八泊九日の石家荘・平遥・太原(9)最終回


【八日目】太原での三日目。この日は双塔で有名な「永祚寺」の見学と、「汾河」の川辺を散策する予定だ。先日の晋祠とは違い、永祚寺は宿泊先ホテルから比較的近く、移動時間を気にせずゆっくり観光できそうだ。

永祚寺  明代の創建、現在は広大な「双塔公園」の中に位置する。見所は何と言っても明代に建立された「宣文塔」と「文峰塔」の二つの佛塔。自分の足で実際に塔に登れるのも魅力的だ。


☘宣文塔  現地の説明パネルによると、高さ54.78m、13層、塔身は八角形、最上部の塔刹は銅鉄製の宝瓶、典型的な楼閣式の空心磚塔。内部の階段を登ることができ、上層階からは太原市内を眺望できる。各層の屋根の縁には緑色の瑠璃が施され、渋い輝きを発していて美しい。もう一方の文峰塔にはこの装飾がないので、両者を区別する際の参考になる。


☘文峰塔  高さ54.76m、13層、塔身は八角形、典型的な楼閣式の空心磚塔。宣文塔とよく似ている。訪れた当時は入口が閉ざされていて内部に入ることができなかった。まぁ宣文塔に登ってそこそこ疲れていたので、立入禁止とはっきり言われると逆に安心する。登れるとなると疲れていても必ず無理して登ってしまう性格だからだ。


見学が終わり公園内を歩いていると、所々から双塔が望める。見る場所によって構図や雰囲気も変わり面白く、もう少し見ていたい気持ちになる。太原のシンボル・双塔、お世辞抜きで実に見事であった。


汾河の散策  太原市内を流れる汾河、その川岸はきれいに舗装・緑地化され、市民の憩いの場所になっている。双塔見学後、バスで太原空港へ行き翌日利用するカウンターを確認した。その後またバスに乗り地下鉄「南中環駅」辺りで下車、南中環街を西へ川辺まで真っすぐ進み「南中環橋」の東岸に至り、その後は川岸を北上する。途中、適当な休憩場所があったので恒例の「流水飲み」を行う。水の流れを眺めながら地元の焼酎「普泉高粱白」(42度)をチビチビ飲む。前回の流水飲みは、たしか2023年6月下旬、黒河の中露国境を流れる黒龍江(アムール川)だったか。さてこの旅も明日で終了、哈爾濵へ戻る。今回は訪問各地に多くの歴史遺産があり、精力的に歩き回ったのでかなり疲れたが、それだけ思い出も多く充実感もある。そのようなことを考えながら激烈酒を口に含み、しばし景色を楽しむ。その後再度歩き始め、日も暮れてきたので適当な場所で河を離れホテルに戻った。


夕食  ルームサービスで前日と同じ「老伝統過油肉(小)」、そして主食は「葱花烙餅」(小麦粉の生地に刻みネギを練り込んだ薄焼き)を注文。この日も杭州アジア競技大会が放映されていたのでパソコンで見ながら酒と料理を楽しんだ。


【九日目】旅行最終日、哈爾濵に戻る。朝はホテルの部屋でインスタント麺「茄皇牛肉麺」を食べ、最寄りのバス停から太原武宿国際空港 へ向かう。太原から哈爾濵までは約2.5時間、離陸後すぐ窓からは前日訪れた汾河とそれに架かる独特な形状の南中環橋が見えた。しばらくして内モンゴルだろうか、地上に大きな風力発電用の白い風車が多数見えたのが印象的だ。やがて松花江が見えてくると残りわずか。空港から市内行きシャトルバスに乗り、哈爾濵駅に到着したのは午後7時半頃。そこからは徒歩で自宅に向かう。辺りはすでに暗くなっていたが、馴染みの街を見るとホッとする。
さてさて翌日は出勤、夜は早めに寝よう。お疲れ様でした~

八泊九日の石家荘・平遥・太原(8)2023.09.29


【七日目】太原の二日目。この日は「晋祠」だけを観光。一日一か所だけ!? と思うかも知れないが、晋祠を含む風景区は敷地も広く歴史的に貴重な遺産も多い。また宿泊したホテルからも遠くバスで片道約1.5時間以上かかる。自身は元々あちこち色々と見て回りたいという欲深い性格だが、現在は年も取り体力にも自信が無いので今回は一か所をゆっくり楽しむことにした。朝は先ず太原駅まで行き、晋祠まで直通の市バスに乗る。バスは途中「汾河」に架かる橋を渡る。この汾河は翌日にその畔を散策することになる。


晋祠に到着  晋祠とは春秋時代に晋を建国した唐叔虞とその母を祀った道教寺院。今回は特に貴重な歴史遺産が残るエリアを中心に見学した。掲載画像の説明も面倒なので、ここでは現地の説明パネルから基本的な情報だけを抜粋。詳細情報はパネル画像を参照のこと。


☘会仙橋 明代の石橋。橋の名称はここで明代の学者・羅洪先と仙人が出会ったという伝説が由来する。

☘金人台 古称は「蓮花台」、俗称「鉄漢橋」。四隅に鉄人が立っているが、東北隅の鉄人(民国の鋳造)以外の三体は北宋・紹聖4年(1097)の作。

☘対越坊 明代の建立。「対越」は『詩経・周頌』から取った言葉で、ここでは「聖母の功徳を宣揚する」という意味。

☘献殿【晋祠三大国宝建築之一】 金・大定8年(1168)の建立。「献殿」は祭祀のお供え物を陳列する建物。現存する建立年が明確な献殿としては中国で最古のものという。

☘魚沼飛梁【晋祠三大国宝建築之一】 献殿と次に述べる聖母殿の間にある十字型の石橋。創建時期は不明だが現存するものは北宋の建立。

☘聖母殿【晋祠三大国宝建築之一】 晋祠の主殿。北宋・太平興国9年(984)の建立。「聖母」とは周の武王の王后・邑姜のことで、晋を建国した唐叔虞を生んだ。正面にある龍の巻き付いた柱が目を引く。

☘唐碑「晋祠之銘並序」 唐・貞観20年(646)、第二代皇帝の太宗・李世民が東征の帰りに晋祠に立ち寄って自ら撰文揮毫して建てた石碑。単に「晋祠銘」と呼ばれることが多い。中国で現存する最古の行書碑とのこと。


上記以外にも興味深い場所はいくつかあったが、説明はここまでとする。 連日の観光で疲れを感じたので暗くなる前にバスで市街に戻ることにした。バスを降りてから理髪店へ行きボサボサ髪をカットしてもらった。スッキリ気分でホテルに戻る。


ホテルに戻り休息、やがて日も暮れた。お楽しみの夕食タイム、この夜もルームサービスを利用し「老伝統過油肉(小)」と「剔尖麺」を注文。過油肉は平遥で初めて食べて大変おいしかったので太原で再注文。「剔尖麺」とは麺生地を細長い棒で切って飛ばし釜茹でしたもの。麺にかけるソースは「卵入りトマトソース」と「挽肉入り甘辛ソース」の二つが運ばれてきた。この夜はちょうど中国杭州での第19回アジア大会の女子バスケットボール・日本VS中国の決勝戦がテレビでライブ放映されていたので、それを観戦しながらの夕食となった。試合結果は「日本 72-74 中国」、日本は残念ながら僅差での敗北となったが、まぁ本当にハラハラドキドキの良い試合だった。

おいしい料理と白熱した試合、おかげで充実した夜を過ごすことができた。さてさて、翌日も太原での観光が続く・・・。