1ヵ月間の中国西部(2)烏魯木斉 ❷

獅虎形金箔飾(約2500年前造。吐魯番市托克遜県阿拉溝墓地出土。新疆ウイグル自治区博物館所蔵)


【2日目】ウルムチ2日目。この日の主な訪問先は、新疆ウイグル自治区博物館、紅山公園、新疆国際大バザール。朝7時過ぎ起床。外を見ると天気が良さそうなのでホッとする。朝食はホテルでしっかり食べる。特に旅行中は不足になりがちな野菜を多めにとる。その後は部屋に戻りコーヒーを飲んでくつろぐ。11時前に外出、市バスに乗って博物館へ向かう。


新疆ウイグル自治区博物館  大規模な博物館で展示物も多く、多くの来館者でにぎわっていた。特に「古代ミイラ陳列室」が大人気で、入口には行列ができていた。今回は自身が特に印象に残った文物画像を紹介する。それは、「戦国時代の金箔ベルト」、「漢晋代の埋葬服」、「楼蘭の女ミイラ」、「漢代〈裴岑紀功碑〉残碑」、「北涼墓誌」、「唐代〈論語〉妙本残紙」。なお説明文画像も掲載するので私の説明は省略する。 

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☘古代ミイラ陳列室

☘1980年に楼蘭鉄板河遺跡で発掘された女性のミイラ。約3800年前に埋葬されたとされる。

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昼食@十三花  博物館の見学後、近くの新疆料理店で昼食をとる。お一人様なのでラグマン(拌麺、汁なし混ぜ麺)と羊肉串焼き2本だけを注文。麺の具材は肉と野菜がたっぷりで健康に良さそうだ。羊肉串焼きは哈爾濱でも時々食べるが、ウルムチの串焼きもおいしい~。新疆料理、う~ん、イイ感じだ・・・。


紅山公園  この公園は市中心部にありながら眺望がすばらしく、また各種遊具や食事も楽しめる市民憩いの良き場所である。特に「紅山塔」付近からの景色は一見の価値がある。白鳩と戯れる親子の笑顔を見ると、普通の日常、平凡な生活、そして平和の大切さが心の底から感じられる・・・。現在も世界各地で紛争は絶えない。あぁ、人々は何で戦い、そして傷つけ続けるのか・・・。


新疆国際大バザール  夕刻、清川さんに案内されてバザールを訪れる。元々は宗教的な場所であったが、現在は当局によって宗教活動が禁止され、商業施設として観光客でにぎわっている。まぁそれでも立派な塔などを見るとイスラム教文化の雰囲気を十分感じ取ることができる。

☘阿凡提(Afanti)について  バザール内に赤く派手にライトアップされた大きな建物がある。その前に某男性の立体像やイラスト看板がいくつか飾られている。よく見ると建物の屋根部分にも彼の大きな顔が見える。清川さんによると彼はウイグル族の庶民の英雄とのこと。少し気になったが、その時はそれ以上聞かなかった。後に清川さんからのメールで彼の名は「阿凡提」ということを知った。小学館『中日辞典』には次のように説明されている。
  <人名>エペンディ.ウイグルやカザフなどの少数民族の伝承の中の,
  機知にたけた人物.とんち話が人形劇や喜劇に仕立てられ,中国人の間
  で非常に人気がある.
なお人名を「アファンティ」と日本語表記する場合もある。早速ネットでTV人形劇『エペンディ物語』第1集「木陰を売る」を見てみた。登場人物の衣装や建築物、背景音楽などもウイグル族の伝統様式で、私にとってはとても新鮮であった。
さて話の概要は、近隣住民が集まって木陰で涼しんでいると、木の所有者である金に貪欲な夫婦が「木陰使用料」と称して皆から金品を奪い取った。そこにエペンディがロバに乗って颯爽と登場する。そして事情を知った彼は夫婦に大金を払って「木陰の権利」を購入する。その時は夫婦も大喜びしていたのだが、エペンディが木陰の権利を上手に利用して徐々にケチ夫婦を懲らしめるというものだ。う~ん、勧善懲悪の面白いストーリーである。参考にタイトルと場面の画像2つを転載する。

☘バザール内のお土産店  清川さんに案内されて一つのお土産屋さんに入り、商品について説明をしてもらった。写真を撮ってもいいと言うので遠慮なく店内をパチパチ撮影した。店員さんもウイグル人の清川さんが一緒にいるので不満はなさそうだった。印象に残ったのはピカピカ光るウイグル族のナイフ。清川さんの説明によると、現在は当局に禁止されているが、当時は成人になった男子はナイフを携帯したという。

大バザール見学後は清川さんとホテルへ戻る。この日はなかなか充実した一日であった。さてさて、翌日は現地団体ツアーに参加して「天池」を観光する予定だ。ホテルの部屋に戻ったら地元焼酎「伊力特曲」をグビッと飲んで早めに寝ることにしよう・・・。

清川さんと信州狂人@新疆国際大バザール

四泊五日の長沙・韶山・汨羅・岳陽(2)


【二日目】主要イベントは「岳麓書院」の見学。起床後は部屋でのんびりお茶を飲み、10時過ぎに駅前にある食堂「老長沙」で遅めの朝食をとる。メニューには色々書かれているが、朝食ということもあり定番の「牛肉粉」(粉は米粉麺のこと)、そして「番茄炒蛋」(トマト卵炒め)を注文。麺は平麺でツルツル・モチモチしておいしい。トマト卵炒めと言うと普通はトマトの塊がゴロンとしている場合が多いが、この店ではトマトを比較的細かく切ってあるので食べやすい。
さて食後店の外に出ると、路上では現地の環境局の車両なのか移動しながら巨大な霧吹き装置から大量の霧をまき散らしていた。少し気になったので写真を撮っておいたが、この作業が街の環境に具体的にどのような効果があるのかは不明である。暇な時にでも中国人の知合いに聞いてみようと思っている・・・。


岳麓山の湖南大学  地下鉄で長沙駅から「岳麓書院」の最寄り駅「湖南大学」まで移動。現在、書院は湖南大学が管理している。駅周辺には大学の多くの建物ときれいなグラウンドが広がっている。緑が多く空気もきれいなので理想的な学習環境と言えよう。そしてちょうど卒業の時期だったのだろう、多くの卒業生が毛沢東像や校舎の前で記念写真を撮っている。
歩を進めると最初は派手な看板の飲食店が目立っていたが、岳麓山の南大門を抜けると周辺は樹木が多く茂り、まさに山道を歩いているという印象だ。やがて書院の入口に到着、入場料を払ってから中に入る。そして気が付いたのは、私が入ったのは山側にある「西門」だということ。正門は駅に近い別の場所にある。正門の存在に気付かずにグルッと奥まで回ってしまったのだ。


岳麓書院  北宋の創建。著名学者の張拭や朱熹、王陽明などとも由縁があり、歴代王朝の皇帝からも保護されていた由緒ある書院だ。画像を見れば理解できるので説明は省略する。


歴史陳列館・毛沢東の寓居  陳列館にはひと昔前のものか、毛沢東揮毫の扁額「湖南大学」が飾られている。かなり大きくて迫力がある。1935年の卒業証書も面白い。陳列館前には通路を挟んで毛沢東の旧寓居(元湖南大学設立準備事務所)がある。彼の故郷は長沙から近い韶山で、長沙にも長年暮らしていたという。机や椅子、ベッドは本人が実際に使用したものかどうかは不明だが、長年使用された独特の趣きを感じる。


文廟  書院敷地の北側にある。大成殿の建物など本場曲阜のものとは違って小規模ではあるが、何か味わいのある趣きと清々しさを感じる。やはり岳麓山のふもとで風水的にも優れた環境に位置しているのだと感じる。


文廟を出ると書院の見学も終了。文廟の外には蓮池があり「吹香亭」で数人の観光客が休憩している。その横を通り地下鉄駅に向かうと、最初に見た毛沢東の巨大像に至る。ふと像の背後に回わると題記の「湖南大学」とうい刻字の上部に、何か文章が削り取られた痕跡を発見した。1967年で文化大革命初期の刻字なので、おそらく後の時代に政治的に都合が悪くなったので削り取ったのであろう。次に清代の史跡「自卑亭」を少し眺めてから駅へ向かった。


火宮殿で早めの夕食  岳麓山から市街地の火宮殿に移動、2回目の来店だ。前回は店内で注文した酒が地酒ではなかったので、この日は事前に平和堂で地酒の焼酎「湘泉」を購入・持参した。平和堂内には回転寿司の「はま寿司」があり少し懐かしく感じたが、もちろん長沙では日本食は敬遠、やはり地元料理を食べる。
今回は「紅焼猪脚」(豚足醤油煮)、「三角豆腐」(油揚げ煮)、「龍脂猪血」(豚の血液の固形物が入ったスープ)、「刮涼粉」(冷麺)の四品を注文。いずれもこの店で初めて食べる品だが、味は写真を見て簡単に想像できる普通の味付けである。「猪血」は名称や外観からすると少し異様だが、実際に食べてみると嫌な臭いやクセもなく、プリンのように柔らかくツルッとして喉越も良い。
やれやれ、まぁはるばる飛行機に乗りやって来た長沙で、おいしい料理をつまみながら地元の旨い烈性酒をグビグビ飲んでいると、やがて酔いも回ってきて気分は至極爽快・・・。う~ん、やはり旅はいいものだ・・・。


食後の散策・散髪  ほろ酔いで火宮殿を出て、特に予定もなく街をのんびり歩く。やはり派手な看板や装飾が目に入る。時に古い建築物もあったりして、説明文を読んで楽しむ。するとあるエリアには複数の理髪店がかたまって営業していたので、その中の一店舗「潮牌」に入りカットしてもらった。自分は旅先の理髪店で散髪することが比較的多い。洗髪もしてもらいサッパリしたら一度ホテルに戻る。
途中、飲食店の前で店員が大きなタライで何かを洗っているので覗いてみる。するとそれは中国人に人気の龍蝦(ザリガニ)であった。自分も20年ほど前に食べたことがあるが、小さい肉片を食べるのに一つ一つ殻をむくのが面倒だったので以来一度も食べていない。
そしてバスに乗り長沙駅まで移動する。前の晩はキラキラ電飾された長沙駅を見たが、昼間の姿もなかなか立派である。駅からホテルまでは徒歩約5分の距離、部屋でしばし休憩する。


駅前食堂「老長沙」で夜食  ホテルの部屋で酒を飲んでいると、火宮殿での夕食が少し早かったためか空腹を感じた。そこで夜10時頃、駅前の食堂に行って夜食を食べることにした。途中、長沙駅の前を通るが、この夜もキラキラきれいにライトアップされている。食堂は今朝と同じ店で、味が良かったので再来店した。この夜は湖南の代表料理「辣椒炒肉」、そして「麻婆豆腐」を注文。この時点で既に酔っ払っていたので、青唐辛子の辛さはそれほど感じなかった。そして満腹、歩いてホテルへ戻る。
さて翌日は汨羅・岳陽の団体ツアーに参加。集合時間も若干早い。夜更かしせずに早めに寝ることにしよう😴・・・