1ヵ月間の中国西部(12)西寧 ❸


【10日目】西寧の3日目。この日の主な活動は「タール寺(塔爾寺)」の見学。寺は市中心部(城中区)の南西・湟中区にあり、西寧駅からはバスで約1時間。気分的にのんびりと余裕のある旅がしたいので、他に予定は入れなかった。先ずはホテル近くのバス停から駅へ行き、タール寺行きの直通バスに乗り換える。バスの窓から外を眺めていると、中国の特に地方の町や農村部で大活躍している電動三輪車(蹦蹦車、バンバン車)が颯爽と走る姿が何度も見え、何気なく撮影した。今暮らしている哈爾濱でも宅配業者の多くが三輪車を使っている。そう言えば日本で三輪車は何故かあまり利用されていないなと感じた。タール寺までの車窓風景はほとんど山や農地、時に小規模集落や近年開発されのか高層マンション群も確認できる。


タール寺最寄りのバス停到着  ここから寺の入口までは徒歩約15分。途中の路沿いは多くが土産屋さんや仏具屋さん、チベット族衣装の写真屋さん。近年、中国各地の観光地では若い女性を中心に民族衣装を着て記念撮影をすることが流行っている。哈爾濱の聖ソフィア大聖堂でも白い羽の付いたドレスを着て撮影している姿をよく見かける。ここチベット族の衣装は色彩が鮮やか、デザインもエキゾチックで魅力的だ。


タール寺(塔爾寺) 現地の説明文によると、創建は1379年。ここはチベット仏教ゲルク派(黄帽派)の開祖・ツォンカパ(宗喀吧、1357~1419)誕生の地。タール寺はゲルク派の六大寺院の一つだという。自身はチベット仏教については無知なので、どれほど重要な場所なのかというのは分からないが、失礼の無いように敬意を持って境内を見学する。多くの建築物があるが、中山門を入ってすぐに見える「如来八塔」と、比較的古い建築物の画像を紹介する。

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タール寺の見学終了。西寧市街地に戻るバスに乗る前、途中で見つけた饃饃鋪(パン屋さん)のパンが大変おいしそうだったので、大きめのを一つ購入した。焼きたてなのかフカフカして温かく、包装袋に湯気が付いた。夜食にしよう・・・。


西寧市街地に戻る。この後は特に予定もないので、のんびりと街中を散策する。お腹も空いたので、適当に良さそうな麺館に入る。メニューには「炮仗麺」と「老炒炮仗」があるが、店員さんにその違いを聞いた。値段の高い老炒炮仗の方は肉の量が多いとのこと。自身は老炒炮仗を注文。うん、なかなかおいしい・・・。


食後はホテルに帰る。途中、スーパーで焼酎「老村長」を購入。部屋で焼酎のフタを開けると、ボトルの口に何か紙の塊が詰めてある。確認すると、これは賞金の5元札であった。酒の価格は19元、5元のキャッシュバックなので実質14元。少し得した気分でささやかな幸福感を感じる。これもこの日、タール寺を参拝したことによる御利益・恩恵・運気向上か! 人生、何事も前向きに、楽観的に考えた方がいいですね😊・・・

この日はタール寺だけを観光したが、う~ん、特別な場所を訪れることができて誠に喜び・うれしさを感じる。その他は特に何もしなかったので、のんびり過ごすことができた。さて翌日は青海省の名所「青海湖」を訪れる。どのような湖なのか、色々想像しながら夜は更けていく・・・。

1ヵ月間の中国西部(11)西寧 ❷


【9日目】西寧の2日目。この日の主要訪問先は「青海藏文化博物院」と「青海省博物館」。「2023年西宁市人口数据信息」によると市内の民族構成は、漢族:71%、回族:17%、チベット族:6%、土族:3%と続く。つまり西寧は少数民族の多様な文化が色濃く影響し交じり合って存在する街なのだ。参考に、北京の民族構成は「第七次全国人口普査(2020年)」によると、漢族:95%、満族:2%、回族:1%と続く。さて二つの博物館では、今まで自分に縁がなかったチベット文化に多少なりとも触れることができた。

莫家街で昼食  ホテルの斜め前には、ご当地グルメの店が集中するオールドストリート・莫家街がある。博物館へ向かう前、その中の「馬忠」という店で、地元名物「羊腸麺」を食べた。羊肉ソーセージは独特な濃い味で食べ応えがあり、お腹がいっぱいになった。


食後は少し街を散策。店頭に置かれたヤクのビーフジャーキーが目を引く。パンも美味しそうだ。果物屋さんを覗くと、意外に品揃えが豊富だと感じた。重ねられた大きなヒマワリが面白い。


青海蔵文化博物院  今回は蔵文化博物院のみ見学したが、市北部のこのエリアには、他にも「崑崙玉文化博物館」「青蔵高原自然博物館」「氂牛(ヤク)博物館」がある。ヤク博物館と聞くと何とも面白そうで見学したくなる。いつかまた西寧に来る機会があれば、その時にしよう。
ここの目玉は色彩画大観ホールに展示されている長さ618mのタンカ(宗教画)。不勉強のため、それぞれが何を意味しているのかは不明。ただチベット仏教の独特な雰囲気が強く感じられる。

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別のフロアでは建築や民族衣装、チベット文字書法などに関する多数の文物が展示されている。以下では特に印象に残った「青銅製ヤク」「宝石象嵌真鍮観音像」の二点の画像を紹介する。


青海省博物館  この博物館でも多数の文物が展示されているが、特に印象に残ったチベット仏教の舞踊・チャムで使われる仮面、人骨を使った椀と楽器、そして三老趙寛碑を紹介する。現代の日本人としては人骨を道具の材料にするという発想はなく奇異に感じる。鳥葬なども存在するチベットの文化や思想は、それだけ日本のそれとは大きく異なるのであろう。

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三老趙寛碑  後漢・光和三年(西暦180年)の造。碑面全体の拓本は残っているが、碑自体は現在一部分しか残っていない。


大新街老夜市  夜、ホテル近くの夜市を見て歩いた。多くの人が往来し、通り沿いのテーブル席では楽しそうに食事している。屋台も数多く、それぞれ色々な食べ物を販売していて、見ているだけでも面白い。自分は前日も行った串焼き屋さん・朶楊烤羊肉で羊肉串焼き10本をペロッと食べ、部屋食する炒麺片(一口サイズの平麺を炒めもの)をテイクアウトした。

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さてさて、この日はチベット文化の文物に数多く触れることができて大満足。翌日は「タール寺(塔爾寺)」を見学する予定。部屋では青稞焼酎を飲み、焼き麺を食べながら、ネットで寺の情報や行き方などをチェック。旅はまだまだ続く・・・。