三泊四日の瀋陽(4)2023.04.01


【三日目】北陵公園  瀋陽市内には二つの清代皇帝陵:「福陵」(ヌルハチ陵)と「昭陵」(ホンタイジ陵)がある。今回はホテルから近い昭陵を見学した。地下鉄を利用すれば公園南口まで約40分ほどだ。瀋陽城の北に位置することから「北陵」とも呼ばれている。瀋陽駅から地下鉄に乗り「北陵公園」下車。敷地が330万㎡もあるという公園内には陵墓エリアの他、樹木が生い茂る緑地帯やボートで遊べる大きな湖もある。

昭陵の主・ホンタイジの像


昭陵  公園南口から入りしばらく歩くと「神橋」が現われる。ここから先が陵墓エリアである。大きな「石牌坊」をくぐってから入陵料金を払い、「正紅門」を通って奥に進む。目にする建築物は皆それなりに古びていて歴史を感じる。


石像群  陵道の両側には対で麒麟や白馬、ラクダ、象などの大きな石像が置かれている。象の鼻にはきちんと二つの穴が彫られていたりして、色々な角度から石像を見て歩くのも楽しい。


隆恩門・隆恩殿・明楼  この門から先は城壁に囲まれており、一番奥にある大きな土盛り「宝頂」まで城壁の上を歩いて移動することもできる。稜内でも最も神聖な場所であるためか、建築物や付属物の装飾もかなり精巧に作られている。


月牙城  明楼と宝城の間にある空間で、北側の壁が湾曲している。明楼の下の通路を抜けると正面に見えるカラフルな瑠璃の照壁はここで見ることができる。


宝城・宝頂・地宮  月牙城の北に接する部分はホンタイジとその皇后が葬られている「宝城」と呼ばれるエリアで、外からは大きな土盛り「宝頂」が見える。宝頂の周囲は歩くことができる。時計回りにゆっくりと歩いていると「諸行無常」、「盛者必衰」という言葉が頭に浮かんだ。あらゆる物は常に変化し、栄華を極めた者もいつか必ず滅びる。確かにその通りで、ホンタイジの大清国も滅びて今は存在していない。自身は「短い人生はできる限り楽しもう」という気持ちで中国に来て暮らしているわけだが、それは正しい選択であったと大きな土盛りの前で再確認できた。何事も死んで埋められてからでは遅いのである・・・。  

北陵公園に入ってから約2.5時間が過ぎた。前日の故宮と帥府の見学に続き、本日もよく歩いた。帰りは公園の西門から出て地下鉄に乗り、早めの夕食をとりに「西関美食街」へ向かう。その付近には老舗の焼売屋さんがあるのだ。この記事は次回掲載する予定である。

三泊四日の瀋陽(3)2023.04.01


【二日目】張氏帥府博物館  故宮から南へ徒歩約15分のところに張作霖・張学良の官邸と私邸がある。非公開エリアを含めると敷地はかなり広い。特に印象的だったのは華麗な外観の邸宅「大青楼」。華やかな装飾に加え、外壁が淡い色調のため周囲から際立って見える。

大青楼
張学良の執務室


老虎庁  一階東側奥にある客間で、ここでは1929年1月10日に張学良の命令で楊宇霆と常蔭槐の二名が射殺される「楊常事件」が起きた。原因は政策の不一致で、二人は東北易幟(28年12月の蒋介石の国民政府との提携)を妨害し、更に今回は二人に都合の良い「東北鉄路公署の設立」の署名を張学良に迫り、彼の我慢も限界に達したのだ。二人が一度食事に帰宅し再度戻って来たところを取り押さえ、罪状と処刑する旨を述べて即座に銃殺。想像すると恐ろしい話だが、現在室内はきれいに整えられていて事件が起きた場所とは全く感じられない。

老虎庁


小青楼  張作霖夫人の邸宅。ネットで調べると、1928年6月4日5時30分の列車爆発で重傷を負った張作霖が運び込まれたのが一階西側の部屋で、同日9時30分に彼は死亡したという。

小青楼


瀋陽金融博物館  元々銀行であった大きな建物内では金融に関する様々な展示コーナーが見学できる。今回は特に印象に残った「中国歴代の金貨」と「偽造紙幣」を取り上げる。

中国歴代の金貨  金貨はたとえ戦国時代のように大昔の物であっても新品のようにピカピカ輝いている。まるでタイムスリップして現在に届けられたかのようだ。それこそがゴールドの価値なのであり、大昔から人々を魅了し続けている大きな理由であろう。歴代金貨はとても珍しいのでガラスケースにへばりついてまじまじと眺めていた。


偽造紙幣の展示  このコーナーでは人民元の偽札が多数展示されている。一部は本物も横に置かれているので違いを見比べるのも面白い。中には子どもがイタズラで描いたような拙い手書きの偽札も展示されているが、どこから見ても明らかにニセモノで笑ってしまった。ところで現在私は店での支払いはスマホによるQR決済だが、時々紙幣を渡すと従来通り専用の識別機に通されたり、透かしや触感をチェックされたりする。やはり中国は偽札大国なのか。もっともQR決済がかなり普及し、またデジタル人民元も試験運用されたという話もあり、偽札の流通量も減少傾向にあることが想像できる。

確かに良く似せて作られ、一目では見分けられない物が多い。過度の金銭欲から生じたニセ金造りへの異常な執念を感じる・・・