四泊五日の銀川・阿拉善左旗(2)


【二日目】この日の一大イベントは「西夏王陵」の見学。その他は「寧夏博物館」の見学と、レストランでテイクアウトした羊肉料理をホテルの部屋で食べるということくらいだ。

朝は7時過ぎに起床。天気が良いので窓からは蓮花型の劇場がきれいに見える。そしてホテル内で朝食をしっかりとる。ビュッフェスタイルだが、ミニ牛肉麺や目玉焼きはその場で調理してくれるので熱々のうちにおいしくいただけるのが嬉しい。また料理の品数も多く、味も十分おいしい。自身は最近栄養バランスも気にしているので野菜を多めにとる。食後は市バスに乗り西夏陵へ向かう。


西夏王陵  入場券を購入後、園内バスで「1号陵」「2号陵」エリア(下の地図画像で青丸で囲った地域)へ向かう。この日は連休中なので観光客で混雑していた。バス乗り場からも賀蘭山の手前に広がる荒野に多くの遺跡が見え、ワクワク感が増幅される。バスに乗り込み、車窓からも遺跡を見て楽しむ。
百度百科「西夏王陵」によると、2014年時点で西夏帝陵が9座、培葬墓が254座確認できたが、7号陵(仁宗李仁孝)と182号培葬墓以外は埋葬者の最終判断ができず不明ということだ。つまり今回見学する1、2号陵も誰の墓なのか正確には分からない。そう言えば2号陵にあった説明文にも埋葬者の名前が記されていなかった。


1号陵  荒涼とした平原に「陵台」と呼ばれる大きな土の塊が竹の子のようにニョキッと出ていて、普段は見られない何とも不思議な光景だ。辺りには背の低い植物が多く見られたが、途中名前は分からないが高さ3メートルほどの細い木があったので少し観察してみた。見ると蝋細工のような光沢のあるウグイス色の小さな葉と、鋭く細長いトゲが多数確認できる。厳しい生育環境なので極力動物から食べられるのを防いでいるということか。  

2号陵  1号陵のすぐ隣にあるので歩いて移動する。外観や規模は1号陵とあまり変わらないようだ。西夏王朝が滅亡後、全ての陵墓が征服者によって徹底的に破壊され廃墟になったとのこと。元々は華美・荘厳であったろう王陵群の姿を今は見ることができず残念だ。しかしこのような廃墟でも背景の賀蘭山と一体となり独特な雰囲気を生み出し、その風景を充分楽しむことができる。見学後、市街へ戻るバスの窓からも賀蘭山のギザギザした稜線が見えた。ずっと見ていても飽きのこない大変魅力的な山である・・・。


寧夏博物館  宿泊しているホテルの前には蓮花型の人民劇場があるが、その隣には「西夏博物館」がある。展示物の数は膨大で、また午前の西夏王陵見学で多少疲れていたので、今回は寧夏文化の展示紹介エリアと西夏時代エリアだけを見学した。特に西夏文字が使われている石刻や木簡、西夏陵で出土された大きな牛や馬の像、仏頭などが強く印象に残った。牛の目がクリクリしていて可愛らしい。仏頭には「泪痕(涙の痕)」のような釉薬の溶けて流れた跡が見られる。仏教を厚く保護していた西夏が元に滅ぼされ徹底的に破壊されたのを大変悲しんで涙しているのだろう😭・・・と想像するのもロマンがある。


博物館見学後はホテルに戻ってしばらく休憩。その後、夕食に食べる羊肉料理を買うためホテルから徒歩約10分の「国強手抓」という店に行く。人気店でまた連休中ということもあり店内はかなりの混雑で外で待つ客もいた。さて前日に鼓楼近くの「老毛手抓」で食べた「手抓肋条」は羊スペアリブ(肉付きあばら骨)を茹でて調理したものだ。そこで今回は焼いて調理した「烤羊排」(羊スペアリブの炙り)、そして「清炒広東菜心」(広東サイシン〈菜の花〉炒め)を注文、テイクアウトした。
ホテルの部屋に戻ると早速料理が入った容器の蓋を開ける。するとそこには外観からも間違いなく絶対おいしいと確信できる羊スペアリブ炙りがぎっしり入っていた。少し興奮したので白酒を飲んで心を落ち着かせ、そして一つ一つゆっくり味わいながら食べた。皮はパリッと、身は軟らかく美味だ。食べ続けると口中が脂っぽくなるので、適時白酒を飲んで脂を洗い流し、口直しにサイシン炒めを食べる。そしてまたもう一本スペアリブ炙りを口に頬張る。銀川に来て本当に良かった~と感じるひと時であった・・・。

さてさて翌日は内蒙古の阿拉善左旗へ移動する。この地域は哈爾濱に比べて陽射しがギラギラして暑いので体調管理が大切、夜更かしは禁物だ。早めに就寝することにしよう・・・😴

五泊六日の香港・澳門・珠海(4)


【四日目】澳門の二日目、この日は朝から精力的に世界歴史遺産巡りに出かける。数は多いが比較的狭いエリア内に集中しているので、大半は徒歩での移動となった。最後の目的地「ギア砲台跡」の見学後、夜まで時間があったので広東省・珠海に行ってみた。珠海滞在は3時間、駅前の釜飯屋さんで食事し周辺を散策してから澳門へ戻った。短時間内に入境し出境するという珍しい体験をしたが、現地の越境労働している多くの人達にとっては出入境も地下鉄のようにスルッと通過するだけの認識なのだろう。
ところで最近は仕事が忙しくなり、また清明節・労働節・端午節・夏季休暇と次々に旅行の計画・準備をしているので記事編集がなかなか進まない。そのうえ今後掲載予定の記事もかなり蓄積してきてた。そこで今回、各観光スポットの概要は現地案内板の画像に任せ、自身の簡単な感想だけを記すことにした。

朝食の焼きそば  宿を出て先ずは徒歩で半島南の「媽閣廟」に向かう。途中、コンビニ「セブンイレブン」で澳門の交通カード「Macau Pass」を購入、いくらかチャージした。その近くに食堂があったので朝食をとった。壁面のメニューを見ると種類が多い。ここはまぁ無難に「肉絲炒麺」(豚肉焼きそば)+「追加野菜」を注文。味は良い。野菜もおいしく追加して正解だった。量は年を取り胃袋も小さくなっているので充分。支払い時、このような小さい食堂でもマカオ・パスが使えるのがうれしい。その後近くの港をチラッと見学、対岸は珠海だ。


【世界遺産】媽閣廟  大きな岩がゴロゴロいくつも存在し、何かパワーを感じる神秘的な場所だ。熱心な参拝者も多く訪れ焼香していた。ここからも対岸・珠海の山並みや高層ビル群がよく見える。自身にとってはこの日の観光スタート地点、この先多くの訪問地が予定されているのでササッと見て終わった。


【世界遺産】鄭家屋敷  媽閣廟の後は半島を北に向かって進む。先ずは近くの「港務局大楼(世界遺産)」に寄り、建物外観をサラッと見学、そして鄭家屋敷に移動する。ここは部屋数も多い大きな建物で、現地の伝統的な建築様式を興味深く拝見した。


【世界遺産】リラウ広場  鄭家屋敷の道を挟んで向かいにある公園。ボダイジュモドキ(假菩提樹)の大木が枝を広げている。訪れた時は人は少なかったが、夏の蒸し暑い季節には大木の存在意義が大いに発揮され、人々の憩いの場所となるのであろう。


【世界遺産】聖ローレンス教会  鄭家屋敷から徒歩5分ほど。自身はキリスト教徒ではないので、普段は教会の中に入ることは滅多にない。今回は建物外観や内部をじっくり眺めて何か新鮮な感じがした。そう言えば今住んでいる哈爾濵には観光客に大人気の聖ソフィア大聖堂があるが、いつも通りすがりに外から眺めるだけで、まだ一回も中に入っていないことを思い出した・・・。


【世界遺産】聖アントニオ教会  ここに来る前に、それぞれ世界遺産の「ドン・ペドロ5世劇場」、「聖オーガスティン教会」、「聖オーガスティン広場」、「民政総署」等を見学したのだが、それらの記事は省略する。民政総署を出て付近からバスに乗り聖アントニオ教会に移動。今まで見てきた教会と同様、敷地内はゴミ一つなく清潔に管理されていて心が落ち着き安らかになる。


【世界遺産】ギア要塞  聖アントニオ教会付近からバスに乗りギア要塞近くで降りる。この砲台は澳門半島で最も高い位置にある。そのためバス停から要塞まで長い登り坂が続き息が切れる。やはり冬に訪れたのは正解だった。もしこれが蒸し暑い季節だったら寿命が短くなるところであった。そう言えば去年は連日猛暑の金沢市をフーフー言いながら歩いたことを思い出した。年齢を考えると無理は禁物だ・・・。さて要塞とあるが、敷地内には教会や中国沿岸では歴史上初という灯台もある。この日は曇で眼下の街はくすんでみえたが、天気の良い日は最高の景色が楽しめることだろう。


3時間の珠海  ギア要塞を見終えたのが2時過ぎ、その後は予定もなかったので珠海に行くことにした。バス停で出入境施設まで移動、人の流れについて行く。外国人用の出境手続きの列にしばらく並び、ようやく係員にパスポートを提示、訪問理由などを述べてから珠海側へ出る。越境労働をしている多くの人達は地下鉄駅のように次々と自動機に身分証をスキャンさせて簡単にゲートを通り抜けている。その時見ただけでもかなり多数の人が移動していた。
珠海では駅周辺を少し散策し、お腹も空いたので適当に見つけた釜飯屋さんに入る。

釜飯屋さんでは「黄鱔腊肉双拼煲仔飯」(タウナギと燻製肉の釜飯)を注文、ビールはなかったので近くのコンビニで買ってきた。香港で初めて食べた時、他の具材の釜飯も食べてみたいと思っていたので丁度よかった。また値段も香港よりずっと安い。時間の関係か店内は空いていたので、「海珠ビール」(注:「珠海」ではなく「海珠」)を飲みながら落ち着いてゆっくり食事できた。

食事後は辺りを少し散策し、暗くなる前に澳門へ戻ることにした。途中駅前広場を通ると、鄧小平が珠海を訪れた時に揮毫した「珠海経済特区好」(1984年1月29日)が金色に大きく拡大されて示されているのが見えた。何と自分が珠海を訪れたこの日も1月29日、ちょっとした偶然に少し驚く。小平さんの訪問から40年が過ぎたということだ。もし小平さんが現在の中国の状況を見たらどう思うのであろうか・・・。

珠海から澳門に戻り、宿に着く頃には完全に暗くなっていた。「セナド広場(世界遺産)」を通り抜け北奥にある「聖ドミニコ教会(世界遺産)」まで来ると、その黄色い外壁がライトアップで暗闇にピカッと浮かび上がって見えて、なかなかきれいだ。
さてさて、この日は半島の南から北へ慌ただしく移動して少々疲れた。翌日は香港へ戻る。部屋では残りのポルトガル・ワインを飲みながらゆっくりしよう。