四泊五日の牡丹江・東京城(4)2023.04.29


【三日目】渤海国上京龍泉府遺跡  この日はホテルのご主人に僅かだが謝礼を渡して車を出してもらい、遺跡と少し遠方の鏡泊湖に行くことになった。自宅のある高島市でもそうだが、バスが極端に少ない地方の小さい町では自家用車があると非常に便利である。遺跡は広く自分の場合は一通り見て回るのに約1.5時間かかった。現地は礎石や石垣などの遺構があるだけで建物は残っていないが、縮小復元模型などを参考に当時の様子を想像しながら散策するのは面白い。以下では多くの画像を掲載したが見れば何か理解できるので説明は最小限にとどめる。

ところでこの記事は日本の自宅で書いている。夏休みで一か月の一時帰国中なのだ。連日猛暑が続く中、故郷の長野に帰省したり、たつの市や金沢市、福井市などを旅行したりと色々楽しんでいる。そのほか自宅庭の枝打ちや草刈り、自動車免許の事前更新手続きなど細々した雑務もこなす。そうしているうちに滞在期間も残りわずか、そろそろ哈爾浜へ戻る荷造りも始めないといけない・・・。

八宝茶瑠璃井  渤海国時代の古井戸。説明では当時の国王とその家族が飲料用として利用したという。

宮城北門跡から北方を望む。農道の両側に農地が広がる。その上下の画像は北門両側の石垣の様子を撮影したもの。


鏡泊湖・吊水楼瀑布  遺跡見学後は鏡泊湖へ移動、車で30分ほどかかる。鏡泊湖の風景区は広大で、時間に余裕があれば現地に数日間滞在するのが理想であろう。ただ今回は余裕がないので瀑布に的を絞った。迫力のある素晴らしい瀑布はずっと眺めていても飽きることがない。瀑布が見える場所に「中国第一瀑布」と記された民国期の石碑があるが、実際にその姿を見ればその表現も誇張ではないことが分かるだろう。


狄煥然さんよるダイブ実演  この瀑布で毎日二回行われる飛び込みパフォーマンスは多くの観光客が楽しみにしていることの一つである。狄煥然(てきかんぜん)さんは現地ではとても有名で、ネットによると最高所からのダイブでギネスブックに認定されたという。下の画像は狄さんが飛び込み前に両手を挙げて観客にあいさつしている姿である。次の瞬間、上に跳躍したかと思うと、頭を下にしてスーッと滝壺へ向かって落下、ジャボン!と入水、同時に観客の大きな歓声と拍手が辺り一面に響きわたった。


その後、橋を渡り別の地点から瀑布を眺める。最初に訪れた場所よりも滝口に近く迫力があり、注意しないと滝壺へ落ちそうで恐怖である。


瀑布上流で流水飲み  激しい瀑布の上流には、とても静かで穏やかな自然あふれる風景が広がっていた。景色を眺めながら休息するには大変適している。早速座る場所を決め、おもむろに瓶ビール「藍帯/ブルーリボン」と栓抜きを取り出し「流水飲み」を始める。前回は依蘭の松花江であった。いやしのひと時、海外での孤独で過酷な生活によるストレスをしばし忘れ、心と体をリフレッシュする・・・。


この日は天候に恵まれ快適であった。ホテルへ戻る車窓からは青空のもと広大な農地、遠くには丘陵地帯が見える。やがて日が暮れ、夜は串焼きをテイクアウトし部屋でドラマを見ながら焼酎「牡丹江」を飲む。翌日は牡丹江へ移動、何をしようか。特に予定もないのでゆっくりのんびりしよう・・・。

四泊五日の牡丹江・東京城(3)2023.04.29


【二日目】興隆寺  博物館から次に向かう「興隆寺」まで徒歩約15分、博物館前の道を東方向へ真っすぐ進むと右手にある。下の画像では中央奥に樹木が集中した部分が寺の敷地である。ただこの時は強い雨で傘も壊れ大変だった。ネットによると、渤海国時代にこの地にあった寺は戦火で焼失、現在の寺は清朝の康熙年間に「興隆寺」として建立されたものだという。境内には渤海国時代の遺物がいくつか残っている。代表的なものは石灯籠と石仏。石灯籠は現地で「石灯幢」(shídēngchuáng)と表記する。この灯籠は有名で、渤海国を説明する文書の多くで灯籠に関する記述や画像が取り上げられる。その他の見所として千年古楡樹、古井戸、清代の北門、渤海亀趺(覇下)がある。


寺を出た後は「渤海国上京龍泉府遺跡」に行く予定だったが、思っていたより遠方で、参観時間も残り少なかったため諦め、ホテルへ帰ることにした。最初は歩いて向かっていたが雨が全然止まないので三輪タクシーに乗った。バス路線が無かったり少ない小規模な町では便利な交通手段である。


昌盛小酒館で夕食  ホテルに戻り、休息してから夕食に出かける。火鍋が食べたくなり、ホテル主人に近場の適当な火鍋屋さん「汁道火鍋」を紹介してもらった。店に到着後、隣にある「昌盛小酒館」のほうが気になり、結局そこで食事した。まずはコップ一杯の焼酎を注文。疲れていたからか、元々味が良かったのか、いつもよりおいしく感じた。料理は東北でお馴染みの「鍋包肉」と「地三鮮」を注文。今まで何回も食べた安心のおいしさである。


満腹になり店を出る。外は暗く店々の電飾がキラキラ光っている。少し遠回りしてホテルに向かうが、よく知らない町の夜道は少し心細さを感じる。部屋に戻り焼酎「牡丹江」を飲みながら翌日の計画を立てる。もちろんこの日行けなかった「渤海国上京龍泉府遺跡」は最優先地点だ。他はどこへ行くかなどを考えつつ夜は更けていく・・・。

当選した1元硬貨。フタの中から出てきた時は少し驚く・・・