四泊五日の銀川・阿拉善左旗(4)2024.05.01🐪


騰格里沙漠(テンゲル/トングリ砂漠)  この日のメインイベントは中国で4番目に広いというこの砂漠の見学だ。朝8時、前日に予約したタクシーに乗り出発する。市街地を離れると緑地帯が減り、荒涼とした乾燥地帯が現れる。ただ道路沿いの砂地は緑化対策として植栽が行われ、砂の流動を防ぐためか地表にはネット状の物が見える。途中、工事中の高速鉄道駅が見えた。中国での高鉄網の拡大はまだまだ進んでいるようだ。そのうち「阿拉善英雄会雕塑広場」のモニュメントや、観光客向けのラクダ乗り場があったので立ち寄って少し見学した。
なお「阿拉善英雄会」については、ネット「内蒙古草原旅游」所載の情報を以下に引用する。


阿拉善英雄会夢想公園  ホテルを出発してから約1時間、今回観光する最初の砂丘エリアに到着。ここは「阿拉善英雄会」のメイン会場で、スタジアムや宿舎など様々な施設がある。ただ開催期間以外は訪れる人は少ないのか、四駆車が多少確認できるだけだ。タクシーを降り、砂で半分埋もれた門を乗り越えて砂丘エリアに入る。このエリアは四駆車の専用コースなのか、広い範囲で多くのタイヤ痕が残り、砂丘本来の美観が損なわれていたのが残念であった。それでも手前にある小ぶりな砂丘に登ってみた。砂山に登るのは久しぶりで、前回は確か2012年、当ブログのトップ写真にも使っている敦煌の鳴沙山だったと思う。登り始めると靴が砂に埋もれて歩きにくいが、何とか上部の稜線までたどり着く。頂からの眺めは良く、少し離れた位置にある池もきれいに見える。そして砂丘の下に紫色の物体が見えたので確認しに下りる。名前は分からないが紫色のきれいな花だ。最初は気づかなかったがこのエリアにはこの花が数多く咲いていた。砂に埋もれた花植物、何とも不思議な光景である。その他、黄色い花や甲虫も確認した。このエリアには池もあり、前の晩は雨も降ったようなので、時季による違いはあるだろうが、生物が比較的生息しやすい環境なのかもしれない。


2か所目の砂丘エリア  最初のエリアから車で約20分、別の砂丘エリアに到着。見ると周囲に多数の四駆車が見えたので、これから散策する砂丘の景観を心配した。道路から砂丘エリアに入り、奥に進むにしたがってタイヤ痕や人の足跡はほとんど見えなくなり安心した。このエリアでは自然が生み出す砂丘の美しさを充分に楽しむことができた。なお最初のエリアで見た紫色の花植物は無かったが、甲虫が動いているのを何度か確認した。そして最後は比較的大きめな砂丘に登り、その頂に腰を下ろして砂漠の風景をしばらく眺めた。砂丘は遥か彼方の地平線まで続いている。これを見ていると日常の悩みやストレスから解放されるようで精神的に癒される。帰り際、観光客用のラクダの横を通った。ラクダを見ていると顔の表情が時々変化して面白い。さてさて砂漠見学も終了、銀川へ戻るため市街地にある長距離バスターミナルへ向かう。


阿拉善➔銀川  前日に来た道を通って銀川に戻る。賀蘭山脈を眺めながらのバス旅だ。馬の放牧されている風景はこの地方独特でイイ感じだ。また幾つかの山の上には烽火台らしきキューブ型の建造物が見えたので撮影した。銀川近くになると景色は山岳地帯から平原へと変わり、しばらくするとバスは市街地にある鉄道「銀川駅」近くの長距離バスターミナルに到着。そこから市バスに乗り換えてホテルに向かう。


銀川で夕食  午後3時過ぎにホテル到着、夕食まではしばらく休憩する。そして午後6時過ぎに外出。徒歩約10分、飲食ビル「隆基第八大街」の中に「華彪麺館」という店があり、そこでご主人オススメの「孜然牛肉臊子炒麺」を軽く食べる。甘くスパイシーな味付けでモッチリ麺に野菜と肉が絡んでおいしい。
後はホテルの部屋で酒をゆっくり飲みながら他の何かを食べたいと思い、「新疆艾力焼烤羊肉串」という店で羊肉串焼き8本をテイクアウトし、コンビニで地元の焼酎「銀川白酒」を買ってからホテルに戻る。店の前の路上では羊肉を吊るして串肉を準備していたが、日本ではあまり見られない光景で面白い。
さて部屋では、パソコンを見ながら串肉を頬張り、白酒をグビグビ飲む。そして今回の旅の思い出に浸る・・・。う~ん、なかなか気分の良いひとときだ・・・

さてさて、翌日は哈爾濱に帰る日だ。ただその前にまだ銀川での楽しみが一つ残っている。それは午前中に行く「黄河風景区」だ。飛行機の出航時間まで余裕はないので、タクシーをチャーターすることにした。まぁ今回の旅は日数的に限られているので多少の出費は仕方がない。それよりも久々に黄河の流れを間近で見たいと思う気持ちが強かったのだ。前回、黄河を間近で眺めたのは2012年8月の蘭州。その辺りを流れる黄河は水の流れは比較的速いという印象だった。
この夜も窓からは人民劇場のライトアップが見える。白酒を飲みながら、しばし銀川の夜を楽しむことにしよう・・・。

四泊五日の銀川・阿拉善左旗(3)2024.05.01🐪


【三日目】この日は銀川から阿拉善左旗へ移動。朝はホテルで朝食。あまり食欲がなかったのでミニ牛肉麺、プチトマト、キュウリだけを食べる。その後は阿拉善行きのバスに乗るため長距離バスターミナル「銀川汽車站」へ行く。ターミナル内では見た目がおいしそうなパンと煎餅果子(クレープ包み)が売っていたので購入した。朝食の牛肉麺は完全に消化され腹が空いていたのである。待合室で座り、その二つをマジマジ見ると、一つで充分だと感じレープだけを食べた。味はまあまあ。クレープに白い魚肉ソーセージが一本入っているのを見つけて「あぁ、お前か・・・」と感じた。そしてバスは定刻通りに出発した。


バスの車窓風景  見所は何と言っても賀蘭山。「銀川-阿拉善」間のバスは「賀蘭山脈(阿拉善山脈)」を越えていく。そのギザギザ切り立った山並みを様々な地点から間近で眺めることができて最高である。途中、明代に築かれた長城も見ることができる。ただこの日の天候は曇り、暑くなくていいが景色は若干ぼやけて見える。山岳地帯を越えると目的地までは荒涼とした平原が続く。時々、馬やラクダの姿が見える。この地域特有の雰囲気が味わえて面白い・・・🐪🐪🐪


市街地区に到着  この日宿泊するホテルまでは少し距離があったのでバスに乗ろうとしたが便が非常に少なく、また空車タクシーも無かったので50分歩いた。まぁ今となっては途中の街並や周囲の風景をゆっくり観察でき歩いてよかったと感じる。旅は歩くことで発見できるものも多いのだ。そしてホテル到着、チェックインをする。部屋は小ぎれいだが狭く、また一階の駐車場に面しいるので当然眺めは悪い。一泊だけなのでいいが、まぁ安宿を選ぶとこういう結果になるのだ・・・。


巴彦浩特城市生態公園  ホテルの部屋でしばらく休憩した後、「定遠営」へ観光に出かける。途中、水の広がる生態公園の中を通る。広々していて散歩するのにとても適した場所だ。


定遠営古城  百度百科によると、古くは漢の名将・班超が西域に出征する際、この土地に駐留し、後に班超が「定遠侯」に封ぜられたことからこの地も「定遠営」と呼ばれるようになったという。時代は移り変わり清朝・雍正年間、戦いで功績のあったモンゴル族の扎薩克和碩親王・阿宝を賞して築城が始まった。その後も親王の地位は世襲され、最後の第十代・达理札雅(1903~1968)まで続いた。後に見学した親王府は彼らの邸宅である。


阿拉善和碩特親王府  当時の建物は戦乱や文革でほとんど破壊されてしまったのか、邸内を見て回ると比較的新しい時代の倣古建築のようである。親王府にしては敷地も建物も小規模で重厚さがなく何か殺風景で残念。まぁここで印象に残ったのは最後の親王・達理札雅とその夫人が王位継承式典後に撮った写真くらいである。その時の年齢は18歳、実に若々しい。ただ12年後の揚得志将軍との写真では彼も正真正銘の‟オッサン”になっていように見える。阿拉善のような乾燥地帯では特に老けやすいのだろうか・・・。 


延福寺  創建は清朝・雍正9年(1731年)。後の時代に何度か修築されたとのことだが、先ほどの親王府に比べると時代の古さが感じられる。


寺を出てから近くの城門楼に上がってみた。眺めはよい。その後は定遠営を出て、隣接する「営盤山景観公園」に向かう。


営盤山景観公園  ホテルへ戻る途中、公園の高台まで登って市街地全体を眺めた。近くには来るときに通った生態公園や先ほど見学した定遠営、遠くには少しくすんでいるが賀蘭山脈も見える。
さて高台に至る階段の途中に「和睦四端」というモチーフの金色の彫像が建っている。現地の説明によると元々古代インドの仏教説話に由来するという。同じ森に暮らす象・サル・ウサギ・鳥の四つの動物が登場し、ある時に互いの年齢を確認した。そして年齢が低い動物が年長者を背負うことになり、一番年齢の若い象が一番下で、一番年齢の高い鳥が先端に位置した。まぁ体の大きさから考えても妥当な判断であろう。そして大樹に実った果実を採り、仲良く分け合って食べたという。う~ん、なかなかイイ話しである。
その後この説話をネットで調べると、「始まりは元々何もない荒れ地に鳥が木の種を運んできて土の上に落とし、ウサギが土の中に埋め、サルが周囲の雑草を駆除し、像が潅水を続けた結果、木は大樹に成長し、やがて森が形成され多くの動物が幸せに暮らすようになった」という話も紹介されている。違う者同士が仲良く共生するのは大切だと分かってはいるが、時に反発し合い戦争にまで発展するのが現実の世界だ。人類は今一度「和睦四端」を学び直す必要があるのではないだろうか・・・。


公園の高台から下り、生態公園を通ってホテルに戻った。途中、スーパーで夜に食べる「餡餅」(あんもち。小麦粉の生地で肉や野菜の餡を包み平たくして焼いた食べ物)を3個買った。外食や羊肉料理のテイクアウトもいいが、この日は部屋でゆっくり簡単な食事をしたいという気分だった。もちろん地酒の焼酎「阿拉善」は準備してある。高い酒ではないが味はなかなか良い。

さてさて翌日は砂漠を訪れる。路線バスはないのでタクシーをチャーターした。料金は8:00~11:00の3時間(実際は4時間利用)で200元、まぁ妥当な金額だろう。部屋では砂漠の様子をあれこれ想像して期待に胸を膨らませつつ、白酒「阿拉善」を飲み、餡餅をかじる。う~ん、幸せなひと時だ・・・。ただまぁ体調管理も大切、深酒せず早目に寝ることにしよう・・・😴