上海生活:雨のち晴れ(2015.05)

異国での仕事や生活は、意識、無意識を問わず、肉体的、精神的なストレスが生じるものである。到着後の四、五日はまだまだ元気であった。それが突然体調が悪化し、頭や腹、関節が痛み、食欲もなくなったのである。原因は不明であるが、おそらく最初は気を張っていたが、慣れた頃に気が弛み、潜んでいた疲労とストレスが襲来したのかもしれない。ただ白酒をグビグビ飲んだことにも多少の原因はあるかも知れない。結局今回も薬や力保健(リポビタン)のお世話になった。やがて体調も回復し、休みの日は外出する。休日の過ごし方は前回とほぼ同様である。上海博物館でお宝を拝見し、福州路の書店や南京路の朶雲軒で買い物し、豫園で小籠包を食べ、外灘辺りをぶらつく。

上海博物館へは昔から何回も行っているが、見飽きるということはない。ただ全館をくまなく回ると足が痛くなるので、最近は3階の絵画館、書法館、印章館だけ行く。多少の展示替えもしているようで、いつでも楽しく鑑賞できる。同じ作品であっても、見る時期によって感じ方が変化することもある。そこで、今回は気になった作品を紹介しよう。書では祝允明「草書牡丹賦」と黄道周「草書五律詩」。どちらも力強さがあり、「牡丹」は大胆さ、「五律詩」は気骨を感じる。画では倪瓚「渓山図」と南宋「歌楽図」。「渓山」は孤高の精神を、「歌楽」は宮中の華やかさを感じる。特に宮女の衣は鮮やかである。

実は先日に歴史ドラマ「尽忠岳飛」(全69回)を見終わったところで、官服や軍服の色も鮮やさが印象的であった。ただ、悲しい結末に何とも切ない気持ちになった。そして何度か杭州の岳廟を訪れたことも思い出した。

のんびり上海 (2013.02)

寧波での仕事も終了し、日本へ引き上げることになった。そして一昨日上海に移動した。大阪行きフェリー「蘇州号」の出港日までの6日間、 南京路から近い寧波路にある安ホテル「莫泰268」で宿泊する。

上海では特別な用事もないので気はたいへん楽だ。昨日はかつての同僚が蘇州から訪ねてきてくれた。そして夕食に大世界にある日本料理の食べ飲み放題をご馳走になった。ただ今回も闘争心に火がつき、結果食べすぎて腹痛で苦しむこととなった。宿への帰り道、南京路の薬局で胃腸薬を買ってすぐに飲んだ。もう食べ放題は卒業しなければと痛感したのであった。

今日はその同僚と昼食をとり、その後彼は蘇州に帰っていった。僕は入場無料でうれしい上海博物館に行き、3階にある書蹟館と絵画館を見学した。絵画館では修士論文の研究対象であった明末画家崔子忠の実物作品を始めて目にし、今さらながら感動した。白いうさぎがかわいいですね。当時も上海博物館に来たが、絵画館は運悪く閉鎖されていて、たいへん残念であったことを思い出した。