上海出張も今回で5度目となった。そして去年までは職場は虹口であったが、今回は新開発地区の「松江大学城」である。最寄りの地下鉄駅は9号線「松江大学城駅」。夜の駅前では広場ダンスが盛大に開催されていた。それを眺める薄桃色の服を着た少女の姿が印象的だ。身内のお婆さんが踊っているのか、或は踊っている人が羨ましいのか、一切身動きもせずに真剣に見ている。広場ダンス文化も世代を越えて、50年後には彼女も広場デビューしているかもしれない。
さて、Wikipediaによると、松江大学城は2000年に建設が開始され、2005年に完成。敷地面積は約8000ムー(約5.3k㎡)で、日本の埼玉県蕨市(5.1 k㎡)とほぼ等しい。そこには今回私の出張先である上海外国語大学(上外)を含め、上海対外経貿大学、上海立信会計金融学院、東華大学、上海工程技術大学、華東政法大学、上海視覚芸術学院の計7大学のキャンパスがある。上外の位置は拡大地図の真ん中に示した。
★キャンパス風景 虹口と比べ、歩いている人は疎らだ。緑地部分がかなり多く、綺麗に整備された水路もあり、長期滞在には落ち着いた良い環境であると感じた。ストレスの多い現代社会では、やはり水の流れや樹木が多いと心も休まる。虹口の場合、同様の環境を求めようとすると、それほど遠くはないが、キャンパスの南にある魯迅公園まで行く必要がある。前回は何度も訪れた癒しの公園であるが、今年は一度も行かず、少し寂しい気がする。(参照:当ブログ「新生活:魯迅公園での休日」)
★宿舎 マンションタイプの立派な建物が今回の宿舎だ。私の部屋は11階で、西向きのベランダからの眺めもまあまあ良い。正面には西洋風のお洒落な校舎、南西には屋上に円盤型UFOが載ったような上海市人民第一医院が見える。夕陽の景色もきれいなものである。しかし所詮郊外の殺風景な土地である。私の概念では「松江は上海ではない」のである。虹口キャンパス時代の部屋は、近くには虹口サッカー場、遠くには東方明珠等の浦東ビル群も見え、都会感があふれていた。普段滋賀県高島市の田舎に住んでいる私にとって、別の田舎での長期滞在は本来望んでいないことだ。まぁしかし、これも何かの縁であろう。ポジティブ思考で松江生活を楽しみましょう。
★学食 今回は毎日朝昼晩、学食にお世話になった。虹口では近くに学食以外の食堂も多く存在したが、今回は近場には一か所の学食しかなかった。献立について、朝食は毎回定番の豆乳、粥、野菜まん、油条(揚げパン)、葱油餅(ネギ入り薄焼き)等で、メニューに変化はない。夕食はメニューも適度に替り、毎日食べても飽きることはなかった。辛目の料理が多かったが、味は良かった。
★学内スーパー 心身の癒しは何といっても一本の冷えた瓶ビールである。仕事が終わると学食の隣にある売店「世紀華聯」へ行き、3.5元(日本円で約40円)の「雪花啤酒」(750ml)を買う。そして部屋に戻ると外の景色を見ながらゴクゴク喉に流し込む。アルコール度数は2.5と低目で味も薄目だが、水のようにガブ飲みするにはちょうどいい。ビールの後には、黄酒と白酒が必須である。ただ外の離れたスーパーへ買いに行くのも面倒であり、今回酒はほとんど品揃えが悪い大学スーパーで買った。結果、以前は買ったことのないブランドの酒を飲むことになる。黄酒は「谷和」、「石庫門」、白酒は「江小白」、「老村長」等だ。まぁ普段飲まないブランドもたまにはいいだろう。
夕暮れどき、ほろ酔い気分で散歩することもある。水路の向こうには三角帽子の校舎やUFO屋根の第一医院が見える。閑散としたキャンパス内は、時の流れや人の動きもゆったりしている。時おり涼しい風が吹き、酒で火照った体をやさしくい鎮めてくれる。何もない地味な場所ではあるが、近くに心が休まる場所があるということは、考えてみれば貴重なのかもしれない。