1ヵ月間の中国西部(19)卡若拉冰川・日喀則


【16日目】の続き。「カローラ氷河(卡若拉冰川)」「マンラ貯水池(満拉水庫)」、そしてシガツェ(日喀則)市街地到着後の様子を紹介する。

ヤムドク湖畔の農家での昼食後はカローラ氷河へ向かう。西方へ車で約1時間。途中、浪卡子県の街を通り抜ける。このような地域にある街にしては規模が比較的大きい。それ以降はずっと山岳風景が続く。そして出発から約40分後、前方に白い雪山が現れた。最初は雲だと思ったが雪だ。期待感が高まる。車はさらに進み続け、ようやく氷河の展望エリアに到着。


カローラ氷河(卡若拉冰川)  車を降りると前面にはそびえる岩山に大量の雪がかぶさっている。まさに絶景。ただ雪のある場所までは近いようで実は遠い。乗鞍岳の雪渓でのように雪遊びはできなかったが、迫力のある景色を存分に楽しんだ。概要は百度百科から引用する。そこにある通り、氷河の主峰は「乃欽康桑峰(ノジンカンサン)」で海抜7191m。


マンラ貯水池(満拉水庫) 氷河を離れ、車は引き続きシガツェ方面へ西進する。約40分後、貯水池の展望台に到着。人口湖とは言え、褐色の山と対照的なエメラルドグリーンの湖水が輝きを放ち神秘的だ。エメラルドグリーンと言えば、今回の旅ではウルムチの天池や青海湖も同様の色であった。何か共通点があるのだろうか?


再度車に乗り込みシガツェに向かって出発。市内のホテルまでは約2.5時間かかった。途中ギャンツェ県の街を通り抜ける。その時に進行方向右手に立派な建造物が三つ見えた。後日ネットの地図と画像で調べると、それぞれ「江孜宗山抗英遺跡(江孜宗堡)」「白居寺」「紫金寺」であることが分かった。今回は私が車内から偶然見ただけで、ガイドさんからの説明はなかった。つまりこの地域には有名無名の歴史遺産が多数存在しているのであろう。う~ん、たいへん興味深い・・・。

右:江孜宗山抗英遺跡、左:白居寺
左山頂の建物:紫禁寺


シガツェ(日喀則)到着  年楚河を渡るとシガツェの市街地が広がる。高層ビルは見えないが、ラサに次ぐチベット第2の都市と言われるだけあり建物も多く、車やバイク、街を行き交う人たちの数も多い。やがて今回一泊するホテル「日喀則喜嘎央恰大酒店」に到着、しばらく部屋で休息する。


街の散策  夜8時過ぎ、夕食の買い物を兼ねて街を散策する。ルートはロの字型で、ホテル前の道「雪強路」を北進し、「嘎曲门塘路 」を東進し、「仁布南路」を南進、「青島路」を西進してホテルに戻る。
雪強路を歩いていると進行方向左手に巨大な建物が現れた。これは「桑珠孜宗堡」(通称「小ポタラ宮」)。元代、地方統治者の一人・桑珠孜宗の宮殿として1360年創建。なお、シガツェに来る途中、ギャンツェ県で見えた「江孜宗山抗英遺跡(江孜宗堡)」も同時期の別の統治者の宮殿であった。さらに先に進むと寺ではないようだが立派なマニ車が多く並んでいる。この地域独特の雰囲気が色濃く感じられる。

地元食堂のメニューもチェックする。うん、どれもなかなかおいしそうだ。

途中、スーパーで青稞ビールを買う。この地では北京の二鍋頭が人気あるのか比較的多く売られていた。次に串焼き屋で羊肉串焼き買う。焼き上がるまで座って待っていたが、隣では女性スタッフが熱心に肉の串刺し作業をしていた。赤身と脂身をバランスよく刺していく。少し話をしたところ彼女はチベット族とのこと。わずかでも現地の人と交流できると楽しい。さて部屋に戻ったのは夜10時頃だったので約2時間の外出、外はすでに真っ暗・・・。


部屋で夕食  この日は色々な観光ポイントを見学し、またシガツェの街も散策できたので大変充実した。青いヤムドク湖もよかったが、白く輝くカローラ氷河の残雪が目に焼き付いている。
さてさて、あとは酒を飲んで寝るだけ。ビールではガツンと酔えないので、ラサから持ってきた青稞焼酎をグビッと飲む。プハ~、旅の余韻に浸りながら飲む酒は最高だ。
更けゆくシガツェの夜。翌日はどんな出会いが待っているのだろうか・・・。

1ヵ月間の中国西部(18)雅魯藏布江・羊卓雍措


【16日目】この日はラサを離れギャンツェ(江孜)経由でシガツェ(日喀則)へ向かう。途中の主な見学地は、「ヤルンツァンポ川(雅魯蔵布江)」「 雅江河谷展望台」「ヤムドク湖(羊卓雍措)」「カローラ氷河(卡若拉冰川)」「マンラ貯水池(満拉水庫)」。それぞれの場所で数多くの写真を撮ったので、2回に分けて投稿する。

朝8時頃、ラサのホテルを出発。マイクロバスはラサ川の橋を渡り、しばらく川に沿って進む。前日見学したポタラ宮が川の向こうに見える。


ヤルンツァンポ川(雅魯蔵布江) 9時頃、トイレ休憩を兼ねて、曲水県バスターミナル(曲水县客运站)近くで停車、ヤルンツァンポ川を眺める。川の概要は百度百科から引用する。それによると、ヒマラヤ山脈の氷河から始まりチベット内を流れ、墨脱県で国境を出て流れる。中国内での長さは2,057km。その後、インドとバングラデシュを通りベンガル湾に注ぐ。ラサ川も支流の一つ。

その後もヤルンツァンポ川に沿って進む。途中、道路脇の岩の表面に白い塗料で多くのはしごが描かれているのを発見。これは宗教的な意味があるという。


ヤルンツァンポ川展望台  9時半頃、川の展望台に寄り少し休憩する。観光客の記念撮影用に白いヤク、チベット犬(チベタン・マスティフ、藏獒)、ヒツジが動員されている。どれもおとなしそうでかわいい。ところでチベットの動物は全般的に毛が長いという特徴があるのだろうか?


雅江河谷展望台  10時頃、雅江河谷という渓谷の展望台に到着。しばらく風景を楽しむ。画像にある通り海抜4,280mという。非常に高い場所であることは頭で理解できるが、正直あまり実感がわかない。この場所ではもヤク、チベット犬、ヒツジが動員されていた。


ヤムドク湖(羊卓雍措) 峠を移動中の車内から下方に青い湖面が見えてきた。絶景である。車は山を下りながら湖に近づいて行く。そして11時頃、ヤムドク湖の三号展望台に到着。ここでしばらく湖の風景を楽しむ。水際まで行ける歩道もある。湖水は遠くからは青く見えるが、近づくと無色透明。しばらく辺りを歩きながら風景を楽しむ。この湖の面積は約640㎢。琵琶湖が約670㎢なので近い数字だ。ただ海抜はまったく違う。


地元農家で昼食  三号展望台を離れ、車で湖畔沿いの道を西に約20分移動する。途中、一面黄色い菜の花畑が美しい。昼食のため白地村の農家を訪れる。敷地内を少し見学すると、燃料用のヤク糞が至る所に積み上げられている。大量の数だ。同じ大きさに丸めて丁寧に並べてあり感心する。ヤク糞の壁、これは今回の移動中に車内から何度も見た光景だ。それだけチベット人にとって貴重な資源なのであろう。その他、地面のブルーシートの上で、何か緑の草を乾燥させているのを見た。残念ながら植物の種類は不明のままだ。敷地の北側には「扎西帰桑曲林寺」という名の寺院があるが、その屋根部分だけが見えている。


部屋に案内される。窓から青い湖が見える。ソファーに座ってお茶とお菓子をいただく。白い方は「牦牛奶渣」、ヤク牛乳の絞り粕から作られる。少し口に入れると、硬く薄味だった。室内を見渡すと装飾が色鮮やかで、柱や梁にも模様が描かれている。食器や調理器具がきちんと並べらている。中には今まで見たことのない「酥油桶」という細長い筒状の道具もある。これは「酥油(バター)」を作るために使う。

やがて料理が運ばれ、自分で皿に適量を盛り付ける。スープはヤク肉とジャガイモのカレースープ。飲み物は度数の低い醸造「青稞酒」をいただいた。他のメンバーの皿を見ると、自分は大盛りであることに気が付く。ただ空腹だったのでペロッときれいに完食した。味は哈爾濱の東北料理に比べて全体的に薄い塩味。日本人なので受け入れられるおいしさ。健康にもよさそうだ。ごちそうさまでした~😊


食後、出発するまで湖畔でのんびりする。それにしても美しい湖だ。子牛がいたので近寄って撮影した。小さくてかわいい。精神的にとてもいやされるひと時である・・・。さて、次の目的地はカローラ氷河(卡若拉冰川)。高校生の時、乗鞍岳の雪渓を見て感動したという思い出があるが、今回の氷河はいかなるものであろう。その内容は次篇にゆずる。