1ヵ月間の中国西部(1)烏魯木斉 ❶ 2024.07.20


今回は夏休みの1か月間をフルに使い、中国西部を31泊32日で旅した。異なる地域での様々な風景、文物、料理、そして人との出会いを充分に楽しんだ。ただかなり疲労も蓄積し、途中に風邪のような病気にかかり、半日はホテルの部屋で寝ていた時もあった。自身は初老男子、やはり場所を転々とする旅行スタイルの場合、今後は長くても20日間ほどにした方が無難であろう。旅程は以下の通り。

【哈爾濱】Air➔【烏魯木斉・3泊】Train➔【吐魯番・4泊】Train➔
【西寧・4泊】Train➔【拉薩、その他・8泊】Air+Train➔
【麗江・3泊】Train➔【大理・3泊】Train➔【昆明(西山)・2泊】Train➔
【石林・1泊】Train➔【昆明(市街)・1泊】Train➔【貴陽・2泊】Air➔
【哈】

ハルビン空港から直通でウルムチ(烏魯木斉)へ向かう。所要は約5時間。窓からはお馴染みの内蒙古の砂漠地帯を眺める。そしてお待ちかねの機内食タイム。量も充実して味も美味しい。新疆ウイグル自治区上空になると名前は不明だが標高の高そうな美しい雪山が現れる。またトルファン(吐魯番)の火炎山の辺りだろうか赤い岩山地帯、そして都市周辺にはモザイクのような緑の農業地帯も広がっている。やがて飛行機は「ウルムチ地窩堡国際空港(URC)」に無事到着。


ウルムチ到着  天候は晴。青い空が広がり気分は良いが、ギラギラした日射しが少し気になる。市バスで市内のホテルに向かう。バスを降りコンビニで地元の焼酎「伊利特曲」とビール「烏蘇啤酒」を購入。烏蘇ビールはハルビンのコンビニでも販売している馴染みのビールで味も良い。ただ本場だけあって種類も複数確認できる。少し歩きホテル前に到着。ホテル1階にはテナントのレストランあり、店前の路上では羊肉串を焼いている。 煙がモクモクあがり香ばしいにおいが周囲に漂っている。料理の写真看板を見ても全ておいしそうだ。う~ん、これは期待できそうな環境だ!


日暮れ後の散策  部屋での休息後、夕暮れ時に頃に付近の散策に出かけた。偶然にホテルスタッフの男性が日本文化に関心があり、好意で近場を案内してくれた。彼は大学卒業後間もないウイグル族の青年で、「清川(きよかわ)」という日本語名も有している。ウルムチ滞在中は彼に色々とお世話になった。またウイグル文化についても教えてくれた。現在でも時々メールで連絡している。やはり人との出会いも旅の良さの一つである。
さて、にぎやか通りにはご当地の主食「ナン」の販売店がある。なかなかおいしそうだ。また屋台で何かを焼いている煙があがっている。しばらくして清川さんに「新疆創氷」という細かく砕いた氷にシロップ等を混ぜ合わせた飲み物をご馳走になった。自分は普段アイスクリーム等の甘い物は購入しないが、たまに食べるとおいしく新鮮な感じがする。


ホテルの部屋で夕食  散策終了後は清川さんと別れ、自身はホテルの部屋に戻りテイクアウトした麺料理と羊肉串燒を食べる。この日はほぼ移動で終わったが、清川さんとの出会いや、おいしい羊肉串焼と地酒が楽しめた。う~ん、なかなか良い旅のスタートだ。
一か月間の旅、慌てず急がず、のんびりペースで進んで行こう~!😊

信州狂人@ウルムチ・友好南路(清川さん撮影)

四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(3)


【三日目】この日は日帰り団体ツアーに参加した。下に旅行社のチラシを載せたが、自分が参加したのは「D線 岳陽楼、洞庭湖、屈子文化園一日游」、費用は200元に割引してくれた。元々は一人旅で汨羅を観光後に岳陽で一泊し、翌日長沙に戻る予定で、ホテルも予約し鉄道切符も購入済みであった。ただチラシを見ているうちに、この日に日帰りできれば翌日は「A線 韶山(記念館)花明楼一日游」にも参加できて効率が良いと感じたのだ。結果としてはより多くの場所が観光できて良い記念にはなった。ただやはり団体ツアーでは観光や食事の時間も限られているので慌ただしかった。

朝はホテル横のアポロ広場で集合、大型バスに乗り汨羅へ向かう。長沙市内を流れる瀏陽河の橋を渡って進んでいくと、やがて緑あふれる田園地帯に入る。1.5時間ほどで汨羅の市街地に至り、汨羅江に架かる橋を渡る。橋の手前で人気アニメキャラクターの名を冠した「喜羊羊超市」というスーパーがあったので撮影した。後でネット地図で調べると関係性は不明だが同名のスーパーが中国全土に多数存在していることが分かった。今住んでいる哈爾濱市内にも数店ある。喜羊羊、万人に愛される名称なのであろう。
まもなく最初の観光地「屈子文化園」に到着。ちょうど端午節(旧暦5月5日、2024年は6月10日)の二日前で、園内は端午節の装飾がなされ、祠前の湖ではドラゴンボートの練習をしている様子も見えた。正門に入るとすぐ近くに屈原が入水した汨羅江を間近に見える場所がある。そこでしばらく川の流れを静かに眺める。
その後は観光車に乗り「屈子祠」(屈原を祀った廟、記念館)があるエリアに向かう。そこでは屈子祠、再現された屈原の旧居、屈子書院などを見て回る。周辺は樹木が生い茂り、川や湖もあって自然は大変豊かだが、それ以外は特になにもなく物寂しい。おそらく夜になると辺りは真っ暗になり、虫や鳥獣の鳴き声が聞こえてくるのであろう。屈原が当時暮らしていた場所の雰囲気を少しでも感じることができたと思う。

瀏陽河
汨羅江

園内観光はまもなく終了。バスに乗る前、もう一度だけ汨羅江を眺める。この地を訪れることは今後はもうないだろう。最後にあいさつする。
屈原さん、さようなら・・・。


岳陽で昼食  午後1時前、バスは岳陽楼風景区に到着。観光を始める前に風景区に隣接する料理店「和天下漁館」で食事する。メニューを見るとおいしそうな地元料理が色々あるようだ。ただ自分はお一人様で、そのうえ食後の集合時刻まで時間が短かった。そこで看板メニューの「豊鍋回頭魚」(回頭魚のスープ)だけ注文することにした。
百度百科によると「回頭魚」は鯰科の淡水魚で、長江や洞庭湖などに生息する。近年は環境汚染の影響で野生種の数が減少し、養殖が行われているという。
さて店内の水槽で自分の食べる魚を選ぶ。食べきれないともったいないので極力小ぶりの個体にした。魚はすぐ調理場に回され、自身は席に戻りペットボトルに入れ替えて持参した焼酎をグラスで飲む。するとまもなく料理が運ばれてきた。その大きい鍋を見て、やはり小さめの魚を選んで正解だったと感じる。味はオススメだけあって非常においしい。白身はプリプリ弾力があり旨味を感じる。黄色いスープは味の説明が難しいが、ほどよい濃さで味付けも良く何杯でも飲めそうだ。するとガイドさんがテーブルまで来て、食事はゆっくりすればよく、食後は一人で風景区に入るようにと言われた。おそらく風景区での観光時間に余裕があるのだろう。団体ツアーでも状況によっては臨機応変に対応してくれて大変ありがたい。そして安心し落ち着いて酒を飲みながら魚スープを味わった。


岳陽楼風景区  ここには有名な楼閣「岳陽楼」、そしてその正面には洞庭湖が広がっている。入場後は先ず湖をしばらく眺める。実に広く立派な湖だ。見えている範囲も湖の一部分でしかない。その後は案内図を参考に、「鉄枷」、「点将台」、「呂仙祠」、「小喬墓」、そして「岳陽楼」の順番で見学する。この風景区に三国時代・呉の将軍・周瑜の夫人「小喬」の墓所があったのは意外だった。この地域と当時の歴史との関連性を全く意識していなかったからだ。まぁこのような発見が旅の面白さでもあるのだ。

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小喬之墓  好きな中国歴史TVドラマに「新三国」があり、今まで何度も繰り返し視聴してきた。当時の様子がきれいな映像で再現されているので、参考に小喬と周瑜が登場する場面を複写・掲載する。

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岳陽楼では長い行列ができていた。集合時間まで余裕がなかったのでので残念だが楼に登るのは諦め、基壇から湖を眺めた。まぁ回頭魚スープもおいしかったので今後機会があればまた岳陽を訪れ楼上に登ることにしよう。さて岳陽楼と言えば杜甫「登岳陽樓」が有名だ。悲壮感ただよう内容で気分も暗くなる。杜甫の流浪の旅はかなり過酷だったのだ。S狂人のほろ酔いお気楽旅行とは根本的に異なるのである。

集合後、バスに乗り約2.5時間かけて長沙へ戻る。長沙市内に至ると朝と同様に瀏陽河に架かる橋を渡る。車窓から某施設の前に設置された巨大ピカチュウが見えたので撮影した。まもなく解散場所の「アポロ広場」に到着する。


夕食に出る  長沙到着後はホテルで少し休息してから夕食に出かける。駅前から地下鉄に乗り五一広場で下車、いつもの火宮殿へ向かう。時刻は夜9時過ぎ、街は多くの人々でかなりにぎわっていた。


火宮殿  三回目の来店。先ず白沙ビールを注文。そして料理は湖南名物の「牛腩饊子」(牛筋麺)と「桂花糖油粑粑」(甘い餅菓子)、「青椒煎茄子」(ピーマンとナスの炒め)。饊子という麺は少し硬い印象で、粑粑は酒飲みの自分ににとって甘すぎだ。青椒煎茄子は自分好みの甘辛い味付けで、これまたおいしく炊けてある米飯と一緒にパクパク頬張った。
う~ん、ウマウマ・ウシマケタ😊!!


お腹も満たされた。店を出て地下鉄でホテルへ帰る。午後11時半頃、長沙駅で下車すると、夜はいつも黄色くピカピカの駅舎が暗い。ライトアップの時間が終了したということか。さてさて翌日は韶山ツアーに参加する。連日の観光で少し疲れを感じる。早めに寝ることにしよう・・・。