1ヵ月間の中国西部(4)吐魯番 ❶ 2024.07.20


【4日目】この日はウルムチからトルファンへ移動。朝はホテルで朝食をしっかり食べる。地域柄、甘くておいしいスイカやウリが提供される。食後は部屋で少し休憩してからチェックアウト。市バスでウルムチ南駅へ行き、列車D8806(11:46発)に乗る。トルファンまでは約1時間。車窓からは緑化された平地や荒涼とした丘陵地帯が目に入る。

トルファン北駅に到着。青い空が気持ちいい。気温は高いが乾燥してカラッとしているので暑さはそれほど気にならない。市バスに乗り30分程で市街地にあるホテル近くのバス停に到着。高いビルも少なく地方のこじんまりした街という印象だ。

バスを降りホテルへ向かう途中、コンビニで焼酎とビールを購入。そして予約してあったホテル「東経87°酒店」にチェックインする。面白いホテル名だ。ここで4泊するが、利用する部屋は比較的広く、窓から見える景色も緑が多くて落ち着けそうだ。部屋で少し休息してから周辺を少し散策。そしてホテルの前にある食堂で羊肉焼き注文、テイクアウトして部屋に戻り、ウルムチで購入した赤ワインとナンが残っていたので肉と一緒に飲んで食べる。焼肉はプリプリ弾力がありおいしい。ワインが無くなったので地元の焼酎「白糧液」を開けて飲む。この酒、原料に「白高粱」が使われているのが珍しい。味はなかなか良い。

夜、ホテル周辺を少し歩いて回る。街は昼間よりも人出が多く賑やかだ。日中は暑いので極力外出せず、日が落ちてから外に出て楽しむということだろう。そして夕食を買うためホテル近くの食堂に入る。「葱爆羊肉蓋澆麺」(長ネギと羊肉の炒め物かけ麺)をテイクアウトし部屋に戻って食べる。飲む酒は昼間も少し飲んだ焼酎「白糧液」。麺料理はネギと羊肉が旨辛く炒められ、麺を絡めずそのまま食べても美味しい。数口食した後は、喉に付いた油分を42度のキリッとしたトルファン焼酎で洗い流す。プハ~、う~ん、至福のひと時・・・。
さてさて、この日は移動日でダラダラのんびり過ごした。翌日以降は市内と近郊に存在する有名観光地点を精力的に見学する計画だ。ただこの時期のトルファンは最高気温が連日40℃を越える。早めに寝て体力を温存することにしよう・・・。


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【5日目】トルファンの2日目。この日の主な訪問先は「蘇公塔」と「吐魯番博物館」。昼と夜に食べるご当地料理も楽しみだ。

蘇公塔  市街地近くにあり、行きはホテル近くでタクシーに乗った。10分ほどで到着。現地の説明によると、この塔は新疆に現存する最古の塔。1777年、清朝のトルファン郡王・額敏和卓(オーミン・ホージャ)によって建てられたとある。ただWikipediaには翌年の1778年に「郡王のスレイマン2世が父オーミン・ホージャ(額敏和卓)のために建てた」とある。つまり完成前に額敏和卓が死去したので、代わりに息子が完成させたのである。すでに約250年経っているが、当地の気候が関係しているのか比較的きれいに保存されている。塔の高さは37m。表面の様々な文様が独特で雰囲気があり、大変魅力的だ。

蘇公塔大殿  内部は大小多数の部屋で構成される。特に中央部のホールには巨大な木材が多く使われ大変迫力がある。明り取りの構造も独特だ。また近くの部屋には塔建立時(乾隆42年〈1777年〉)の記念碑が保存されている。漢字とウイグル文字が並記された古碑を実際に見るのはおそらく今回が初めてだと思う。とても興味深く眺めた。

【参考】拓本の画像(トルファン博物館で撮影)

墓地群  塔の周辺には大小様々な形の墓が多数存在している。普段はイスラム教の墓地を見る機会は滅多にないので今回は興味深く拝見した。かつて上海の松江モスクで元代ダルガチの墓を見たが、確かにそれに似た形の墓石がここでも見られた(参照:2019松江旧市街巡り❶松江清真寺)。

蘇公塔の見学が終了。外に出るとチケット売り場の近くに平屋の売店(下図)がある。その建物の独特な建築様式を見てまたまた好奇心が湧き、写真を何枚か撮影した。暑いこの時期でも通気性が良く快適に過ごせそうである。


蘇来曼拌麺王で昼食  蘇公塔見学後、市バスで博物館前まで移動。途中、車窓からはウリの路上販売などが見え、この土地独特の景色を楽しむ。到着後は博物館の向かいにある食堂で昼食をとる。ここでは店名にもなっている看板メニュー「拌麺」(汁なし麺)を注文。ちょうど外のテーブル席が空いていたので座る。先ずはポットに入れられたお茶が出され、しばらくして麺が来る。ウルムチでもおいしい拌麺を食べたが、この店のも味が良く具もたっぷりで大変満足だ。
さてさて、腹も満たされ、次は博物館の見学。この記事は次篇で述べる。 

うまかった~、ごちそうさまでした~😊

1ヵ月間の中国西部(2)烏魯木斉 ❷ 2024.07.20

獅虎形金箔飾(約2500年前造。吐魯番市托克遜県阿拉溝墓地出土。新疆ウイグル自治区博物館所蔵)


【2日目】ウルムチ2日目。この日の主な訪問先は、新疆ウイグル自治区博物館、紅山公園、新疆国際大バザール。朝7時過ぎ起床。外を見ると天気が良さそうなのでホッとする。朝食はホテルでしっかり食べる。特に旅行中は不足になりがちな野菜を多めにとる。その後は部屋に戻りコーヒーを飲んでくつろぐ。11時前に外出、市バスに乗って博物館へ向かう。


新疆ウイグル自治区博物館  大規模な博物館で展示物も多く、多くの来館者でにぎわっていた。特に「古代ミイラ陳列室」が大人気で、入口には行列ができていた。今回は自身が特に印象に残った文物画像を紹介する。それは、「戦国時代の金箔ベルト」、「漢晋代の埋葬服」、「楼蘭の女ミイラ」、「漢代〈裴岑紀功碑〉残碑」、「北涼墓誌」、「唐代〈論語〉妙本残紙」。なお説明文画像も掲載するので私の説明は省略する。 

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☘古代ミイラ陳列室

☘1980年に楼蘭鉄板河遺跡で発掘された女性のミイラ。約3800年前に埋葬されたとされる。

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昼食@十三花  博物館の見学後、近くの新疆料理店で昼食をとる。お一人様なので拌麺(汁なし麺)と羊肉串焼き2本だけを注文。麺の具材は肉と野菜がたっぷりで健康に良さそうだ。羊肉串焼きは哈爾濱でも時々食べるが、ウルムチの串焼きもおいしい~。新疆料理、う~ん、イイ感じだ・・・。


紅山公園  この公園は市中心部にありながら眺望がすばらしく、また各種遊具や食事も楽しめる市民憩いの良き場所である。特に「紅山塔」付近からの景色は一見の価値がある。白鳩と戯れる親子の笑顔を見ると、普通の日常、平凡な生活、そして平和の大切さが心の底から感じられる・・・。現在も世界各地で紛争は絶えない。あぁ、人々は何で戦い、そして傷つけ続けるのか・・・。


新疆国際大バザール  夕刻、清川さんに案内されてバザールを訪れる。元々は宗教的な場所であったが、現在は当局によって宗教活動が禁止され、商業施設として観光客でにぎわっている。まぁそれでも立派な塔などを見るとイスラム教文化の雰囲気を十分感じ取ることができる。

☘阿凡提(Afanti)について  バザール内に赤く派手にライトアップされた大きな建物がある。その前に某男性の立体像やイラスト看板がいくつか飾られている。よく見ると建物の屋根部分にも彼の大きな顔が見える。清川さんによると彼はウイグル族の庶民の英雄とのこと。少し気になったが、その時はそれ以上聞かなかった。後に清川さんからのメールで彼の名は「阿凡提」ということを知った。小学館『中日辞典』には次のように説明されている。
  <人名>エペンディ.ウイグルやカザフなどの少数民族の伝承の中の,
  機知にたけた人物.とんち話が人形劇や喜劇に仕立てられ,中国人の間
  で非常に人気がある.
なお人名を「アファンティ」と日本語表記する場合もある。早速ネットでTV人形劇『エペンディ物語』第1集「木陰を売る」を見てみた。登場人物の衣装や建築物、背景音楽などもウイグル族の伝統様式で、私にとってはとても新鮮であった。
さて話の概要は、近隣住民が集まって木陰で涼しんでいると、木の所有者である金に貪欲な夫婦が「木陰使用料」と称して皆から金品を奪い取った。そこにエペンディがロバに乗って颯爽と登場する。そして事情を知った彼は夫婦に大金を払って「木陰の権利」を購入する。その時は夫婦も大喜びしていたのだが、エペンディが木陰の権利を上手に利用して徐々にケチ夫婦を懲らしめるというものだ。う~ん、勧善懲悪の面白いストーリーである。参考にタイトルと場面の画像2つを転載する。

☘バザール内のお土産店  清川さんに案内されて一つのお土産屋さんに入り、商品について説明をしてもらった。写真を撮ってもいいと言うので遠慮なく店内をパチパチ撮影した。店員さんもウイグル人の清川さんが一緒にいるので不満はなさそうだった。印象に残ったのはピカピカ光るウイグル族のナイフ。清川さんの説明によると、現在は当局に禁止されているが、当時は成人になった男子はナイフを携帯したという。

大バザール見学後は清川さんとホテルへ戻る。この日はなかなか充実した一日であった。さてさて、翌日は現地団体ツアーに参加して「天池」を観光する予定だ。ホテルの部屋に戻ったら地元焼酎「伊力特曲」をグビッと飲んで早めに寝ることにしよう・・・。

清川さんと信州狂人@新疆国際大バザール