四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(2)2024.06.06


【二日目】主要イベントは「岳麓書院」の見学。起床後は部屋でのんびりお茶を飲み、10時過ぎに駅前にある食堂「老長沙」で遅めの朝食をとる。メニューには色々書かれているが、朝食ということもあり定番の「牛肉粉」(粉は米粉麺のこと)、そして「番茄炒蛋」(トマト卵炒め)を注文。麺は平麺でツルツル・モチモチしておいしい。トマト卵炒めと言うと普通はトマトの塊がゴロンとしている場合が多いが、この店ではトマトを比較的細かく切ってあるので食べやすい。
さて食後店の外に出ると、路上では現地の環境局の車両なのか移動しながら巨大な霧吹き装置から大量の霧をまき散らしていた。少し気になったので写真を撮っておいたが、この作業が街の環境に具体的にどのような効果があるのかは不明である。暇な時にでも中国人の知合いに聞いてみようと思っている・・・。


岳麓山の湖南大学  地下鉄で長沙駅から「岳麓書院」の最寄り駅「湖南大学」まで移動。現在、書院は湖南大学が管理している。駅周辺には大学の多くの建物ときれいなグラウンドが広がっている。緑が多く空気もきれいなので理想的な学習環境と言えよう。そしてちょうど卒業の時期だったのだろう、多くの卒業生が毛沢東像や校舎の前で記念写真を撮っている。
歩を進めると最初は派手な看板の飲食店が目立っていたが、岳麓山の南大門を抜けると周辺は樹木が多く茂り、まさに山道を歩いているという印象だ。やがて書院の入口に到着、入場料を払ってから中に入る。そして気が付いたのは、私が入ったのは山側にある「西門」だということ。正門は駅に近い別の場所にある。正門の存在に気付かずにグルッと奥まで回ってしまったのだ。


岳麓書院  北宋の創建。著名学者の張拭や朱熹、王陽明などとも由縁があり、歴代王朝の皇帝からも保護されていた由緒ある書院だ。画像を見れば理解できるので説明は省略する。


歴史陳列館・毛沢東の寓居  陳列館にはひと昔前のものか、毛沢東揮毫の扁額「湖南大学」が飾られている。かなり大きくて迫力がある。1935年の卒業証書も面白い。陳列館前には通路を挟んで毛沢東の旧寓居(元湖南大学設立準備事務所)がある。彼の故郷は長沙から近い韶山で、長沙にも長年暮らしていたという。机や椅子、ベッドは本人が実際に使用したものかどうかは不明だが、長年使用された独特の趣きを感じる。


文廟  書院敷地の北側にある。大成殿の建物など本場曲阜のものとは違って小規模ではあるが、何か味わいのある趣きと清々しさを感じる。やはり岳麓山のふもとで風水的にも優れた環境に位置しているのだと感じる。


文廟を出ると書院の見学も終了。文廟の外には蓮池があり「吹香亭」で数人の観光客が休憩している。その横を通り地下鉄駅に向かうと、最初に見た毛沢東の巨大像に至る。ふと像の背後に回わると題記の「湖南大学」とうい刻字の上部に、何か文章が削り取られた痕跡を発見した。1967年で文化大革命初期の刻字なので、おそらく後の時代に政治的に都合が悪くなったので削り取ったのであろう。次に清代の史跡「自卑亭」を少し眺めてから駅へ向かった。


火宮殿で早めの夕食  岳麓山から市街地の火宮殿に移動、2回目の来店だ。前回は店内で注文した酒が地酒ではなかったので、この日は事前に平和堂で地酒の焼酎「湘泉」を購入・持参した。平和堂内には回転寿司の「はま寿司」があり少し懐かしく感じたが、もちろん長沙では日本食は敬遠、やはり地元料理を食べる。
今回は「紅焼猪脚」(豚足醤油煮)、「三角豆腐」(油揚げ煮)、「龍脂猪血」(豚の血液の固形物が入ったスープ)、「刮涼粉」(冷麺)の四品を注文。いずれもこの店で初めて食べる品だが、味は写真を見て簡単に想像できる普通の味付けである。「猪血」は名称や外観からすると少し異様だが、実際に食べてみると嫌な臭いやクセもなく、プリンのように柔らかくツルッとして喉越も良い。
やれやれ、まぁはるばる飛行機に乗りやって来た長沙で、おいしい料理をつまみながら地元の旨い烈性酒をグビグビ飲んでいると、やがて酔いも回ってきて気分は至極爽快・・・。う~ん、やはり旅はいいものだ・・・。


食後の散策・散髪  ほろ酔いで火宮殿を出て、特に予定もなく街をのんびり歩く。やはり派手な看板や装飾が目に入る。時に古い建築物もあったりして、説明文を読んで楽しむ。するとあるエリアには複数の理髪店がかたまって営業していたので、その中の一店舗「潮牌」に入りカットしてもらった。自分は旅先の理髪店で散髪することが比較的多い。洗髪もしてもらいサッパリしたら一度ホテルに戻る。
途中、飲食店の前で店員が大きなタライで何かを洗っているので覗いてみる。するとそれは中国人に人気の龍蝦(ザリガニ)であった。自分も20年ほど前に食べたことがあるが、小さい肉片を食べるのに一つ一つ殻をむくのが面倒だったので以来一度も食べていない。
そしてバスに乗り長沙駅まで移動する。前の晩はキラキラ電飾された長沙駅を見たが、昼間の姿もなかなか立派である。駅からホテルまでは徒歩約5分の距離、部屋でしばし休憩する。


駅前食堂「老長沙」で夜食  ホテルの部屋で酒を飲んでいると、火宮殿での夕食が少し早かったためか空腹を感じた。そこで夜10時頃、駅前の食堂に行って夜食を食べることにした。途中、長沙駅の前を通るが、この夜もキラキラきれいにライトアップされている。食堂は今朝と同じ店で、味が良かったので再来店した。この夜は湖南の代表料理「辣椒炒肉」、そして「麻婆豆腐」を注文。この時点で既に酔っ払っていたので、青唐辛子の辛さはそれほど感じなかった。そして満腹、歩いてホテルへ戻る。
さて翌日は汨羅・岳陽の団体ツアーに参加。集合時間も若干早い。夜更かしせずに早めに寝ることにしよう😴・・・

五泊六日の香港・澳門・珠海(4)2024.01.26


【四日目】澳門の二日目、この日は朝から精力的に世界歴史遺産巡りに出かける。数は多いが比較的狭いエリア内に集中しているので、大半は徒歩での移動となった。最後の目的地「ギア砲台跡」の見学後、夜まで時間があったので広東省・珠海に行ってみた。珠海滞在は3時間、駅前の釜飯屋さんで食事し周辺を散策してから澳門へ戻った。短時間内に入境し出境するという珍しい体験をしたが、現地の越境労働している多くの人達にとっては出入境も地下鉄のようにスルッと通過するだけの認識なのだろう。
ところで最近は仕事が忙しくなり、また清明節・労働節・端午節・夏季休暇と次々に旅行の計画・準備をしているので記事編集がなかなか進まない。そのうえ今後掲載予定の記事もかなり蓄積してきてた。そこで今回、各観光スポットの概要は現地案内板の画像に任せ、自身の簡単な感想だけを記すことにした。

朝食の焼きそば  宿を出て先ずは徒歩で半島南の「媽閣廟」に向かう。途中、コンビニ「セブンイレブン」で澳門の交通カード「Macau Pass」を購入、いくらかチャージした。その近くに食堂があったので朝食をとった。壁面のメニューを見ると種類が多い。ここはまぁ無難に「肉絲炒麺」(豚肉焼きそば)+「追加野菜」を注文。味は良い。野菜もおいしく追加して正解だった。量は年を取り胃袋も小さくなっているので充分。支払い時、このような小さい食堂でもマカオ・パスが使えるのがうれしい。その後近くの港をチラッと見学、対岸は珠海だ。


【世界遺産】媽閣廟  大きな岩がゴロゴロいくつも存在し、何かパワーを感じる神秘的な場所だ。熱心な参拝者も多く訪れ焼香していた。ここからも対岸・珠海の山並みや高層ビル群がよく見える。自身にとってはこの日の観光スタート地点、この先多くの訪問地が予定されているのでササッと見て終わった。


【世界遺産】鄭家屋敷  媽閣廟の後は半島を北に向かって進む。先ずは近くの「港務局大楼(世界遺産)」に寄り、建物外観をサラッと見学、そして鄭家屋敷に移動する。ここは部屋数も多い大きな建物で、現地の伝統的な建築様式を興味深く拝見した。


【世界遺産】リラウ広場  鄭家屋敷の道を挟んで向かいにある公園。ボダイジュモドキ(假菩提樹)の大木が枝を広げている。訪れた時は人は少なかったが、夏の蒸し暑い季節には大木の存在意義が大いに発揮され、人々の憩いの場所となるのであろう。


【世界遺産】聖ローレンス教会  鄭家屋敷から徒歩5分ほど。自身はキリスト教徒ではないので、普段は教会の中に入ることは滅多にない。今回は建物外観や内部をじっくり眺めて何か新鮮な感じがした。そう言えば今住んでいる哈爾濵には観光客に大人気の聖ソフィア大聖堂があるが、いつも通りすがりに外から眺めるだけで、まだ一回も中に入っていないことを思い出した・・・。


【世界遺産】聖アントニオ教会  ここに来る前に、それぞれ世界遺産の「ドン・ペドロ5世劇場」、「聖オーガスティン教会」、「聖オーガスティン広場」、「民政総署」等を見学したのだが、それらの記事は省略する。民政総署を出て付近からバスに乗り聖アントニオ教会に移動。今まで見てきた教会と同様、敷地内はゴミ一つなく清潔に管理されていて心が落ち着き安らかになる。


【世界遺産】ギア要塞  聖アントニオ教会付近からバスに乗りギア要塞近くで降りる。この砲台は澳門半島で最も高い位置にある。そのためバス停から要塞まで長い登り坂が続き息が切れる。やはり冬に訪れたのは正解だった。もしこれが蒸し暑い季節だったら寿命が短くなるところであった。そう言えば去年は連日猛暑の金沢市をフーフー言いながら歩いたことを思い出した。年齢を考えると無理は禁物だ・・・。さて要塞とあるが、敷地内には教会や中国沿岸では歴史上初という灯台もある。この日は曇で眼下の街はくすんでみえたが、天気の良い日は最高の景色が楽しめることだろう。


3時間の珠海  ギア要塞を見終えたのが2時過ぎ、その後は予定もなかったので珠海に行くことにした。バス停で出入境施設まで移動、人の流れについて行く。外国人用の出境手続きの列にしばらく並び、ようやく係員にパスポートを提示、訪問理由などを述べてから珠海側へ出る。越境労働をしている多くの人達は地下鉄駅のように次々と自動機に身分証をスキャンさせて簡単にゲートを通り抜けている。その時見ただけでもかなり多数の人が移動していた。
珠海では駅周辺を少し散策し、お腹も空いたので適当に見つけた釜飯屋さんに入る。

釜飯屋さんでは「黄鱔腊肉双拼煲仔飯」(タウナギと燻製肉の釜飯)を注文、ビールはなかったので近くのコンビニで買ってきた。香港で初めて食べた時、他の具材の釜飯も食べてみたいと思っていたので丁度よかった。また値段も香港よりずっと安い。時間の関係か店内は空いていたので、「海珠ビール」(注:「珠海」ではなく「海珠」)を飲みながら落ち着いてゆっくり食事できた。

食事後は辺りを少し散策し、暗くなる前に澳門へ戻ることにした。途中駅前広場を通ると、鄧小平が珠海を訪れた時に揮毫した「珠海経済特区好」(1984年1月29日)が金色に大きく拡大されて示されているのが見えた。何と自分が珠海を訪れたこの日も1月29日、ちょっとした偶然に少し驚く。小平さんの訪問から40年が過ぎたということだ。もし小平さんが現在の中国の状況を見たらどう思うのであろうか・・・。

珠海から澳門に戻り、宿に着く頃には完全に暗くなっていた。「セナド広場(世界遺産)」を通り抜け北奥にある「聖ドミニコ教会(世界遺産)」まで来ると、その黄色い外壁がライトアップで暗闇にピカッと浮かび上がって見えて、なかなかきれいだ。
さてさて、この日は半島の南から北へ慌ただしく移動して少々疲れた。翌日は香港へ戻る。部屋では残りのポルトガル・ワインを飲みながらゆっくりしよう。