々何もない荒れ地に鳥が木の種を運んできて土の上に落とし、ウサギが土の中に埋め、サルが周囲の雑草を駆除し、像が潅水を続けた結果、木は大樹に成長し、やがて森が形成され多くの動物が幸せに暮らすようになった」という話も紹介されている。違う者同士が仲良く共生するのは大切だと分かってはいるが、時に反発し合い戦争にまで発展するのが現実の世界だ。人類は今一度「和睦四端」を学び直す必要があるのではないだろうか・・・。


公園の高台から下り、生態公園を通ってホテルに戻った。途中、スーパーで夜に食べる「餡餅」(あんもち。小麦粉の生地で肉や野菜の餡を包み平たくして焼いた食べ物)を3個買った。外食や羊肉料理のテイクアウトもいいが、この日は部屋でゆっくり簡単な食事をしたいという気分だった。もちろん地酒の焼酎「阿拉善」は準備してある。高い酒ではないが味はなかなか良い。

さてさて翌日は砂漠を訪れる。路線バスはないのでタクシーをチャーターした。料金は8:00~11:00の3時間(実際は4時間利用)で200元、まぁ妥当な金額だろう。部屋では砂漠の様子をあれこれ想像して期待に胸を膨らませつつ、白酒「阿拉善」を飲み、餡餅をかじる。う~ん、幸せなひと時だ・・・。ただまぁ体調管理も大切、深酒せず早目に寝ることにしよう・・・😴